もっきぃの映画館でみよう(もっきぃの映画館で見よう)
年間100本の劇場鑑賞、音声ガイドもやってました。そんな話題をきままに書きます。ネタバレもありますのでご注意を。
 



【福知山シネマ初日(7/2)】チェンマイ帰りの飛行機のなかで見て、大興奮の
ブラック・スワン。それ以来劇場でみ見たく見たくてこの日を心待ちにしており
ました。珍しく、会社の同僚と野郎3人で入場。実はこの3人で行くのは
スターウォーズ3以来で、あの映画もナタリー・ポートマンがいて、ダークサイド
の話。これはなにかの因縁か?7/2は、福知山シネマでの初日。最終回の
19:05~は観客19人という、当地で私が鑑賞したなかではとても多い入りでした。
ただ終了後、他の二人は「もっとストレートなのが・・・」とか、いまいち。昔
「スタンド・アップ」(シャーリーズ・セロン主演)を自信満々で薦めたときも
反応はいまいちだったので、趣味の違いか、期待させすぎたか?
でも私は大満足。「私を離さないで」を超え今年上半期No1です。

ちなみに、前述の野郎と意見があったイチオシ作品は「ラストコーション」と
「キックアス」です。こちらもオススメ。

注)以下、ネタバレ・妄想満載の感想・理解です。

【バレエ・白鳥の湖】小学生のころにみたようなおぼえがあるのですが、
黒鳥の悪魔的な手の動きと、白鳥が舞台のとても奥の方の高いところで
踊っていた記憶がある程度。白鳥と黒鳥を同じ人が踊っているというのは
今回初めてしりました。また、あるブログで、「王子は悪魔の魔法で姫
そっくりに化けた女性オディール(悪魔の娘)に心を奪われてしまいます。」
と書いてあったのですが、何でそっくりに化けて黒鳥と白鳥やねん?と、
まあ、まったくわかっていなかったのですが、映画は楽しめました。でも、
やっぱり、もとのストーリーを知っといた方がさらに楽しめそうなので、私が
映画鑑賞の後に、ネットでみたのと、映画の中で監督が説明していたのと
あわせて以下のようにまとめました。

<映画のためのミニマムストリー・バレエ白鳥の湖>
悪魔ロットバルトは、うら若き女性を白鳥の姿に変えて飼いならし、夜の席の
ときだけ人間に戻して接客をさせて、おりました。ところが、白鳥のオデットと
王子が恋に落ちます。宮廷で嫁選びの舞踏会が開かれるのですが、ここで
王子が白鳥オデットと永遠の愛を誓い結婚することになるとオデットは呪いが
とけてずっと人間に戻ることになります。悪魔ロットバルドは、そうはさせじと
娘の黒鳥オディールを白鳥オデットの人間の姿に変え刺客として舞踏会に
送ります。たよりない王子は、悪魔ロットバルトに操られていることもあり、
オデットに化けた黒鳥オディールを選んでしまいます。黒鳥は、してやったりと
勝利の大回転。いつもより多めに回転して、絶望した白鳥オデットは岸壁から
身を投げるのでありました。
※白鳥と黒鳥は、同一人物が演じる。

こう書くと次回みるときには、悪魔ロットバルトにもっと注目してみたいです。
なんか悪魔みたいなのがおるなあというぐらいで見過ごしてました。バレエの
白鳥の湖を少しわかったところで、映画の内容に入っていきます。

【ニナに潜在するダークな部分】
オーディションで、このままでは自分、ニナ(ナタリー・ポートマン)が新プリマに
選ばれる可能性はないと見るや現プリマのベス(ウィノナ・ライダー)から奪った、
口紅をして監督(ヴァンサン・カッセル)へ直訴する。監督は既ににヴェロニカに
決めたよといい、ニナもうまく主張できないでいる。だが、監督は口紅効果か
根っからのすき物か、唇をいきなり奪い、ニナは思わず噛んでしまう。驚いた
監督なニナのなかのダークな部分に気づき、後ほどニナをプリマに選ぶ。

ここだけでも見所たくさん。まずは万引きで有名なウィノナ・ライダーが、万引き
されるというところで、配役はダーク。さらに、既に万引き犯を超えている!!
ということでニナは既にダーク。わざわざべスの口紅をして乗り込むあたり、
ニナは二人の関係を知りつくした上での確信犯と思えるので、優等生とか純粋
とかいう表の顔とは別に、ただものではないしたたかさも感じさせます。

一方の、トマ監督。はたして「ヴェロニカ」を選んだというのは本心だったの
でしょうか?オーディション候補を選ぶシーンでは、踊っているバレリーナ達に
タッチしていき、タッチしていない方を選ぶという「ぬか喜び」をさせています。
ひょっとしてニナの直訴がなくとも、選んだのではと考えさせられるように、この
映画ではどちらともとれるシーンのオンパレードです。

