もっきぃの映画館でみよう(もっきぃの映画館で見よう)
年間100本の劇場鑑賞、音声ガイドもやってました。そんな話題をきままに書きます。ネタバレもありますのでご注意を。
 



かなり遅れましたが、新年あけましておめでとうございます。新年の1本目は、お正月で年賀状もかかずに、ゆったりと書きました。長編デビューの女性監督作品です。今年もマイペースで続けていきたいと思います。
よろしくお願い致します。

タイトル:酒井家のしあわせ
ジャンル:家族/2006年/102分
映画館:テアトル梅田(60or96席)
鑑賞日時:2006年12月23日(土),20:50~ 30人?
私の満足度:75% 
オススメ度:75%

<序>
月刊シナリオ、いつもながら冒頭の数ページだけ読む。たいがいの場合、この脚
本がどのように
「映画化」されるのかなあと考えながら映画館に行くのだが、この『酒井家のし
あわせ』は、
なんと鮮明にイメージがうかびあがったことか。しかも、カメラの動きと撮影対
象となる局部を指定した
具体的なト書きまである上、脚本=監督。はたして、この鮮明なイメージは、鮮
明な映画となり
鮮明なメッセージが伝わってくるのだろうか?

<冒頭:シナリオを参考にしてますが、1回見たときのメモよりまとめました>
タオルケットの局部アップ。起伏に影ができ、なかから“ぐにゅ”という口から発
せられる音が聞こえる。
起伏は生き物のように動きながら、全体が薄れてゆき、水色の空に変わる。
空からカメラがパンダウンして街の全景。田畑が広がり、地方の小都市という感
じの街
(ロケ地:三重県伊賀市だとか)。その向こうは山が広がり、手前も山。 
画面の右端に縦書きでやや小さめに、メインタイトル『酒井家のしあわせ』

手の上にのせた豆腐が、手際よく縦に横に包丁が入れられサイコロのようにな
り、沸き立つお鍋に入れられる。薬指にはリングが。続いて、キャベツの千切りがお湯の中へ。
ピカピカの台所。味噌汁をよそうお母さん(友近)
半袖ワイシャツのお父さん(ユースケ・サンタマリヤ)は食卓で新聞を読みながら
テレビをどこで買い替えるとか、誰々に聞こうとかのお母さんと会話。
4歳くらいの娘は、お父さんの向かいの席で熱心にソーセージをきりきざんでいる。お母さん『ヒーチャン何してんの』と怖い顔。

家の全景。小さいながらも2階の一戸建てに、駐車場、庭あり。黒い石に、白く
削り取られた『酒井』の表札。その下にある、郵便受けと一体型のインターフォンが押される。
お母さん『はい、ナリちゃん?おはよう。ごめんな、ちょっと待ったってくれ
る?』受話器を置いて。『次雄!いい加減おきなさいよ!ナリちゃん来てるよ。』
タオルケットから、やや長髪の黒髪が覗き、やがて日に焼けた肌、そして眠そう
な目の少年。(森田直幸)。

まだソーセージで遊んでいるヒーチャン。
お母さん『何回いったらわかるん』といいながら、お父さんに2段重ねの弁当を
渡す。お父さん、ヒーチャンの頭をポントたたいて立ち上がりあがり出てゆく。
お母さん『今日次雄の誕生日。何か美味しい食べにいこ』
ヒーチャンは、うれしそうにまだソーセージを切り刻んでいる。

家の前、自転車横に中学生ぐらいの男の子、ナリ。イヤホンをしていて、音楽に
ノリノリ。お父さんがでてくる。
ナリ『おはようございます』
お父さん『今日は、何きいてるの?』イヤホンをひとつ耳に入れて『また熱いの
聞いて』
イヤホンを返して、赤い車に乗り込み、住宅街のなかを進んでゆく。建売が並ぶ。

