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ルビーの森

京都三条と銀座並木通りにある、ミャンマー産無処理で美しいルビー専門店。鉱山から一貫したトレーサビリティーを実現。

日本の…ではなく、ミキモトの「矢車」を見て感じること

2011年07月03日 05時32分08秒 | 宝物

写真は、あの有名な「矢車」とばれる帯留めです。

ミキモトが1937年のパリ万博に出品して話題を

あつめたジュエリーです。

現在は、ミキモト真珠島博物館に所蔵されています。

プラチナ、18金ホワイトゴールド、養殖真珠、

ダイヤモンド、エメラルドからなる11個のジュエリーを

13個の部品を組み合わせることで、帯留めになった

り、ブローチになったり、髪飾りやリングとして使える

ジュエリーです。もの凄いジュエリーだと思います。

一つの帯留めに、これだけの機能を持たせた感覚は

その時にこれをつくった人たちの「技」があったから

でしょう。

 

…でも、ここで思うのは、この技というものは、国が持てる

モノではなく、人が持つ、ということです。

日本の歴史やこの時代の環境が、この技を育んだ

のだろうと思いますし、この「矢車」をつくった

職人さんたちは、誇りと使命を感じて未知なる

西洋のジュエリー文化に立ち向かったのでしょう。

さて…

最近はテレビや雑誌などで、「日本の技術は素晴らしい」

とよく目にしますが、勘違いしてはいけないのは、

それは、先輩方の仕事で、

今の私たちではないという事です。

 

 

その情報を見たいまの人が、「私たちの先輩が頑張った」と

自信をつける…。それは良いのですが、

「日本の…」をつけるとおかしくなります。そもそも…

今の日本、そんなに頑張っているのでしょうか?

100年前にヨーロッパに技術を学び進化した日本…

今は、日本から技術を学び進化していく中国…

何となく同じように感じるのです。

「日本の技術を中国が盗んだ!」というニュースを

見ると、「アメリカの自動車技術を盗んだ!」と

デトロイトでいじめられていた一昔前の日本の自動車

と同じように感じます。

「矢車」を見ていると、

「あなた…自分でやったらどうだい…」といわれて

いる様な気がします。

自分を磨くこと、高めることが大切ですね。

それと…

他人、他国との比較の中に生まれる感情は、

なんだか「醜い」なと感じました。

 


エタニティーリングの語源

2011年07月02日 12時00分42秒 | 宝物

[eternity ring] エタニティーリング

モリスでもルビーとダイヤモンドを使った

エタニティーリングがありますが、その名前の

起源は何なのでしょうか?

ジュエリー言語学「柏書店松原」を開いてみました。

著者は、ずっとお世話になっている桃沢敏幸氏です。

引用ここから)

エタニティーリングとは、途切れなく石が並べられた

指輪。終わりが無い(Never ending)という意味で、

限りない愛のシンボルとされる。永久指輪。エタニティー

バンド。

語源: ギリシャ語で「年齢age」「活力vital forse」

「生涯 Lifetime」を意味するaionラテン語のaeonから…

引用ここまで)

との事、かなり古くから使われてきたスタイルのリング

なのが言語学からも分かります。

写真のジュエリー言語学…とても面白い本ですので

読み始めると、止められなくなります。

 

 


宝石ジュエリーとアクセサリーの違い

2011年07月02日 08時37分40秒 | 宝物

宝石ジュエリーとアクセサリーの違いは?

