MT MANIAX

苦難の時にこそ、われわれは隣人に対して寛大であらねばならない。そうしていれば世界はわれわれにとって寛大なものになるはず。

ラッシュライフ

2005年11月30日 | 
伊坂幸太郎、新潮社(新潮文庫)、東京、2005

 今年の秋は、面白い本ばかりに出会います。今日は11月30日。私の中では2005年の秋の最後です。この本も・・・やはり面白かったです。読書のおかげで、幸運な秋を過ごせました。本の神様、感謝します!
 この本は、2002年に刊行された単行本の文庫版です。いわゆる群像劇というジャンルの小説にあたります。
 「プロフェッショナルの泥棒」「神に憧れる青年」「不倫相手との再婚のため、殺人を計画する女」「リストラされ、家族に見捨てられた男」これら4つの物語が同時進行していきます。そして、4つの物語を「画家の卵と画商」「日本語勉強中の白人女性」の話が上手くつむいでいきます。
 群像劇の楽しみの一つは、同時進行する物語が、互いにリンクしていることです。この『ラッシュライフ』は、そのリンクのさせ方が、めちゃくちゃ上手いです。ちょっとリンクさせすぎのような気もするのですが、これのおかげで飽きることなく読むことができます。
 群像劇は、登場する主人公たちの人生劇場のようなものだと思います(勝手に思っています)。いろいろ、各主人公たちはいいことを言っています。一番共感できたのは、文庫本の120ページに書かれた、親と子のリレーとバトンの話しです。ここを読んだあと、「俺は何のバトンを父親から渡してもらったんだろう」と考えました。すごくイイと思いました。
 もう一つ、好きな場面は、文庫の275ページのところです。泥棒、「人生については誰もがアマチュアなんだよ。(中略)誰だって初参加なんだ。人生にプロフェッショナルがいるわけがない」というセリフが、すごく好きです。いい言葉に出会ったなあ。
 実は、群像劇の小説を読むのは、この本が生まれて初めてです。映画ではなく小説で読むのも、なかなか面白いと思いました。また別の群像劇の本にも挑戦したいと思います。

早起きして通信教育を仕上げた

2005年11月29日 | 日記
 朝、5時に起きて、通信教育の課題を仕上げました。締め切りが11月30日のため、まさに締め切りギリギリです。もっと早くやればいいのに・・・意思が弱いですねえ。昔から、夏休みの宿題とか、本当にギリギリになるまでやらなかった性格なので、ダメだなあ、と自分で反省しています。今回の通信教育はISO 9000に関するものでした。5時に起きて、出勤時間ギリギリの時間に何とか仕上がりました。心の中のモヤモヤが一つなくなり、ほっとしました。

今日から新しい手帳使用開始

2005年11月28日 | 日記
 今日から2006年の手帳の使用を開始しました。2006年は「タイムデザイナー」という手帳を使用します。2005年11月の最終週から使用できますので、ややフライング気味なのですが、使用を開始しました。「タイムデザイナー」は、今、話題の佐々木かをりさんと、能率手帳の息がかかった手帳です。B6サイズで適度に小さく、厚みもギリギリ気にならない形態になっています。中身のメインは、バーティカルタイプの見開き1週間。このデザインは、私の理想にかなり近いです。新しい手帳は、ワクワクしますなあ。

沼地のある森を抜けて

2005年11月27日 | 
梨木香歩、新潮社、東京、2005

 今年の秋は、本当に面白い本に出会えます。自分でも怖いくらいです。この本も面白かったです。本の内容の代わりに、新潮社のホームページ紹介文から引用させて頂きます。

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はじまりは「ぬかどこ」だった。先祖伝来のぬか床がうめくのだ――。
待望の書下ろし長篇小説。 

叔母が死んで、久美は代々伝わるというぬか床を世話することになった。そのぬか床に、得体の知れない卵が出現。いったい何が起こっているの? 久美は酵母研究者の風野さんを伴い、ぬか床由来の故郷の島を訪ねる。増殖する命、連綿と息づく想い……。解き放たれてたったひとりの自分を生き抜く力とは?

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 最初、ホラー小説と思っていたのですが、読み進めていくうちにホラーではないことが分かってきます。

   死んだ叔母から受け継いだぬか床に
   謎の卵が出現
    ↓
   主人公に、悪い出来事が降りかかる
    ↓
   怪しいぬか床について調査して、不思議な現象を解明し、
   呪い(のようなもの)を解きたい
    ↓
   はたして結末は?