階段をおりてきた次雄。お母さんがたたみかける。
『アンタなあ、夏休みダラダラしたいんやったら部活なんか入らんとき。』
『金魚の水、汚れ放題。アンタ買ってきたんやから責任もって世話しなさい。』
『靴下やぶれてる。左右逆にはいときや。』
次雄、耳を貸さずに弁当を受け取る。『行ってくる』
お母さん『今日、誕生日、ご飯連れたたっさけ、さっさと帰っておいで。』
『ごめんねえナリ君!気いつけてね』
自転車を並べて走り出す二人。

玄関にある金魚鉢。赤い金魚が一匹、緑茶のような水の中を泳いでいるのを
見ているお母さん。
次雄の声『この人がバツ一です。僕が生まれた年、最愛の旦那と僕の兄にあたる
長男を交通事故で亡くし、それから約6年間は、真っ黒な人生をおくりました。』

自転車で坂道を駆け降りる次雄。
次雄の声『そして、旅先の海水浴場で、この人と運命の出会いを果たし、即、結婚』
鼻歌をうたいながら車の運転をしているお父さん。

次雄の声『そしてまもなくこの子が生まれ、今に至っています。』
ヒーチャン。自転車の後の子供用の席に後ろ向きに座って、うれしそうにひとり
あそび。お母さんがやってきて、抱いて前向きに変えて、自転車をこいで住宅街のなかに消えてゆく。

<goo作品解説・紹介より引用>
関西の田舎町に住む酒井家は、父・正和、母・照美、兄・次雄、妹・光の4人家族。
どこにでもありそうな一家だが、実は照美は再婚で、次雄は前夫の連れ子。
次雄と光は父親違いの兄妹というちょっと複雑な関係だ。そんな家族関係を
最近ウザく感じていた次雄は、親友ナリとつるんだり、同級生の秋に滑稽な告白を
されたりしながら日々を過ごしていた。しかしある日突然、照美と喧嘩していた
正和が
家を出ると言い出し……。

<感想:ネタバレあり>
昔、松坂がプロ野球にデビューした頃、「末恐ろしい」ではなく、「もう恐ろし
い」という表現を
した選手がいたことを思いだした。身近な話題で、自分で脚本を書き自分で監督
をしたから
といって、描きたかったものを表現するのは容易ではないと思うのだが、この作
品において
自ら『私って欲張りなのです』という呉美保監督は、長編デビュー作にしてそれ
を実現したの
ではないかと思えるくらい、ビンビンと響いてくる映画であった。

谷村美月以外に、私が興味のあった俳優が出演しているわけではなく、
主人公となる家族4人に至っては、この映画をみるまで俳優として知らない、又は、
あまりよい印象をもっていなかった(ユースケ・サンタマリア)のでであるが、
映画が終わるときには「酒井家」をたまらなく愛しく思えるようになりました。

キーワードは、ディテイル、反復、笑い、ギリギリ。

<ディテイル>
 冒頭の主人公、登場シーン。タオルケット(映画で見たときは毛布に見えたの
だが、
脚本・パンフの写真ともに、タオルケット)の中でうごめく様がゆっくりと映し
出され、
さなぎが孵化するよう。数場面後に、そこからはみだすようにでてくる、髪の毛
と、眠い瞳。
まるで美人女優の登場シーンのような丁寧な撮り方に共感。

<笑い>
主人公・次雄が同級生の筒井秋(谷村美月)から、体育館の用具室で誕生プレゼ
ントを
わたされるシーン。次雄が『はあ?』と、突っ立ってるところに、二人きりのは
ずの用具室に
秋のお友達が入ってくる。『筒井さん何してんの?』。絶体絶命?のシーンを秋
はいとも簡単に
『えっと、プレゼントもらいました。』と、自ら渡すはずのプレゼントを、も
らったことにして、
そそくさと部屋をあとにする。何と、しっかり、ちゃっかりの女の子であること
か。そして、
『えっ。何で?』とつぶやきながらも、反応も、反抗もできない次雄のなんと素
朴でやさしいことか。
このシーンで、会場は笑いがおきました。そして、のめり込んでいったように思
います。

