日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

五月雨の加賀を行く - 源八

2021-06-26 23:36:19 | B級グルメ
ある程度覚悟していたこととはいえ、「猩猩」を辞去した後は難航しました。まずは「あぐり」へ向かったところ、看板が一時間早まっておりあえなく敗退。次いで「源左エ門」へ向かうと、無情にも店先へ着いた瞬間に行灯の明かりが消えてしまいました。その結果、目標を新規の店に切り替えたものの、一筋縄にはいきません。あるところは早仕舞い、あるところはまさかの満席で振られ、宿の近くの一軒も、若干混んでいるのを見て敬遠するという経過です。蒸し暑い中を右往左往して再び汗が流れ出し、もはや酒より風呂の気分でした。宿に戻って一風呂浴び、ようやく汗は引いたものの、今更呑み直したいという気分でもありません。「源八」のそばだけすすって締めくくります。
昨夜訪ねた「権兵衛」と同じくこちらも先客皆無。しかし後から三人組が飛び込みました。それによって今更気付いたことがあります。彼等が着席したカウンターの中程に惣菜の大皿が並べられており、それを肴に一杯やれるということです。当店に寄るのは決まってはしご酒の最後、別腹に入るものならどうにか行けるという状況で、盃をさらに重ねるという発想は全くありませんでした。しかし、当地で生活するという前提なら話は全く違います。このご時世、10時を過ぎても入れる店はわずかです。今はあくまで皮算用の段階ながら、いずれはここで一杯やる機会があるかもしれません。

源八 片町店
金沢市片町1-6-10
076-263-0553
カレーそば600円
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五月雨の加賀を行く - 猩猩

2021-06-26 20:51:42 | 居酒屋
平時なら標準的な時間でも、このご時世では瀬戸際です。手早く一風呂浴びてから香林坊にやってきました。猩猩の暖簾をくぐります。
出発前の構想では、まず金沢、次に福井か輪島に泊まるつもりでいました。明日も最後に一献傾けるという前庭の下、金沢で呑める両日の配分を一応想定していたのです。ところが、土壇場で三連戦となったことにより、今晩どこへ行くのかという問題が浮上しました。まず思ったのは行きたい順に行くことで、それは明晩の候補を今夜に繰り上げることを意味します。しかし、「今しかできない方にする」という観点からは、日祝日休みの店を選んだ方が賢明です。心当たりがある中から、いの一番に浮かんできたのが当店でした。
図らずもお鉢が回ってきたという状況は、昨秋ここを訪ねたときと共通します。教祖による古くからの推奨店らしい老練な客あしらいが心憎く、食わず嫌いを長年続けてきたことについて後悔したというのが当時の顛末です。ただし、はしご酒の二軒目、しかも閉店間際という状況で滑り込み、飲み食いは中途半端に終わったため、しかるべき条件を整えた上で再訪したいと密かに考えていました。その機会が意外に早く訪れたのは幸いです。

繁華街に活気が戻らない中で、健闘している店が少ないながらあることについても分かってきました。こちらは後者の部類です。店先から中の様子を窺うと、奥に空席がありました。しかし暖簾をくぐったところ、そこが最後の空席でした。おそらくここにも先客はいたでしょう。つまり一時は満席だったということです。
一番奥だけ空いていたのは、そこが末席だからなのかもしれません。品書きの黒板が遠く、上体を捻って目を凝らすという動作が若干煩わしく感じます。しかしよくよく見ると、酒呑みとしての想像力をかき立てられる品ばかりです。ざっと挙げれば水茄子塩レモン、いしるきゅうり、岩もずく、合鴨ロース、七尾の塩辛、困ったトマト、ゴロイカ、ふぐぬか、へしこ、口子といったところがそれで、特に酒肴の充実ぶりが際立ちます。それらの全てを一晩で味わうのは当然ながら不可能でも、頻繁に通えるようなら話は別です。暑い日はまずハートランドで喉を潤し、しかる後に突き出しと酒肴で酒を一合半ほどいただくことができれば申し分ありません。それだけで腹を満たすには足りないものの、自家製を謳うチキンカレーで締めくくれれば、日常の晩酌としては十分です。取らぬ狸の皮算用はまだ続きます。

