「小説8050」(林真理子著・新潮社)を読んでいる
コロナ過が急拡大している時
大雨で各地で災害が頻発している時
こんな重たい本は読みたくない・・のに、読み始めた
ページをめくるごとに「もし、自分だったら・・」と
考え込むことばかりだ
本に出てくる家族はごく普通の家族(外目には)
夫は親の代から続いている町の歯科医
妻は専業主婦
長女は、早稲田大を出て損保会社に勤めている
最近、結婚を考えている人が出来た
長男は、これがこの本の主題になっている人物だが
中高一貫校に入学したものの、中2の夏から引きこもって
昼夜逆転の暮らしをしている20歳の青年
まだ読み始めたばかりだが、早くも波乱
長女が結婚に支障が出るから、弟を何とかしてくれと
両親に迫る場面
「お父さん、老後はどうするつもり・・」と娘
「お前の世話にはならん。適当な時が来たら、ここ(歯科医院)を閉めて
かあさんと施設に入る。安心しろ・・」と父
「翔太(弟)ことなんか考えてないじゃない」と娘
「その時が来たら、お前と翔太に幾らかの金を渡すつもりだ
それで何とかしてくれるだろう」と父
「何とかならないから、社会問題(8050)になってるんじゃないの」と娘
ここは娘に軍配が上がると思う
何ともならないよ、多分。翔太が劇的変化をしない限り
お金がある間は何とかなるだろう
だけど、このまま引きこもって働かないなら
お金は尽きる。当たり前だけど・・
翔太は高齢者になる。当たり前だけど・・
暮らしていけなくなった翔太はどうなる?
多分、姉が責任を負うことになるだろう
会話からすると、両親は引きこもりの翔太の老後を
姉が背負うことになることを、全然考えてないように思う
これまで、身近なところで、何度も
頼るところがなくなった高齢者の保護を
親せき縁者に押し付ける、行政のやり方を見てきた
行政はよほどのことがない限り、責任は負わない
引きこもっている本人には子供も孫もいないのだから
兄弟・甥や姪・果てはいとこ等々・・執拗に血筋をたどって
押し付けてくる(相談には乗りますと、やんわりと)
かつては、地縁・血縁の繋がりが今よりも強かった(良くも悪くも)
周りの人たちがさりげなく助けてくれた(物心両面で)
今の時代、家族の問題は家族だけで処理しなくてはいけなくなった
行政も、相談には乗ってくれる。支援の方法も教えてくれる
けど、実際に動くのは親せき縁者。各種手続きやらサポートは
どうしても親せき縁者になってしまう
この本の両親のように、金さえ残しておけば何とかなる
というような簡単な問題ではない
もし、自分がこんな立場に立ったら・・
行間で目が止まり、考えてしまう
この先、話はまだまだ波乱万丈で続いていく
どういう結末になるのか・・重たい!!