
年々減り続ける我々の年金。若い世代は更に、現役時代の半分も保障されないという。
しかしこの年金の積立金を安倍首相は「成長戦略」に活用するという、何に?
下がり続ける株価を維持するために、国民の財産である年金積立金を金融市場で転がして
もうけようとの魂胆。自分の金でもないのに、勝手なしかも危険なやり方は許せません。
しんぶん赤旗(7月14日付け)は特報記事で解説している。140兆円近くの公的年金
積立金は約6割を国債など国内債券で、残りを外国債などに投資しているという。積立金の
国内株の1%引き上げるだけで、1.3兆円が株式市場に流れ込むという。消費の回復が
うまくいかない中、年金投入で株価をひきあげ、国家的操作で経済の好調さを作り出す
のが狙いとか。

消費税増税、原発再稼働、憲法改悪、それに閣僚や与党議員の暴言・失言などで、とうとう
内閣支持率が5割を切ってしまった。一定の支持を維持していたのは、おそよおこぼれ
が回らない中小企業にもある「アベノミクス」への期待と幻想があること。ところが株が下が
ってきて黄色信号から赤信号に。そこで法人税減税をうちだし、財源は、赤字法人にも
課税する外形標準課税と究極の財源である消費税引き上げだ。なんのことはない、結局、
巨大企業のために、国民と中小企業に負担を強いるもの。
雑誌「経済」7月号で垣内さんは、法人税減税の恩恵は大企業と大株主にだけ、景気回復
につながる保証なし、税収の空洞化で、財政危機は一層深刻になると警鐘している。
法人税が37.5%に引き下げられた03年後は、経常利益は消費税増税前の97年に
比べ2倍以上増えたが、負担は1.5倍で、純利益も株主配当も3倍以上に増えた。しかし、
肝心の従業員の給与は増えるどころか逆に減っている現実。

大企業は利益を蓄え、この10年間で新たに、105兆円内部留保が増えたのに、有形固定
資産が増えていない、つまり、設備投資が減価償却費の範囲内にとどまっているという。
つまり税率を引き下げても企業は余剰資金を増やしただけ。
減税すれば景気がよくなるというが、最近の5年間(07-12年)で英国、ドイツは法人
税率を下げたが、税収も減った、米国は据え置いたが税収も横ばいという。
現在の問題を解明するのに役立つ投稿論文だ。