と聞かれることがありました。

とっさに、「宝石ジュエリーとアクセサリーは

寿命が違います…」と答えました。

ちょっと雑な説明だったな、と反省しながらも

ちょっと考えてみました。

私もアクセサリーが好きなので、自分のバッグ

などにも、チャームの様にルビーをぶら下げて

喜んでいますが、とても楽しいモノです。

自分にとっては大切なものです。

そして、私はジュエリーも好きですので、右手にはルビーが

あります。

アクセサリーとジュエリー(リング)は、ずっと毎日使っています

が、自分自身の感覚では、時間軸が違うのかなと思います。

100年単位で考える宝石ジュエリーと、何年か楽しむ

アクセサリー…

それぞれ使う目的が違うので、当然ですが、

そういう眼でみてピッタリなジュエリーを探して頂きたい

と思います。


あなたが生まれたのは…お母さん、お父さんが結婚したから…

2011年07月01日 22時36分08秒 | 宝物

モリスブライダルが大切におもうのは、リレーション…

これから、結婚されるおふたりが出会えたのも、

お母さん、お父さんが一緒になってくれたから。

あなた自身が結晶だと思います。

だから、モリスブライダルは、お母さんがお父さんから

贈って貰ったダイヤモンドを結婚指輪に使ってほしい

と思います。

また、プロポーズする男性も…そのお父さんが

お母さんに贈ったダイヤモンドがあるはずです。

そういう受け継がれた宝石は、買うことのできない価値が

あると思うのです。

モリスはそう思いますし、そういうのが宝の石

宝石だと思います。


産地によって違うルビーの硬さ…

2011年07月01日 15時11分07秒 | 宝物

どこの産地のルビーが一番硬いか?

産地によってルビーの硬さが違うというのは、

カット研磨を担当するゾーミンチョー君や

今は亡きミンカイ教授がよく言っていたことです。

Nam-Ya鉱山のルビーが一番硬いとのこと、

実際に試してみたのですが、確かに削れにくい。

モース硬度で表すと同じ9番でも産地によって

硬さには差があるようです。

これと、同じ話を諏訪貿易の諏訪会長もおっしゃって

ました。

ダイヤモンドも産地のよって硬さが全く違う…

天然の宝石には、まだまだ知られていないことが

多くて面白いものです。


現場では常に例外がある…ルビーの内包物

2011年06月30日 20時44分29秒 | 宝物

これは、珍しいNam-Ya鉱山のルビーの中に見られた

糖蜜状組織(水とルビーを混ぜたようなもの)です。

通常、Nam-Yaのルビーには糖蜜状組織は見られない

のですが、時々、このような成長線が見られます。

何でも、例外があるということです。

その他にも…

色々な結晶の形が、楽しめます。

説明より、そのままご覧いただいた方が楽しいと

思います。

これは、Nam-Ya鉱山特有のシルクインクルージョンです。

モゴック産と比較したら少し細い印象を受けます。

…というわけで、皆さんもぜひ、ご自分の宝石の中を

ルーペでのぞいてみて下さい。

 


ルビーのインクルージョンから学べること

2011年06月30日 06時48分26秒 | 宝物

モリスは、とても希少性の高い無処理で美しい

ミャンマー産のルビーを専門にしておりますので、

毎日ルビーを観察しています。

(無処理のルビーのデータを残すために)

観察していて思うことは、一番最初にルビーを

顕微鏡で見た時と今では、同じルビーを見ていて

も感じている事が全く違う…ということです。

最初は、書籍に乗っている結晶などを見つけては

写真を撮っているにすぎなかったのですが、

そして、それがしばらくして、ルビーが持つ、人

でいう指紋のように感じ始め…

最近になって、その内包物がこの形になった

時のことなどにイメージが膨らんでいきます。

いつもコメントを頂戴するNwaveさんの文章を

拝読しているうちに、色々なイメージが頭に

浮かび、本当にありがたいことです。

これからも、ずっとルビーの内包物を見続けて

いきますが、10年後には、どんなメッセージを

受け取れるようになっているのでしょうか?