猩猩
金沢市香林坊2-12-15 割烹むら井ビル1F
076-222-2246
1745PM-2130PM(LO)
日曜定休

ハートランド
天狗舞
勝駒
突き出し(えびす)
水茄子塩レモン
赤イカ下足ゆずこしょう焼
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五月雨の加賀を行く - 連泊

2021-06-26 19:47:48 | 北陸
福井か能登の二つに一つだったはずが、いつの間にやら金沢か能登に変わっていました。必要以上に迷った挙句、落ち着いたのは金沢でした。111km走って帰還し、本日の走行は終了です。
皮算用が成就すれば、こちらの店に毎日でも通うことができます。かような観点からすると、たとえ時間が押したとしても、輪島へ行くのがあるべき選択ともいえました。しかるに連泊となったのは、日頃全く重視しない宿が決め手になってのことです。千里浜を出る時点で照会したところ、愛用してきた新橋旅館が予約サイトの候補の中から消えていました。同様の状況で直接電話したところ、泊まれたという経験はあったため、もしやと思い一報入れてみたものの、今回は残念ながらお断りでした。予約サイトの候補の中から消えていたのはきくのやも同様ながら、こちらは快諾されたため、金沢に舞い戻ったという顛末です。
そのようなわけで、いずれこちらに住むという前提の下で考えると、最善の選択とまではいいがたいのが実情です。ただしあながち無意味な選択でもありません。当地に住まいを構えれば、きくのやに泊まる機会は当分なくなるでしょう。実家のように愛用してきた六畳間ともお別れです。名残を惜しむ機会が増えたものと前向きに受け止めます。
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五月雨の加賀を行く - 千里浜なぎさドライブウェイ

2021-06-26 17:52:16 | 北陸
能登を目指してようやく走り出したものの、遅きに失した感が漂いつつあります。現在地は千里浜なぎさドライブウェイです。
宿を出発した時点では、駐車場だけ見分してから直ちに移動するつもりだったにもかかわらず、貸出の際の一悶着で時間を空費し、その後も様々なことを確かめるうちに夕方になってしまいました。全てを終えて金沢を出た時点では、輪島まで走るつもりでいたものの、まっすぐ行っても100km近い彼方です。元々の予報を思えば上出来とはいえ、天候も眼を見張るほどではありません。能登で何度か眺めてきた夕景に比べれば、今日の眺めは見劣りします。是非行きたいとまでは思われず、いつしか六時が迫りました。
今から輪島へ向かっても二時間は下らないでしょう。このご時世、八時を過ぎれば呑み屋の早仕舞いもあり得ます。一軒行ければ御の字という状況で、車を飛ばしていくだけの理由は乏しくなりました。千里浜だけはこのまま走りきるとしても、それより先には進まずに、金沢に舞い戻るのが現実的といえそうです。
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五月雨の加賀を行く - 西部緑地公園

2021-06-26 16:36:59 | 北陸
今のところ、福井より能登が有力ではありますが、いずれへ行ってもただ走るだけに近い結果となりそうです。もはや急ぐ理由はありません。今一度寄り道してから金沢を出ることにしました。続いては西部緑地公園を訪ねます。
目当てにしていたのはD51の保存機です。しかし、日向を少し歩くだけでも辛く感じる暑さの中、機関車がどこにあるのか分からない案内板には閉口しました。右往左往をした挙げ句、球場の裏に鎮座する522号機をようやく探り当てたものの、またしても案内板は不親切で、北陸を長らく走ったこの機関車の来歴には何の言及もありません。機関庫を模したと思しき立派な屋根に覆われて、よい状態を保っているのがせめてもの救いでした。
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五月雨の加賀を行く - ありがたみ

