monoろぐ

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山田詠美「学問」

2010年02月20日 | 読書日記

 「“女性の性欲”に踏み込んだ作品」とかいう内容の書評を読んだので、どんな中身かな~と気になってたのですが、買うほどじゃないと思って図書館予約してたら、読むのがこんなに遅くなってしまいました。
 男の子の性に比べて女の子の性はずっと抑圧されてきた、でもこの本では、――って感じの前振りでこの本を読んだのですが、“女性の性欲”の表現に関しては、特に目新しいこともなかったです(もの足りない気分)。官能風味の青春小説、ってカテゴリになるのでしょうか。
 仁美自身が、女の子の性欲は隠すべきなんだ――と知った後、その風潮/習慣に迎合しちゃってるとこが不満。
 本文には書かれていない、“生涯独身であったろう仁美のその後”を想像すればよいのでしょうが、たとえ仁美のその後の人生が、“性の欲望を満たすため”に費やされたのだとしても、そういうはっきりした記述がほしかったです(弟子宣言とか死亡公告だけじゃなく)。

 縛られたい・操られたい・支配されたい、ってのは、わりと女性には一般的・共通的な欲望なんでしょうか。実際に体の関係を持ってみたら、心太はホントに支配者タイプだったのか、ってのも気になりました。(心太の死亡公告を見ると、「世界を自分のものにしたい」って願望は本物だったという判断ができるのですが。)
 どうせなら、心と体の違いについても、突っ込んで書いてほしかったです。例えば、支配されたいって妄想があるけれども、実際に束縛されてみたら、全然よくなかった――とか。「“欲望”の忠実な愛弟子」と宣言したからには、ヤりたくなったら手当たり次第、だったのか、とか。タマってる時(?って女の場合もこう言うのかわかりませんが)にレイプされる、みたいな、官能小説(あるいは成年コミック)にありがちなシチュエーションになったら、どーなの?、とか。
 あとは、男性ならよく言われる(?)ような、セックスとオナニーの快感の違い、とか。

 本書に書かれていない部分を勝手に想像するならば――
美流間に戻ってきた心太と仁美の間に性関係が復活し、しかしそれは長続きせず心太は交通事故死する。
 心太の息子・拓郎を少年時から喰っちゃった仁美。(←ココをもっとふくらませてほしい)
 これってかなりの年齢差(30歳以上?)になるわけで、拓郎の母親・桃子の立場に立ってみれば、とんでもないハナシです。

 しかし、野々村先生は自■で終ってたなら、なにも“変態”よわばりされずに済んだのでは? 妄想を行動に移して中学生の教え子をレイプしたことで“犯罪者”になっちゃいましたが、頭の中の妄想だけならば個人の自由なのではないか、なんて思ってしまいました。


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