いまから楽しみです。


見ただけでは、内包物は無いように見えても…

2011年06月29日 20時49分03秒 | 宝物

ミャンマー北部カチン州ナヤン鉱山で採掘され、

ヤンゴンでカット研磨された2.39ctのルビーで、

ある鉱山主経由でモリスへやってきました。

透明度が高く、10倍のルーペでは内包物は見えません。

私たちジュエラーは、無処理で美しいルビーに内包物が

見えないと意地でも探してしまいます。

なぜなら、内包物(インクルージョン)がルビーの

育った環境を探る手がかりになるので、全く内包物が

無いルビーは、いくら出身地が分かっていても安心

できません。

インクルージョンは、ルビーにとっては指紋の様なもの

なのです。

という訳で、顕微鏡で確認です。

ありました。 小さな、小さなシルクインクルージョンが確認でき

ました。

1時間ぐらい結晶の中を探し回りまって、やっと発見したので、

嬉しくて…。

今のところインクルージョンを発見できなかった無処理の

ルビーは無いので、(過去10年間で)おそらくこれからも

出てこないと思います。

皆さんにお伝えしたいのが、ルビーのインクルージョンを

見てみて下さい。

全く違う、宝石ルビーの姿に親しみが湧いてくると

思います。


モリスが送り出したデザインとは…

2011年06月27日 20時06分10秒 | 宝物

私たちモリスはジュエリーのデザインについて

社内で度々、論議されます。

「何がモリスが採用するべき良いデザインなのか?」

「ルビーを最高に引き立てるデザインとは…」

そのルビーの個性、構想、つくりなど…を

突き詰めて行っても、最終的には導かれる

決定的なこたえは、ありません。

その理由は、デザインというものをどの様に

認識するか? というスタート地点によって

意見が分かれるからです。

ここに、とても参考になる文章があります。

本屋さんでよくかけるPen Books

「茶の湯デザイン」(木村宗慎先生監修)の

「はじめに」で登場する文章です。

本文より引用ここから)

「ユニバーサルデザイン」という単語が登場して

久しいが、ふたつの点で、極めて狭義の意味合い

で使われているようだ。

先ず第一に、モノ=プロダクトのデザインを指すに

留まっている。そもそも「デザイン」という言葉の語源

をご存じだろうか?「ディ.サイン=(de-sign)」

署名がない―つまり、どこの誰がつくったかわからない

が、誰もがみな知っている―そのような造形を、

はたまた状況を指したものだ。現在、我々の生活を

彩るモダンなプロダクトのみが「デザイン」ではない。

第二に、ユニバーサルといっても、健常者と障害者

高齢者や幼年の区別をなくすことを意味し、時代や

国といった人と人、モノとモノ、あるいは、モノと人を

分かつあらゆる障害を乗り越えて普遍的である…

という強い意味で使われているのではない。

世間を見渡すと、単なる今日的工業生産品を指す

狭義の意味ではなく、広義の本来的なユニバーサル

デザインが、実は随所に存在している。時代の波に

洗われながらも、消え去ることなく洗練の度を増し、

政治的にも、文化的にも国境を越えて、人の心の

琴線を打ち震わせる”美”。

日本にもいくつかのこされたそんなユニバーサル

デザインのひとつが茶の湯だ。

千利休に代表はされても、実際には武将、職人、

商人など、身分や時代、貧富の垣根を超越して

多くの日本人の手で編み上げられた茶の湯には

”伝統”のひと言では語り切れない魅力がある…

(引用ここまで)

この様に、ジュエリーデザインというものが、

プロダクトデザインを指すモノではなく、

それを取り巻く文化的背景も影響するとしたら…

やらなければならない事が、山のようにあるという

ことです。

…となるとモリスが送り出したデザイン、いや問いかけ

があるとしたら、原産地で頑張るスタッフの祈りの

こもった原石、スタッフが一生懸命に探したルビー

の方が、たくさんあって市場で売りに出ているモノより

宝石らしいのではないか…ということでしょうか?

勿論、まだこたえは出ていませんが。

 

 

 

 