 物語の構成はホラーと同じです。例えば、有名なホラー小説『リング』の構成は、次のようになります。

   見ると1週間で死亡する謎のビデオ
    ↓
   主人公と、その子供がビデオの呪いにかかる
    ↓
   ビデオについて調査して、謎を解明し、
   貞子の呪いを解きたい 
    ↓
   はたして結末は?

 ホラーと同じ構成なのに、なぜかホラーではない。ホラーという非日常というよりも、むしろ日常を描いている感覚です。そこが、非常に面白く感じました。
 日常を描く文体もいいのですが、もう一つ面白いのは、途中に挟まれる「かつて風に靡(なび)く白銀の草原があったシマの話」です。宮沢賢治の童話のような文章で書かれており、この本の世界観を膨らませています。「叔母」「推進棒」「アザラシの娘たち」という表現は(単語だけ抜き出すと分からないのですが)、本当に独特で、新鮮に感じました。
 ホラーと思って読み始めたのですが、読み終えたあと、私がこの本に対して抱いた印象は「詩」でした。生命活動と男女の寄り添いの根本について書かれた、長い「詩」であると思いました。

奇談 キダン

2005年11月26日 | 日記
監督・脚本:小松隆志、出演:藤澤恵麻、阿部寛、日本、2005

 色々なメディアで紹介されていますので改めて書くことが恥ずかしいのですが、原作は諸星大二郎の漫画『妖怪ハンター』シリーズの『生命の木』という話です。『妖怪ハンター』シリーズは、1991年に敬愛する塚本晋也監督が『ヒルコ 妖怪ハンター』として映画化しています。今回の『奇談 キダン』は、塚本版の妖怪ハンターとの比較という点において、非常に楽しみにしていました。
 中身は文化人類学とホラーの要素が混ざったミステリーという感じです。日本では京極夏彦の小説が流行っていますので、『妖怪ハンター』は、今時の題材なのだと感じました。
 映画は88分という短めの作品でした。しかし、その短さを感じさせないぐらい中身が濃く、濃いために全部観るまで体力を消耗してしまいました。映像も物語も、両方とも気味が悪く、気分が少しだけ悪くなりました。
 映像の色が、ちょっと不思議な感じでした。黒色に、ごくわずかだけ青色がはいっており、登場人物の目や髪の色が、不思議な雰囲気になっていました。この色は、とても気に入りました。
 ミステリー仕立てなのでネタバできないので多く書くことができません。残念!
 一点だけ書かせていただきますと、ラストの「みんなぁ! オラと一緒にパライソさ、行くだぁ~」」というシーンは、賛否両論があるようですが、私はこのセリフが好きです。『奇談 キダン』について書かれたいくつかのブログ記事には「ギャグみたい」「笑ってしまった」というものがいくつかありましたが、私は意外と違和感なく受け取れました。
 塚本監督の『ヒルコ 妖怪ハンター』とは、まったく別の映画に仕上がっていましたので、どちらが面白いという優劣はつけられませんが、今回の『奇談 キダン』は、とても面白かったです。

イントゥ・ザ・サン (IN TO THE SUN)

2005年11月26日 | 映画
監督:ミンク、出演:スティーヴン・セガール、大沢たかお、アメリカ、2005

 最低の映画でした。おそらく、2005年のワーストワンだと思います。無茶苦茶な映画でした。悪い点をあげるときりがないのですが・・・
 セガールの日本語が聞き取りずらいです。セガールは昔、大阪の十三に住んでいたことがあり、大阪弁を話せます。これが、非常に聞き取りづらいのです。映画の中では大阪弁で話すシーンは、残念ながら字幕がなく、意味が分かりません。
 しかも、映画の中で、セガールが演じる主人公トラビスは、東京に住んでいたことがあるという設定なのです。しかし、トラビスは大阪弁を話します。どうして東京で日本語を身につけたトラビスが「オオキニ」と言うのでしょうか。
 また、トラビスの恋人は、ナヤコという日本人女性です。ナヤコの声は吹き替えされているようです。画面の中でのナヤコの口は、日本語を話している口の動かし方なのですが、スピーカーから聞こえてくるのは英語です。細かいことを言えば、トラビスとナヤコが「指きりげんまん」をするシーンでは、ナヤコの声は吹き替えされえずに、普通に「指きりげんまん、嘘ついたらハリセンボン飲ます」と日本語で聞こえます。言葉についての悪い点は、まだまだあるのですが、言葉の処理が、極めて雑に感じました。
 この映画では、やくざが日本刀で人を殺します。前半は鉄砲で殺していたのですが、後半からは日本刀を多用するようになります。日本刀を日常の武器にしているやくざなんて、いまどき、東京にいるのでしょうか。リアリティが全くありません。
 物語も、なんとなく支離滅裂に感じます。映画の冒頭は、選挙活動中の東京都知事候補が射殺されるシーンから始まります。そして、セガールたちが犯人探しを行ない、黒幕の大沢たかおまでたどり着く経緯に、つながりが感じられません。無理やりのように思えました。
 意味のないキャラクターも気になります。寺尾聰や栗山千明は必要なキャラクターなのでしょうか。無駄なキャスティングのように感じられました。
 ちなみに、劇中、『ガメラ 大怪獣空中決戦』(1995)がテレビに映っている場面が2回ぐらいあります。この『ガメラ~』の主演は、セガールの実の娘の藤谷文子です。こういう家族愛的な登場のさせ方は、映画という作品の中では無駄だなあ。『ガメラ~』は大好きですが、うっとおしい。