<ギリギリ>
 台所の完璧なまでの小奇麗さは、ちらかしっぱなしの私からみるとやや行き過
ぎとも見えるが、
それだけに緑茶のような金魚鉢が映える。
『金魚の水、汚れ放題。アンタ買ってきたんやから責任持って世話しなさい』
お母さんにとっては、もっときれいにしたいことであろうし、自分でやれば簡単
なこと。
でも、それでは息子のためにならない。息子にとっては、買ってきたのは自分だ
けれど、
水を変えるのさえ定期的に行うのはめんどくさい、ちょっとした責任感も感じ
る。ああ、ウザイ。
無視してしまう。金魚鉢も、会話も、ギリギリのところで存在していることが、
この映画の
「たまらなさ」「緊張感」を高めていると思いました。

<反復>
金魚鉢。シナリオを読み返すと、5回も関連箇所がでてきました。 このほかにも、
反復してでてくる、小道具や癖が、強調され、効果的にひびいてきます。テレ
ビ、チョロ毛、
食べ物を小刻み砕く・・・でも一番、印象的だったのは、主人公の父の堪えきれ
ない笑い。
この笑い、私のなかでユースケ・サンタマリアのベスト・アクトです。

というわけで、初監督作品にベタ褒めという感じですが、年末にこのような作品
に出会えて
よかったよかったと実家へ帰っていった私でありました。そこには、わたしの自
宅とは異なり
整理された空間がひろがっておりました。歓迎ムードで迎えてくれるのは最初の
1時間。
その後は『突っ立ってんと手伝わんか』という母との毎年繰り返されるバトルが
繰り広げられるのでありました。

最後に、この映画は、脇役も、ワンポイントで出てくる人もすごく豪華で、しか
も当たってます。
というわけで、パンフとシナリオと記憶をもとにセリフのある方、全員紹介します。

役者名:役柄:この映画での印象:他の映画又は比較しての印象
役者名の横の年齢は、2005年に撮影されたので、2005-生まれ年
()内の年齢はシナリオに書いてあった年そのままです。

■酒井家
森田直幸14歳:主人公、酒井次雄役(中2、サッカー部員、愛称ツグちゃん、14
歳):多感な中学2年生を
真摯に演じる。:大林監督のリメイク『転校生』でも主人公を演じんるそうで夏
の公開が楽しみ。
ユースケ・サンタマリヤ34歳:主人公の父、血のつながりなし、酒井正和役(愛
称まあちゃん、37歳) :
大変失礼な言い方ですが、この映画で役者として見直しました。:『踊る2』よ
り、この作品での演技のほうがずーっとよかったと思います。
友近(ともちか)32歳:主人公の母、酒井照美役(次雄は連れ子、41歳):最初
は正直、この人がメイン??
と思いました。でもこれ大変失礼な考えでした。旦那役と同じで頭があがりませ
んなあ。
鍋本凪々美5歳:主人公の父親違いの妹、酒井光役(愛称ヒーちゃん、4歳):『コ
ントロールできない天真爛漫さに惚れた』とプロデューサーのプダクションノー
トに載ってましたが、まさに子供のコントロールできなさとかわいさに満ちてい
ました。金魚を埋葬する穴に、死んだ金魚を無造作に投げ入れる場面の演出は最
高です。

