空中庭園
2006年01月04日 | 本
角田光代、文藝春秋(文春文庫)、東京、2005
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郊外のダンチで暮らす京橋家のモットーは「何ごともつつみかくさず」。でも、本当はみんなが秘密を持っており、それぞれが違う方向へ。異質でありながらも家族であるしかない、普通の家族に見える一家の光と影……ひとりひとりが閉ざす透明なドアから見える風景を描いた連作家族小説。
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上記は表紙に書かれた紹介文を引用しました。
2002年に文藝春秋社から刊行された作品の文庫版です(文春文庫を読むのは、久しぶりだなあ)。家族の中の光と影をテーマにした連作短編集です。面白かったです。読み終えた後、身につまされるような気持ちになりました。
主な登場人物は、父、母、娘、息子、祖母、息子の家庭教師でして、全部で6人。本作品は、6名各々の視点から描かれた6編の短編から成っています。
家族における各々の登場人物たちの人物描写が、めちゃくちゃリアルです。はっきりいって怖い。怖いのですが、とても共感できます。一番怖いのは、表題作である「空中庭園」という話しです。母目線で書かれた話です。文体が殺伐としており、なんともいえない迫力があります。読んでいて怖くなったのですが、理解できる内容でした。
私は自分の家族のことしか分かりません。他の家族の人間関係って、どんな感じなのでしょうか。「家族」は他人事ではないテーマですので、グイグイ引きこまれながら読んでしまいました。「光」と「闇」、「マンション」と「ホテル野猿」、「分化がん」と「未分化がん」など、様々な対比が出てきますが、いずれも「オープンな家庭」と「秘密のある家庭」の比喩であると思います。これらの比喩を使って、筆者が家族について語っていることが非常に面白いです。これらの比喩を踏まえた上で、息子のコウが建築に興味を持っていることを読むと、さらに、さらに味わい深く読むことができると思います。
これまで、角田光代さんの作品を(空中庭園をあわせて)3つ読みましたが、いずれの作品も極めて面白かったです。人の感情などに関して、感性が鋭く、すぐれた文章で表現できる方であると思います。インプットと、アウトプットの能力がすばらしいです。
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郊外のダンチで暮らす京橋家のモットーは「何ごともつつみかくさず」。でも、本当はみんなが秘密を持っており、それぞれが違う方向へ。異質でありながらも家族であるしかない、普通の家族に見える一家の光と影……ひとりひとりが閉ざす透明なドアから見える風景を描いた連作家族小説。
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上記は表紙に書かれた紹介文を引用しました。
2002年に文藝春秋社から刊行された作品の文庫版です(文春文庫を読むのは、久しぶりだなあ)。家族の中の光と影をテーマにした連作短編集です。面白かったです。読み終えた後、身につまされるような気持ちになりました。
主な登場人物は、父、母、娘、息子、祖母、息子の家庭教師でして、全部で6人。本作品は、6名各々の視点から描かれた6編の短編から成っています。
家族における各々の登場人物たちの人物描写が、めちゃくちゃリアルです。はっきりいって怖い。怖いのですが、とても共感できます。一番怖いのは、表題作である「空中庭園」という話しです。母目線で書かれた話です。文体が殺伐としており、なんともいえない迫力があります。読んでいて怖くなったのですが、理解できる内容でした。
私は自分の家族のことしか分かりません。他の家族の人間関係って、どんな感じなのでしょうか。「家族」は他人事ではないテーマですので、グイグイ引きこまれながら読んでしまいました。「光」と「闇」、「マンション」と「ホテル野猿」、「分化がん」と「未分化がん」など、様々な対比が出てきますが、いずれも「オープンな家庭」と「秘密のある家庭」の比喩であると思います。これらの比喩を使って、筆者が家族について語っていることが非常に面白いです。これらの比喩を踏まえた上で、息子のコウが建築に興味を持っていることを読むと、さらに、さらに味わい深く読むことができると思います。
これまで、角田光代さんの作品を(空中庭園をあわせて)3つ読みましたが、いずれの作品も極めて面白かったです。人の感情などに関して、感性が鋭く、すぐれた文章で表現できる方であると思います。インプットと、アウトプットの能力がすばらしいです。