日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

春まだ浅い北陸へ 2021 - 紋や

2021-02-20 21:11:45 | 居酒屋
夕方まで宿の手配は見合わせました。飲食店への風当たりがこれほどまで強まると、なじみの店の動静が否応なしに気がかりです。「紋や」さえ開いていればもちろん福井に泊まるものの、万一休業していれば、金沢に引き返すことも検討せざるを得ませんでした。しかし杞憂に終わってくれました。まさかの予約満席という、このご時世にあってはむしろ歓迎すべき返答を受け、空き次第知らせてもらう算段をつけて、ひとまず宿で待機することになったのです。ところが、八時半には空くだろうといわれていたはずが、目安の時間を過ぎても梨の礫でした。たとえ遅くになろうとも、席さえ空けば行くつもりではあるものの、深夜に及ぶ飲み食いがあたかも悪であるかのように叫ばれるご時世です。お上による「要請」で飲食店が早仕舞いにでもなっていれば、万一のことがあったとき、代わりの店の選択肢すら見当たらないという事態にもなりかねません。念のため、こちらから様子をたずねてみようとしまさにそのとき、携帯電話が鳴り出すという顛末です。
九時までかかった一因は、一連の騒動の煽りで席の数が減らされ、八席あったカウンターが六席になったことでしょう。それに加えて、自分の前にも順番待ちがいたようです。しかも後からさらに二組入ってきました。四連休だった九月に訪ねたときより、今回の方が賑わっています。店主によると、一連の騒動に雪が追い打ちをかけ、先月は相当苦戦したものの、ようやく人出が戻ってきたとのことでした。老婆心に終わってくれたのは幸いです。

気候には冬の名残を感じる一日でした。その一方で、品書きには春らしいものが増えています。ざっと挙げてものれそれ、新わかめ、ふきのとう、若竹煮といったところで、ズボがにの文字があるのも今ならではです。それらの中から一つ選んでみるにもやぶさかではなかったものの、あえて注文したのは牡蠣の味噌鍋でした。当店を初めて訪ねたときにいただいた品の一つがこちらです。能登産の牡蠣と地野菜を使ったもので、冷めかかった鍋を温め直してもらえたのもありがたく感じられました。まだ肌寒い早春の夜、当時のことを振り返りつつ酒を酌みたくなった次第です。
その鍋には、立派な牡蠣が春菊とともに奢られていました。食中の会話は慎み、済み次第直ちに出よと叫ばれるご時世、店主の口癖でもある「ごゆっくり」の一言も心憎いものがあります。しみじみと感謝しつついただき、本日最後の客となって席を立ちました。

紋や
福井市中央3-4-6
0776-23-0040
1800PM-2400PM
日曜定休(祝日の場合は営業し翌日休業)

白龍
早瀬浦
突き出し(蟹玉豆腐)
造り盛り合わせ
平目フライ
カキ味噌鍋
へしこ刺身
抹茶ムース
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春まだ浅い北陸へ 2021 - 投宿

2021-02-20 19:42:56 | 北陸
福井市街まで走りきり、金沢からの走行距離がほぼ100kmとなりました。投宿し、一風呂浴びてさっぱりしたところです。
暖冬小雪だった昨季から一転、今季は各地で大雪に見舞われ、北陸も同様だったと聞きました。しかし、福井に関していうならば、さらに降ったと思われるのが三年前です。交通網を麻痺させるほど降ったのは、二月の上旬から中旬のことでした。翌月福井を訪ねたときも、半月経ってまだこれかと驚くほどの雪が市街に残っていました。あのときほどではないものの、今回もかき集めた雪が背丈以上に積もっている光景に出くわしました。例年以上に降ったことだけは間違いないようです。
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春まだ浅い北陸へ 2021 - 寂寥

2021-02-20 17:47:44 | 北陸
四時過ぎのしらさぎを撮った後もなお、西日は高い位置にありました。日中の残り時間を生かすべく向かったのは九頭竜川の鉄橋です。影絵となった列車を撮るのは昨秋以来のことですが、今回は河原に雪が積もっています。五時台に三本来る特急を撮って締めくくるという顛末です。
昼から曇ると予想されていたにもかかわらず、おおむね日が射していたのは幸運でした。ただし、同じ晴天とはいっても、先週末まで訪ね歩いた太平洋側のそれとは全く違いました。凛とした冬晴れの空ではなく、霞んだ春の空でもなく、薄雲の向こうからやや鈍い日が射してくるとでも形容すればよいのでしょうか。金沢に着いたときこそ生暖かく感じられたものの、昼過ぎからは薄ら寒い風に吹かれてばかりでした。河原で眺める夕景も、昨秋訪ねたときに比べてどことなく寂寥としたものでした。名実共に春らしくなった関東甲信とは違い、北陸にはまだ冬の名残が感じられます。列車撮影を主題にした活動ではありますが、北陸の早春をありあり感じられたのは紛れもない収穫の一つです。
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春まだ浅い北陸へ 2021 - 定跡

2021-02-20 15:08:35 | 北陸
新幹線の開業により金沢以東の在来線が壊滅してからというもの、主戦場は福井方面に移りました。日がな一日列車を追う活動を何度か続けたことにより、定跡が次第に確立されて現在に至ります。昼過ぎにまず向かうのが、芦原温泉から丸岡にかけての直線区間です。しかし積雪は目に見えて減り、現在地では日陰に少し残っている程度に過ぎません。列車を撮っても雪が積もっているとは分からず、あまつさえ空も曇ってきました。晴れた日なら三時頃まで撮れるところ、一時台の特急二本を撮って撤退。続いて訪ねたのは細呂木駅の上り方です。
S字にカーブを切りながら緩い坂を駆け上がる上り列車を、下り線の外側から長いレンズで引き付けるのがここでの撮り方です。幸いにして再び日が射し、三時前のサンダーバードと後続の貨物列車を理想に近い条件で撮ることができました。今からどこかと掛け持ちしても中途半端です。日が陰るまでは粘ります。
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春まだ浅い北陸へ 2021 - 減便