【受精:リリーから黒鳥の遺伝子を注入】
新プリマに選ばれたものの、黒鳥が踊れずに悩むニナ。ニナとは正反対の性格
でライバルでもあるリリーに誘われ、クラブでドラッグに手をだす。ここから先は
それこそ何が本当で何が妄想・幻覚かわからない世界の始まり。別の解釈を
すれば、ニナにこうあってほしいという見る側の願望をも、包み込んだ展開に
なっているところが妄想を書き立ててくれます。さらに妄想であろうがなからろうが
象徴的と思えるのが、ニナの自室での、リリーとのセックスシーン。猥らな唇で
仰向けのニナを支配するかのように覆いかぶさるリリー。体を重ねると、背中の
黒鳥の羽の刺青がうねりだす。このときのリリーの表情といいカメラアングルと
いい、この映画のひとつの絶頂ですね。ニナのもともとダークな部分に、リリーの
黒鳥遺伝子が注入されたというのが私の解釈です。

【胎動:背中の棘は、黒鳥スタンバイの合図】
公演初日が近づくにつて、ニナの心はますます不安定に、ほとんど暴走ともいえる
状況へと迷い込んでします。公演の前夜、自宅に帰ったニナは、最近悩まされ
続けている肩甲骨のやや内側にあるあざに、突起があるのに気づき指でひっぱり
だします。このシーン、飛行機の小さな画像では短なるトゲに見えたのですが、
映画館ではばっちり見えました。羽ですね。まだ生え出した黒鳥の羽。皮膚の下は
すでに黒鳥が迫ってきているという衝撃的なシーン。ニナは耐えられるのか?
飲み込まれてしまうのか?ということろで、やりすぎとも思える足が不自然な位置で
ガクガクと曲がって倒れてベッドのふちのパイプで頭を売って意識不明へ。

このあたりは、ホラー映画的な映像がつづきますが、私は、内面の葛藤の映像化と
捕らえたいところです。タイガーマスクの、ミスターXが、「ムフフフフ」と低くわらい、
「虎だ!虎だ!おまえは虎になるのだー!」という闇からの声を思い出しました。
ニナには「トリだ、とりだ、お前はトリ(黒鳥)になるのだ!」という声が聞こえてきたの
では? 思えば、タイガーマスクも正義パンチといいながら、どうしようもないときは、

とてつもない反則技をくりだしてましたっけ?話がそれました。

【王子様への抗議は、悪への宣戦布告】
代役にプリマの座を奪われそうになりながらも、初日の舞台に登場したニナ。内面的
には、不安定ながらも、対人的には驚異的な強さを見せつけます。優等生的であれ
トップをとるひとは強くないとね、と思わせられます。その典型が第二幕の王子
様のリフトから落っこちる場面。落っこちたときの気弱な表情とは別に、幕間では
監督に「私のせいじゃないわ。彼が落としたのよ!!」と叫びます。こうなると、
彼がおとしたのか(主役を狙うリリーの策略)なのか?はどうでもよくなります。
ニナは、監督にどやされて黙り込む昔のニナではなく、堂々と主張し、黒鳥リリーに
対して、あるいは、裏で自分を惑わす悪への宣戦布告をしたのです。

【殺人で、リリーの黒鳥を超える】
白鳥から黒鳥へと変身するために、ひとりの控え室へ戻ったニナ。何とそこに
待ち伏せていたのは、黒鳥の衣装をまとったリリー。「私が踊ったげる」とムカつく
発言のリリーとの乱闘となり、殺されそうになりながらも、割れたガラスを突き刺して

大逆転勝利。死体を引きずって部屋の隅に隠し、リリーの黒鳥を征して、第三幕へ。

舞台に登場したのは、おーっとデーモン小暮か?と一瞬思えた、第二幕とは別人の
ニナ。前半の黒のベールは、息ができないような拘束感、緊張感をかもし出し、
クライマックスの32回転(数えてないけど)では、CGも冴えて、最後には、全身黒鳥
に変身してお辞儀。まさに鳥肌がたつほどカッコイイシーンです。

舞台の袖にもどったニナは、監督に自らキス。笑う監督の口には血がついてるん
ですね。監督が「噛みよった」と、直訴のニナに叫んだ場面の再来であり、ジョーク
なんだと思いますが、サイコホラーでシリアスな合間のこのセンス、大好きです。

【黒鳥を中絶で産み落とし。白鳥に戻る】
黒鳥の踊りで大絶賛を浴びたニナは、再び控え室にもどり、白鳥へ着替える。その
とき、リリーが訪ねてきて死体がないのに気づきます。あ~自分は殺してないんだ、
とやや安堵。でも、なんでガラスが割れているの・・・・。ここで思い出されるのは、


病院にベスをお見舞いに行ったときの場面。車椅子に座ったベスは、ナイフで自分の
喉を何度も何度も突き刺します。思わず逃げ出すニナがエレベータに入ったところで、

自分が血のついたナイフを持ってるのに気づいて、ナイフをあわてて手放します。

控え室の場面に戻り、自分のおなかに血の傷口をみつけ、そこに手をやると、今度は
黒鳥の羽ではなく、かなり大きめのガラスの破片を取り出します。
自分は殺してはいなかった。でも、自分を刺してしまったんだ・・・。