■主人公に恋心をいだく同級生と、親友周辺
谷村美月15歳:主人公の同級生で告白をする筒井秋役:しっかり、ちゃっかりの
小悪魔ぶりを発揮。:オウム事件をモチーフとした『カナリア』で主人公と逃避
行を繰り広げる援交少女を演じて、主役を食っていたのが印象的。まだ未見なが
ら『銀河鉄道の夜』でのジョバンニ役、『檸檬のこころ』でも主演。これまた楽
しみです。
栗原卓也14歳:主人公の親友、田上一成(愛称ナリ)役:ひょうひょうとした感
じながら、大阪府優勝経験のあるサッカー少年だそうで、怪我をするシーンの
『絶対折れてるわ』は、おかしかったです。:『舞妓Haaaan!』出演予定。これ
も楽しみな作品。
濱田マリ37歳:ナリの母親、田上百合子役(喫茶店「茶夢」のママ、40歳):「子
供がな、親選べへんように、親も、子供選べへんねん」は、この映画で一番の名
言。こういう喫茶店もいまでは少なくなってしまいましたね。:『血と骨』での
ビート武の何人目かの2号さん役は強烈でした。
洞口依子40歳:喫茶店「茶夢」のなじみ客、百澤雪子(35歳):祝、本作で映画復
帰。:映画デビューは
『ドレミファ娘の血が騒ぐ』。伊丹十三演じる、変態教授の実験台になる女子学
生役。結構私の血も騒ぎました。あれから20年。変わりましたなあ。

■主人公の母、照美の実家での一連のシーンに登場する人々(カニが大きい)
笑福亭仁鶴:照美の父、忠治:四角い仁鶴がまーるくおさめまっせ!!とは、まったくいかない役どころ。でも、自に近い感じがしました。
山田スミ子:照美の母?:仁鶴さんの奥様役?友近夫妻につづくサプライズ。
山田雅人:照美の兄、浩二:久々にみたような・・・仁鶴さんとのやりとりは関西の雰囲気みちみちてました。
水島かおり?:浩二の妻あづさ?:
山本浩司:浩二の息子つとむ、フリータ(25歳):突然の出現。それも、ほかの
映画から抜け出てきたような
いつもの山本浩司、私も笑いがとまりませんでした。:『ばかの箱船』で健康飲
料「あかじる」を売り歩き
売れずに片付けるシーンが一番印象的。

■主人公亡き父親の実家での一連のシーンに登場する人々(趣のある染色店)
赤井英和46歳:主人公亡き実父の弟、菅原和吉役(40歳) :赤井英和としてテレ
ビにでているときと
あんまりかわらないのにその場面場面にあってるなあといつも不思議に思いま
す。特に、次雄と話しているところに女がやってきてなんだかまずい雰囲気のと
きに『ちょっとは空気読め』みたいなセリフ。シナリオになかったけどあれは受
けました。
守田比呂也:和吉の父、主人公の祖父、菅原英吉役(77歳) :痴呆老人の役ながら、なんだ
か動きがコミカル。ほふく前進して、おにぎりをぱくつき。『飴ちょうだい!!』
松永京子?:和吉へ惣菜を持ってくる、水商売風の女、神田礼子(33歳) :これ
またワンポイントでぴったりの役でした。

※この映画で、関西出身でない、洞口、水島に対して監督は『私が方言テープを
作ってお渡ししたんです。
方言指導のプロの方もいらっしゃるんですけど、結局それが失敗の元だから
(笑)、』とのこと。
確かに、会話は自然に聞こえました。

■主人公の学校の先生と生徒たち(ロケ、伊賀私立桃青中学校:監督の母校:数
年後に廃校だとか)
本上まなみ30歳:国語の先生、藤田朋美役:こんな学校の先生がいたらやるき満
々ですね。
:『紙谷悦子の青春』でのお母さん役はよかったです。
高知東生41歳:サッカー部顧問の先生、堤曜造役
?:次雄の友人武井広太郎(愛称コウ)
?:次雄の友人鈴木哲史(愛称テツ)
?:秋の友人小泉奈々世役
?:秋のバスケ部先輩森岡舞役
?:秋のバスケ部先輩種田栄子役
?:秋のバスケ部先輩今井香織役

■その他
三浦誠己30歳:父・正和の職場の同僚、麻田武役(愛称麻田くん)

長文を読んでいただきありがとうございます。

公式HP
http://www.sakaike.jp/
監督&友近インタビュー
http://eonet.jp/cinema/interview/061221_interview3.html

酒井家のしあわせ@映画生活
酒井家のしあわせ Woman Excite

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