2021-02-20 12:57:53 | 北陸
列車を撮るなら最初に行こうと思っていたのが、昨秋訪ねた牛ノ谷駅の上り方でした。12時台の特急列車を撮ったところです。
本来ならサンダーバードがもう一本来るはずのところ、一連の騒動に端を発した減便により、しらさぎと合わせて二本限りとなってしまったのが惜しまれます。しかし、天候は意外に持ちこたえています。今朝方の予報では、早ければ午前中、遅くとも昼過ぎには曇るとされていたところが、今も薄日が射しているのです。日が陰るまでは場所を変えつつ粘れるだけ粘ります。
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春まだ浅い北陸へ 2021 - 牛ノ谷駅

2021-02-20 11:43:21 | 北陸
金沢西から加賀まで北陸道を飛ばし、国道8号線を上って県境を越えました。牛ノ谷駅を再訪します。
車窓に雪は皆無でした。しかし、出発前に調べたところ、福井市街には雪があるのを中継映像によって確かめていました。果たせるかな、県境を越える頃から雪景色に変わっていき、現在地も積雪しています。それに加えて変わったのは体感温度です。金沢市内では強い風が吹いており、北陸道でも速度を落とさざるを得ないほどの横風が吹き付けていました。その風が弱まる代わりに冷たくなって、半袖シャツと厚手の雨合羽を羽織るという経過です。とはいえ、長袖が要るほどの寒さでもありません。水戸を訪ねたときと同様に、暑からず寒からず心地よい気候です。
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春まだ浅い北陸へ 2021 - すしべん

2021-02-20 10:47:28 | B級グルメ
北陸道にすぐ乗れば、11時台の特急を待ち構えられそうなところではありますが、かなり微妙な間合いです。ただでさえ物騒なご時世、余所者が急いで事故でも起こせば申し開きができません。あえて自制し、代わりに遅い朝食兼昼食をいただくことにしました。昨秋も世話になった西インター大通りのすしべんに立ち寄ります。
レンタカーの営業所へ向かうとき、あやふやな記憶に頼って道順を間違えました。重荷を担いで無駄に歩いたこともあり、着いた頃には軽く汗ばんでいました。その直後にうどんをすすると、今度は汗が流れてきました。出発時に羽織っていた雨合羽も半袖シャツも脱ぎ、今はTシャツ一枚の軽装です。市街にも雪は残っているものの、季節外れの暖かさは当地においても変わりません。

★すしべん 入江店
金沢市入江2-32
076-291-2712
600AM-2200PM
いなりうどん330円
おでん各種108円より
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春まだ浅い北陸へ 2021 - 相棒

2021-02-20 10:17:26 | 北陸
平時なら一筆書きの経路で周回するところです。しかし何分非常時だけに、公共交通機関の利用は可能な限り控えた方が無難でしょう。新幹線で直行直帰し、現地での移動手段はレンタカーにしました。
列車が混んでいたのは既報の通りです。レンタカーについても同様で、最も手頃なクラスは既に埋まっており、空車があるのは一つ上のクラスからでした。アクセラ改めマツダ3かと思いきや、相棒としてあてがわれたのはアクアです。燃費のよいハイブリッド車を同じ料金で借りられるなら、歓迎する人の方が多いのかもしれません。しかし、こちらにとってはありがた迷惑です。ハイブリッド車としては比較的まともな部類ながら、運転を楽しむ車ではないだけに、マツダ車が来てくれればというのが本音ではあります。しかし、不要不急の名の下に、外出自体が悪であるかのようにみなされがちな昨今、満車になるほど賑わっていることについては、素直に歓迎したいものです。
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春まだ浅い北陸へ 2021 - かがやき503号

2021-02-20 07:50:37 | 関東
土壇場での決着です。七時台の列車で旅立ちます。
昨晩は目覚ましをかけることなく休みました。北陸へ行く可能性は低いと見て、早起きを必須と考えてはいなかったからでもあります。ところが、今朝に限って目覚めが早く、時計を見ると四時半でした。すぐさま起きれば始発の新幹線にも乗れる状況です。そうなるに至って天気予報を調べたところ、今日については依然として曇りがちの予報でした。つまり、元々の構想からすれば、日帰りに落ち着いていたところですが、北陸には何分後がありません。新潟はともかくとして、北陸で積雪するのは今月までがせいぜいでしょう。この機会を見送るということは、今季を棒に振ることといっても過言ではありません。一日とはいえ晴れるなら、今行くしかなかろうという考えが、俄に頭をもたげてきました。即決するまでには至らず、始発列車は逃したものの、後続にはどうにか乗れるという局面で、迷ったら買えの原則通りに腹を決めるという顛末です。
そのようなわけでかなり逡巡したものの、いきなり意表を突かれました。想像をはるかに超える盛況なのです。長距離列車を最後に利用したのは三ヶ月前、横文字混じりの振興策が繰り広げられ、旅行が奨励されていた頃のことでした。しかし列車は空いていて、前後も隣も空いている席を手配することができました。ところが今日は、前だけ空いた席を選ぶのがせいぜいで、それも大宮まで走る間に売れました。窓際がほぼ全て埋まった状態で、少なくとも長野までは行くことになります。しかも乗客の十中八九は旅行者風です。少なくとも車内の様子を見る限り、今が非常時とは思えません。現地の様子は未知数ながら、案ずるより産むが易しであってほしいと願います。

★東京720/かがやき503(3503E)/951金沢
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