顕微鏡でルビーの中を散歩する

2011年06月27日 08時36分26秒 | 宝物

ルビーの中を顕微鏡でのぞくと…

まるで海の底を遊泳している様な気がする

事があります。

0.1㎜以下の距離だと思いますが、ピントが

合っていないが、何かあるぞ…と操作して行き、

その何かにピタッとピントが合った瞬間、

そのインクルージョンは、まるで自己主張

し始めるかのように表情が豊かになって行きます。

見ている私側が感じているだけではなく、

ルビー側も何か言おうとしているような

感覚です。


Historic Rings という本

2011年06月26日 12時15分18秒 | 宝物

写真は、ダイアナ スカリスブリック女史著の「Historic Rings」

という本です。

もう何百回と開いては、4000年前からのリングの解説を

呼んできました。

最初は、340ページにも及ぶ歴史的なリングの写真や情報

に圧倒されていましたが、手にしてからもう5年目で、

最近は、どこに何の情報が書いてあるのか覚えて、

親しみのある本になりました。

例えば、このリングは、BC1295-525年の古代エジプト

のリングで、船に上に座った二匹のヒヒば、太陽の神様

を崇めるデザインですが、同じコンセプトのリングが

ツタンカーメン王のお墓からも見つかっているということ

が書かれています。

何千年も残ってきたリングは、今生きる私たちに

色々な角度からメッセージを伝えてくれます。

私は、素晴らしい本だと思います。


日本のハイエンドはお茶

2011年06月25日 17時06分36秒 | 宝物

日本のハイエンドな文化といえば「お茶」

が代表的なものだと思います。

長い歴史に加え、その時代ごとの社会的

地位の高い人物が、自らの感性に磨きをかけ

ながら、トレンド作り出していった様は、

まさに日本のハイエンドといって差し支えない

と思うのです。

そのお茶の会で、お道具を拝見する場面。

例えばお茶碗、お茶尺、おなつめなどの

呼び名、来歴を聞きながらどう感じるか?

などを亭主と会話しながら、実際に手に

取って拝見させていただきます。

何百年前に、お大名が、茶人と同じものの

触感、色目、重さを感じる。

しかもオーナーさんの想いのこもった

説明付きで。

想いは、理屈ではなく、感性です。

ですから、

「これは品質が高い…

これは世界で一番、お値段のお高い…。」

といったような、物質や金額だけ、いわゆる

理屈だけで語られる世界のレベルのもう一つ

上の世界だと思います。


そういった意味で、ハイエンドの頂点かも

知れません。

ハイエンドな文化とルビーは相性がとても

良いと感じます。

モリスルビーの箱に箱書をして、それが第三者

が発行する分析結果報告書よりも信頼される

ようになれば…それがモリスの目指すブランドです。

写真は、Pen 茶の湯デザイン(木村宗慎先生監修)の

中から、干菓子の紹介で、「福紅梅」


本当のエコ…

2011年06月24日 21時02分59秒 | 宝物

ルビーは、経年変化が無く、1000年経っても

変わりません。(800年前のヒストリックリング

を見ても、何の変化もありません)

そして、人が作ることができません。

そして、何千年も前から人々に大切にされて

来た宝物です。

近年の貨幣経済は、紙幣の印刷のしすぎかも

知れません。

ある書籍で呼んだのですが、2000兆円とも

4000兆円、いや6000兆円もの行くところのない

ホームレスマネーが、世界を徘徊していると、

複数の書籍で見ました。

…もともと、今の貨幣は、ゴールドスミスが

金庫に入っている地金の分だけ「NOTE」

信用状を発行したことから始まっています

ので、金=現物の保有量と紙幣の量が切り離さ

れてからは、印刷すれば紙幣が増える訳で、

少し増えすぎているのでしょう。

だから、ホームレスマネーが生まれる訳です。

ここら辺りで、レアアースの代表的なシンボル

ルビーに、これらの「悪さ」をする貨幣を

吸収して貰いましょう。

人が増やせない、変わらない、受け継がれる、

歴史が長い…そういうモノの絶対価値は

近々見直されると思うのです。


橋本貫志コレクションを拝見する意味

2011年06月24日 08時10分20秒 | 宝物

Histric Ring の著者ダイアナ スカリスブリック女史

が橋本コレクションを絶賛しているポイントが、

上記の婦人画報の記事のとおり、そのコレクションを

分かち合おうとしているところです。

もう4年前になると思いますが、諏訪会長、宝官優夫氏

が橋本コレクションを実際に手に取って拝見し研究

しようという「指輪を手に取る会」にお声掛け頂き

参加させて頂くようになって、運よくいつも橋本氏が

出席される時は、橋本氏のお隣で座らせて頂いて

詳しく説明を頂きました。指輪を1分で見て後は

説明をお聞きしていた様に感じます。

その時に、「あなたたち若い人が、こういう歴史的な

モノを…実物じゃないと…それを手に取ったら、もう

説明はいらないでしょ。何かを見出すには、実際に

重さ、肌触り…そういうものが大切で、そういう体験

を経て感覚を磨いていく。それが大事」と教えて頂いた

事を思い出します。

橋本氏の分かち合おうとしていること…ことの意味は、

リングを手に取って「受け継いで行く」ということの大切さを

感じなさい、勉強しなさい…

そして、私たち後輩が、受け継いで行ってもらえるような

Ringをつくりなさい。ということだと思います。