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人口というコトバ

2006-01-22 23:22:08 | 中国のことわざ
中国のことわざー100 人口というコトバ

1月22日の日本経済新聞朝刊の漢字コトバ散策からである。

興膳宏さんは副題を“為政者の思惑ににじむ数え方”としている。それは人数を意味する言葉として人口の他に人頭があって、この方は頭数を指す。人頭税といえば個人の税金の負担能力に関係なしに頭割りで取り立てる原始的な徴収法。民を養う面に重点があれば口で数えるといい、興膳氏はそこに為政者の思惑が暗示されているのかと指摘されている。

そういえば、昨年11月に中国に仕事で出張したとき西安市や上海の人口についての議論があったように記憶している。政府発表の人口の統計値に比べて実態はもっと多いのではないかという。確かに上海あたりでは周辺からの出稼ぎで来る流入人口が多いのかもしれない。それはそうと本題の人口というコトバに戻ろう。

広辞苑によれば①人口とは一国または一定地域に居住する人の総数②世人の口。世人の噂。(史記)とある。

興膳氏によれば(広辞苑①の)人口という用法は、漢書の王莽伝(おうもうでん)に「人口万二千人になるべし」とあるそうだ。この時代からはるかにさかのぼり、老子が逆説的な箴言として言った「五味は人の口をして爽(そこな)わしむ」がその一つ。そして、「人口に膾炙する」といえば広く人々の口の端にのぼってもてはやされることだ。

では人数を言うのになぜ“口”という字を使うのか。そのヒントとなるのが諸国を遊歴し、王者の道を説いた孟子が記した「孟子」にある。最初に彼が訪れた梁国の恵王に向かって熱弁をふるいこう言ったという。

「狭い宅地でも、桑の木を植えて、養蚕を振興し、また家畜をきちんと飼って労役で農耕の時を奪ったりしなければ「八口」の家でも飢えに苦しむことはありません」

八口の家とは八人家族の家を意味するが、いずれも家族が満足に食べていけることをいっている。民が不安なく食べられる生活を保障するのが、君主の責任であると孟子は言ったのである。

そして、冒頭掲げたとおり、興膳氏の人数を意味する二つのコトバ“人口”と“人頭”の説明へと続く。



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