今治の秋には紅葉した山が足りない

2005年11月25日 | 日記
 私は四季の中で秋が一番好きです。少し冷たい空気、湿度、澄み切った空、ぼやけた感じのない雲の形などなど、最高に過ごしやすい季節であると思います。
 しかし、今、私の住んでいる愛媛県の今治には、大事な秋の要素が一つ足りません。その大事な要素とは、紅葉した山です。
 私は、10年前まで兵庫県に住んでいました。私は海ではなく山のある地域に住んでいました。そのため、秋になると、山の木々の葉が、赤や黄色に変化していく様子を見ることができました。まさに壮観な山の変化を、日常生活の中で感じていました。
 今治(の、私の生活しているところ)は、そんな山を日常的に見られません。相変わらず秋は大好きなのですが、やはり山の紅葉を見たいと思います。

水島先生、大丈夫なのでしょうか

2005年11月24日 | 日記
 週刊少年チャンピオンと週刊モーニングにて期間限定連載されている野球狂の詩 VS ドカベンの件です。これまでも、このブログで2回ほど取り上げましたが、この企画が最終回を迎えました。残念ながら面白くありませんでした。もう、水島漫画に期待するのはダメなのだろうか、と思いました。

おでんには鶏モモぶつ切りより手羽先が合う

2005年11月23日 | 日記
 先日、作ったおでんの残り汁があり、材料も少し残っていましたので、再びおでんを作りました。今回は実験のため、鶏肉として、手羽先と鶏モモぶつ切り(骨あり)を入れて、食べ比べすることにしました。食べ比べた結果、手羽先の方が美味しく感じられました。人によって好みがあるのでしょうが、手羽先についた皮が、おでんの出汁の味と合っており、美味しく感じられました。
 おでんに鶏肉を入れない家庭は多いと思いますが、美味しいので、試しに入れてほしいと思います。そして、鶏の部位は手羽先をオススメします。

エリザベスタウン (ELIZABETHTOWN)

2005年11月23日 | 映画
監督・脚本・制作:キャメロン・クロウ、出演:オーランド・ブルーム、キルステン・ダンスト、アメリカ、2005

 『バニラ・スカイ』のスタッフたちが集結しています(監督・脚本:キャメロン・クロウ、製作:トム・クルーズ、ポーラ・ワグナー、撮影:ジョン・トール、音楽:ナンシー・ウィルソン)。私は『バニラ・スカイ』が好きなので楽しみにしていました。
 正直なところ、あまり面白く感じませんでした。最大の理由は、主人公を演じるオーランド・ブルームです。演技が上手くないのです。『ロード・オブ・ザ・リング』のときにも薄々感じていたのですが、主役を演じるのはツライかもしれません。
 オーランド・ブルームが演じるのは靴会社のデザイナーです。長年開発していた靴が新発売されたのですが、会社に約1000億円の大損害を与えてしまいます。映画が始まってからすぐに、いきなり会社をクビになってしまい、家に帰ると「父親が心臓発作で死んだ」という電話が実家から入ります。仕事で大失敗し、家族を失い、人生のどん底に落ちています。
 しかし、しかし、しかし、オーランド・ブルームからは、そんな男の悲壮感が全く感じられませんでした。本当に、悲壮感を微塵も感じませんでした。物語は、人生に絶望した主人公が、父の故郷で親戚たちとふれあい、新しい恋に落ち、心癒されていくという話ですが、主人公の悲壮感が感じられないため、「絶望」という初期設定に説得力はないのです。ヒロインを演じるキルステン・ダンストとのシーンでは生き生きしているのに。よって、主人公に感情移入できませんでした。
 映画の後半の、父親の葬式のシーンも、感情移入できませんでした。日本の葬式と全く違うため、人々がどのような心境でその葬式に参加しているのか、全く分かりませんでした。つらい。

