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狼狽というコトバ

2006-01-29 09:33:57 | 中国のことわざ
中国のことわざ-103 狼狽というコトバ
1月29日の日本経済新聞朝刊の漢字コトバ散策からである。
ライブドアの不正疑惑で個人投資家に不安が高まって、狼狽売りが殺到、挙げ句東証がシステムダウンしたのはつい最近のこと。この狼狽というコトバは漢の時代からあるという。

広辞苑によれば“あわてふためくこと”、“うろたえ騒ぐこと”とある。「狽」は狼の一種、一説に、狼は前足が長く後ろ足はその逆。狽はその逆。両者は常にともに行動し、離れると倒れてうろたえることから、「狼狽」というそうである。この説は唐代の「酉陽雑俎(ゆうようざっそ)」という書に出ている。

杜甫の詩にはよく「狼狽」が出てくる。安禄山の乱を避けて、疎開中の家族を訪ねた旅を描く長編「北征」では戦乱の発端を回顧する。

億う(おもう)昨て(かつて)狼狽の初め
事は古先(こせん)と別なり

「狼狽」は安禄山の乱による騒動を指し、過去の先例と異なって果断だったとほめる。

また、杜甫が成都にすんでいた頃、大雨で谷川が氾濫したことを詠う「渓漲(たにみなぎる)」という詩に、水中の動物のうろたえる様を描いて言うには

蛟龍(こうりゅう)も亦た(また)狼狽す
況や(いわんや)是れ(これ)鼈(べつ)と魚をや

“蛟(みずち)や龍だっておろおろするのだから、鼈(すっぽん)や魚のあわて方は無理もない”というのである。

ところで、蝋梅(ろうばい)という黄色い花を咲かせる木がありますが、これは中国原産だそうです。「狼狽」とは関係ないと思いますが。

出典:広辞苑、日本経済新聞1月29日朝刊漢字コトバ散策



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