2021-06-26 16:16:11 | 北陸
今朝方宿を出た時点では、福井か能登の二つに一つと決めていました。しかし豈図らんや、いずれにも向かうことなく夕方になってしまいました。実はその後、物件内の駐車場に何度か止めてみた結果、自分の車の長さではかなり厳しいと判断し、周辺で代わりとなりうる駐車場をしばらく探していたのです。空きがあるかは未知数ながら、いくつか候補は見つかったため、帰り次第問い合わせてみるつもりです。
それにしても、たかが三軒見てきただけにもかかわらず、様々なことを学んだような気がします。金沢の物件を調べ始めた時点では、恵まれた住環境に感嘆しました。その認識は大筋で変わっていないものの、破格と思える物件には、それなりの訳があるということについても分かってきました。それと同時に思うのは、居候としての暮らしがいかに安楽なものだったかということです。自宅がある集合住宅の地下には広い立体駐車場があり、嵐の日でも全く濡れずに住居まで上がることができます。しかし、金沢で同じ設備を求めても、手頃な値段の物件では到底望むべくもありません。この歳まで実家に置いてもらっていることには、常々感謝しているつもりではありましたが、実際に享受している恩恵は、自覚するよりはるかに大きかったようです。取らぬ狸の皮算用が見果てぬ夢で終わっても、当たり前に存在していた環境のありがたみを実感できたという点で、行動を起こした甲斐はあったというのが実感です。
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五月雨の加賀を行く - 梅の屋

2021-06-26 13:15:53 | B級グルメ
早々に下見を済ませて出るつもりが、結局半日費やしました。毒を食らわば皿までも、周辺の昼食事情を改めて確かめるのも一興でしょう。野町の「梅の屋」を訪ねます。
現地で暮らすという視点から捉えると、見えるものも当然ながら違ってきます。店があるのは通称六斗の広見の近くです。鶴来街道の面影が残るこの一帯を何度か訪ねてきたものの、ここでお昼をいただくという発想はありませんでした。周辺の飲食店を調べた結果、街道沿いに食堂があると知ったとき、全く思い出せなかったのが実情です。改めて訪ねてみると、街道が二度曲がった先に三階建ての店舗が鎮座していました。箱型をした三階建は昭和40年代頃の建築でしょうか。年季は入っているものの、当時としてはかなり小洒落た建物だったと見受けられます。店先に止まった配達用のバイク、隣の敷地にそそり立つ立派な松の木を含め、周辺の景観がまず秀逸です。
五つあるテーブルのうち四つは既に埋まっており、最後の一つに収まりました。品書きは昨日訪ねた太田屋とおおむね共通しています。まず考えたのは、同じ条件で比較すべく、ラーメンとおにぎりを組み合わせるというものです。しかし、先客が注文していたカツカレーも実にうまそうでした。咄嗟の心変わりで選んだカツカレーは、いわゆる蕎麦屋のカレーに近く、同じカレーを使うであろう麺類がどうなのかについても興味が湧いてきます。自身の生活習慣からして、昼の部が二時までという条件は玉に瑕ながら、皮算用が成就すれば、早めのお昼の選択肢としていの一番に浮上しそうな一軒でした。

梅の屋
金沢市野町3-24-42
076-241-1836
1100AM-1345PM(LO)/1700PM-1945PM(LO)
月曜定休
カツカレー920円
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五月雨の加賀を行く - 予行演習

2021-06-26 11:36:39 | 北陸
車を借りたついでに試しておきたいことがありました。寺町にある物件の下見に関連したことです。というのも、敷地内にあるとされていた駐車場が、若干止めにくそうでした。一方通行路に対して斜めに接しており、前進でしか入庫できそうになかったのです。壁際が自転車置場を兼ねているため、左右にどれだけ余裕があるかも確かめておく必要がありました。実車で試さない限り判然としない部分も多々あるため、予行演習してみようと考えていた次第です。その結論は、おそらく問題ないものの、自分の車で今一度試すしかないというものでした。
実車で乗り入れたことによって気付いたのは、入庫より出庫の方が難しいという事実です。駐車場からの見通しがそもそもよろしくない上に、接する道を走っていても駐車場の存在に気付きにくいのです。しかも道幅が狭いため、後進で出てくる車に気付いても、回避するための空間がほぼありません。車庫から出かけるだけでも危険を伴うばかりか、切り始める位置にも工夫が必要で、出庫には相当苦労しそうでした。結局前進駐車は諦め、後進で入らないかと試したところ、どうにか行けはしたものの、スイフトだからできた芸当でもありました。自家用車も、車格の割に小回りが効く部類ではあるものの、全長ではスイフトを60cm上回るため、かなり厳しいかもしれません。
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五月雨の加賀を行く - 一悶着