奪取

2005年11月23日 | 
真保裕一、講談社、東京、1996

 会社の同僚から薦められ読んでみることにしました。古本屋で、文庫本ではなく単行本が850円で売られていたので、すぐに買いました。
 この作品は、ヤクザの街金にはめられた友人が作った借金の返済のため、偽札作りをする犯罪小説です。笑いあり、涙あり、恋愛あり、友情あり、という娯楽作品に仕上がっています。
 物語は全部で3部に分かれています。「ATMを騙す偽札」「銀行員も騙せるほど、完璧な偽札」など、各部における偽札作りのコンセプトが違うことが、非常に面白いと思いました。
 筆者がお札の印刷について極めて詳しく取材されたことが、本当によくわかります。普段、何気なく私は紙幣を使っています。紙幣は、その国の印刷技術の中で、最高の技術が結集された印刷物です。その凄さが、極めて具体的に描かれており、勉強になりました。この本を読むときは、ぜひ紙幣を横に置いて、見ながら読んで欲しいと思います(ただし旧紙幣)。
 一番好きなセリフは、次の言葉です。

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 完璧な偽札を造り上げることができれば、誰も気づかず、誰も傷つくことはない。いわば、完全犯罪も同じだ。そうなればもう、偽札造りは犯罪を超える。

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 それが重大な犯罪であるということは重々承知しておりますが、偽札造りはある種の芸術に通じるところがあるように感じました。「偽札造りは犯罪を超える」という言葉が、特に恰好いいです。
 また、一番好きなシーンは、第三部の、良輔とヒロが凹版印刷機を掘り起こすため、愛鷹山へ行くシーンです。サチオの、主人公に対する“想い”を表現した、本当に美しいシーンだと思います。

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 五年の間に印刷機を埋めた場所が下草類に覆われていたというのに、ここまでの獣道がまだ見分けられたことの理由が、ようやくおれには理解できていた。
 倒木の周囲は、たわわに緑の葉をつけた樹々に囲まれていた。いったい何本あるのだろうか。おれは胸の痛みを感じながら、ゆっくりと深呼吸をし、その場で四方に首をめぐらせた。
 生長し、枝葉を伸ばしたミツマタの木々の緑に、おれは全身を包まれていた。

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 この場面を読んだとき、ミツマタの森のようなものが頭に浮かび、あたかも自分がその荘厳で爽やかな場面にいるような錯覚に陥りました。
 残念な点は、全体的に私が苦手な、宗田理の「ぼくら」シリーズのような雰囲気がほんの少しだけ強いように感じたことです。第三部は、復讐に燃える主人公たちが、もっともっと精神的に追い詰められているような雰囲気の方が面白かったのではないか、と私は思いました。

目覚ましをセットするのを忘れていた

2005年11月22日 | 日記
 朝、目を覚ますと、時計は7時28分でした。ひぇ~! ギリギリ会社を遅刻しない時間でしたので大事には至らなかったのですが、非常に危ない思いをしました。目覚ましのセットを忘れるなんて、今までほとんどなかったのに・・・。反省。

私のブログに対するうれしい一言

2005年11月21日 | 日記
 会社の同僚である、T君(豚キムチ丼好き)から、うれしい一言がありました。内容は、このブログを読んで『この本が世界に存在することに』と『看守眼』という本に興味を持ったから貸してほしい、というものであります。T君(豚キムチ丼好き)が、どんなジャンルの本が好きなのか分かりませんが、これは非常にうれしい言葉でありました。明日、会社へこの2冊を早速、持っていき、T君(豚キムチ丼好き)に貸すつもりです。この2冊が、T君(豚キムチ丼好き)にとって良い本であることを願っています。

ゆったりとした日曜日

2005年11月20日 | 日記
 疲れが溜まっていたため、14時に起きました。昨日の残りのおでんを食べてから買い物に行き、そのあとは本を読んだり、DVDを観たりして過ごしました。ゆっくりできました。