monoろぐ

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古典の季節表現 九月

2013年09月02日 | 日本古典文学-秋

九月
野分の風すさまじくすゝきはほに出てなにのたゝちにたれをかまねくらん
萩の葉かれゆきて蝉(せみ)のもぬけたる又あはれなり
咲つゝく菊のまがきは露うるはしくみえわたりてひときはのながめぞかし
もろこしの慈童(じどう)が菊のながれによはひをのべて七百歳(さい)をへしかどもかたちはただ十六七なり
ほうそといへる仙人(せんにん)になりけん
それよりこのかた菊を延年草(ゑんねんさう)と名づく
陽九(やうきう)といふは九月九日
これ大陽の日にして菊の酒をのむときはかならずやまひをのがるゝとかや
されば我朝(てう)には賀(か)州(しう)に菊酒(きくざけ)あり
むかしは菊の山ありて谷水なだれ出たるをさけにつくりてのみけん
人みな一百二百のよはひをたもちてやまひなかりし
そのためしよりいまにつたはる名物也
(佛教大学図書館デジタルコレクション「十二月あそひ」より)