2021-06-26 11:19:01 | 旅日記
再開早々一悶着あり、若干遅れて出発しました。二日間の相棒を務めるのはスズキスイフトです。
レンタカーの営業所があるのは駅の反対側です。ただし、能登と福井のいずれへ行くかにかかわらず、もう一度市街を通るつもりでした。その結果、宿に荷物を預けておき、車に乗って引き取りに戻るつもりでいたわけなのですが、この判断が裏目に出ます。営業所で告げられたのは、事実上現金払いができないということでした。「事実上」というのは、一応使えはするものの、住民票、保険証など免許証以外の公的書類の提示が要るからです。その結果、宿まで余計に一往復する羽目になり、一時間ほど空費しました。
手配した際に届いた返信には、その旨がたしかに記載されてはいます。見落としたこちらが悪いということです。とはいえ、釈然としない部分も残ります。このような仕組みになっているのは何故かとたずねても、的を射た返事は得られませんでした。クレジットカードがあれば支払人の住所と照合できるものの、現金ではそれができないからだというのがあちらの言い分です。しかし、住所については免許証で既に確認されています。現金で払う場合だけ、住所を重ねて確かめる理由は想起できません。
一連の騒動を巡る政策にしてもそうですが、合理性のあることに従うにはやぶさかでないものの、そうでないことをいくら決まりと主張されても、およそ納得できるものではありません。とはいえ、営業所の係員が決まり通りに処理せざるを得ないのもまた事実です。彼等に何を言ったところで始まらないと割り切って、たかが一枚のカードのために蒸し暑い中をもう一往復したものの、徒労感が残るばかりの出来事でした。
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五月雨の加賀を行く - きくのや

2021-06-26 08:45:26 | 北陸
ある時から飲食業にばかり矛先が向けられて、宿泊業は蔑ろにされてしまったかのようですが、人出が減った影響の直撃を受ける点では同じです。外国人観光客を当て込んで宿の供給が増えた場所ほど、影響が顕著に表れることについては想像に難くありません。金沢もその一例で、昨晩は破格の安値で泊まれる宿が数え切れないほどありました。しかし、この状況では安く済ませることよりも散財をすることの方が重要です。他と比べるまでもなく、きくのやの世話になりました。
この宿に初めて泊まったのは七年前、新幹線の開業を翌春に控え、北陸詣でを活発化させていた頃です。定宿として確立したのは、六畳間の居心地によるところもさることながら、圧倒的な利便性の高さによるところも少なくありません。例えば昨日は、金沢駅から直行して荷物を先に預けておき、物件を見学してから部屋に入って一休みし、軽く一杯やってから再び戻って汗を流し、さっぱりしてから呑み直しました。これは偏に、市街の中心かつ繁華街の至近だからこそできることです。皮算用が成就すれば、ここに宿泊することはおそらく当分なくなるものの、それまでは引き続き世話になるつもりです。
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五月雨の加賀を行く - 二日目

2021-06-26 06:28:42 | 北陸
おはようございます。今回は物件探しが主題であって、その他はついでのつもりですが、はるばる来たなら週末も活用するのはもちろんです。残る二日は車を借りて活動します。
出発前から漠然と思い描いていた構想は、晴れれば福井、そうでなければ能登へ行くというものでした。ただし何分梅雨時だけに、多くを期待できません。後者に落ち着く可能性の方が高いと見ていました。ところが豈図らんや、窓の外には雲一つない青空が広がっています。昼頃までに曇るとされてはいるものの、前日も予報の割に晴れました。どちらへ行くかで葛藤することになるかもしれません。
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