名古屋観光最終日、「メーグル」という市内の観光循環バスで市内観光をした。メインは名古屋城とトヨタ産業技術記念館だったのだが、時間に少しすき間が出来たので、徳川美術館に寄ってみることにした。1時間ほどしか見学できないのであまりゆっくりできなかった。
この美術館、普通でも1時間ほどで見て回ることなどできないほど充実しているのだが、特別展で「国宝 初音の調度」をやっていた。10年ぶりに一挙公開された「初音の調度」は素晴らしかった。時間がなくて駆け足での観覧になってしまって本当に残念だった。
ところが、18日日曜日、NHKのEテレ「日曜美術館」でこの「初音の調度」が解説付きで放映されていた。見逃し配信でじっくり観ると、やはりすごいものだった。現地ではザーッとしか見れなかったが、テレビでじっくり見られて残念が少しは解消された。
ところで、この「初音」というのは何なのか? ずっと疑問に思っていた。「初音の調度」は徳川3代将軍家光の娘千代姫が、尾張徳川家に輿入れする時の婚礼調度品なのだが、「初音」とは何なのか? その疑問が「日曜美術館」の解説で分かった。現存する約70点の調度品には、そのすべてに父家光が娘への思いを歌として彫り込ませていた。その歌の中に「初音」という文言が出てくる。
「年月を まつにひかれて ふる人に けふ うぐいすの 初音 きかせよ」 (ずっと会えないあなただけど 正月だからせめて便りをよこして あなたの声を届けて欲しい)という意味だそうだ。わずか2歳半で輿入れした娘に寄せる親心は、将軍といえども並の親と同じものなのでしょうかねえ。