このあたり、見ていてかなり混乱します。ベスの場面でも、その後死んだという話は
でてこなかったんだから、きっと幻覚だよね。今回も幻覚だよねと言いたくなります。

果たしてこれで、第四幕は踊れるのか?どうなるのか?と観客もニナも混乱のまま、
ニナは泣きながら化粧をつづけます。このときのニナの美しいこと。この映画の
ナタリー・ポートマンは、はっきり言ってやせすぎ。しかも、明るく元気なイメージとは
違いおびえたり自信をなくしたりで、あまり可愛くないんですね。それだけに、この
シーンの混乱しながらも、前を向いて、殺してなかったことへの安堵感もある表情は
この映画で私がもっとも美しいと感じた瞬間でした。

さて、今から振り返えりますと、この映画で鏡を使った映像はいろいろとでてくるの
ですが、ある意味鏡はもう一人の自分。ほかの人から思われている優等生・白鳥の
ニナに対して、鏡の中のニナは、もう一人の黒鳥的心のニナをあらわしているとも
言えると思うんです。そうすると、お腹からとりだしたのは、鏡ではなくて、もうひとりの
黒鳥のニナとの解釈もできるのではないでしょうか?第三幕の黒鳥を踊りきったニナ
は、第四幕の白鳥を踊るためには、自分のなかから黒鳥を吐き出してしまう必要が
あったのです。トゲがでてくるのは、黒鳥の羽なので、背中の肩甲骨内側の羽が
生えてきそうな場所である必要があったように、受精し育てた黒鳥を取り出すには
子宮(お腹)の位置から、流血しなくてはならなかったと考えます。

【舞台での白鳥の死、新プリマの完成】
いよいよラストの第四幕。仮に客席からステージ全景をみたときの映像は、真実と
するならば、お腹の傷は実際にあったことになるわけですが、もともと得意の白鳥を
踊りきったニナは、白鳥の運命そのもののように崖から(実際には舞台のマットの
上へ)と落ちてゆきます。直前のシーンでは、客席に感涙している母親が映ります。
母親を乗り越え、ベスとリリーを乗り越えて、ニナ自身をも乗り越えて白鳥と黒鳥を
演じたまさに、完璧な新プリマの完成。お腹からの流血がおびただしくなり、まわりが

騒ぎ出す一方で、ニナは「感じたわ。完璧だわ。」と言って、白転。エンドロールへと

移っていきます。

「感じたわ。」の部分の映画は、なんと言っているのか聞き取れなかったのですが、
映画のなかで一番侮辱的なことばとして、監督から「不感症女!!」、だから黒鳥を
踊れないんだ、とばかりに言われていたのでそれに対する答えでしょう。

【傷口が消え、万雷の拍手に応える】
私の妄想のなかでのエンディングには続きがあります。
一瞬気を失い真っ白になった頭のなかに、監督の「マイ・リトル・プリンセス」という

言葉が飛び込んできます。いつかリリーがニナに「監督がベスのこと何て呼んでるか
知ってる?マイ・リトル・プリンセスって呼んでるのよ。きっと、そのうちあなたのことを
そう呼ぶようになるわ。」といい、ニナが「そうは、思わないわ」言ったその呼称です。

その声に、ニナは目を覚まして、監督の差し伸べる手を取って立ち上がり、一瞬
黒鳥のような目つきで監督をみますが、やさしい笑顔にかわり、お腹の傷もみるもる
消えてゆきます。ステージ中央に立ち、万雷の拍手に答えるニナ。ジ・エンド。

つまり、すべてのホラー的な要素は、天才ニナの頭の中の葛藤を映像したもので、
天才とはいえ、新プリマの誕生には狂気と戦って打ち勝つ必要があったというお話。
これからも、狂気はやってくるかもしれないけれど、翌日からもニナは、白鳥の湖の
舞台に立ちつづけるのでありました。

これが、私の妄想であり、こうあってほしいと望む展開です。でも、人によっては、
このままニナは白鳥の湖のストーリーそのままに死んでしまった方が、美しいと
考える方もおられるでしょうから、選択の余地を残して(もっとも後半は全部夢の中
という説明も成り立つと思いますが)おいたほうが、いいのでしょう。

【おめでとう、ナタリー・ポートマン】
アカデミー主演女優賞、結婚、妊娠と、おめでたつづきのナタリー・ポートマン。
しばらく、出演作がみれなくなるのは残念だけど、おめでとう!!

【狂気が見たい方は、同監督のこの作品を!!】
なんだかとても長くなりましたが、本作のダーレン・アロノフスキー監督作品といえば

「レスラー」が有名で、プロレスファンの私も大好きな作品ですが、狂気を描くという

意味では「レクイエム・フォー・ドリーム」を、オススメします。妄想に取り付かれた

婆さんがでてくるのですが、私のなかでは、そのお婆さんと、「スペル」のおばあさん

が、恐ろしいおばあさんの双璧です。
一方で、同監督作品で唯一(4本中1本)私にとってハズレだったのが、
「ファウンテン 永遠につづく愛」。なんじゃこれ?さっぱりわからんという映画でした。

ではまた。


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