パナマ文書が10日ホームページで公開されたと新聞報道ありました。以前から指摘されていた多国籍企業や大富豪層の税金のがれ、この究明と対策が求められます。
タックスヘイブン(税回避地)は
所得税、法人税などの税率が著しく低いか、無税の国や地域。ここに法人を設立して
資産を移すことで課税を逃れるやり方です。よく聞くバージン諸島、ケイマン諸島な
ど、いずれも中南米のカリブ海、アメリカとキューバに近い所に浮かぶ小さな島々で
す。ネットワークの調べでは、タックスヘイブンに隠された世界の富が2010年末
に21兆ー32兆ドル(2310-3520兆円/$110円換算)、失われた多国
籍企業による税逃れは毎年1000-2400億ドル(110兆ー260兆円)と推
定され、そして日本企業・個人の占める割合は1割相当とか。世界の人口の1%にす
ぎない富裕層が、世界資産の半分を保有し、しかも各国の課税をのがれ、規制を逃れ
ている世界こそ、貧困と格差を広げる増幅装置です。「合法的手段で、犯罪行為では
ない」と富裕層は合理化しますが、「合法的」こそ問題。普通の人は移動もできず、
法的に納税の義務があるのに、専門家の手を借りて税逃れをすることは許されませ
ん。特に貧困にあえぐ国で本来の税を納入すれば、その国の経済発展、民衆の生活向
上に役立つべきお金を奪ってしまっているのですから。
日本の対外投資は米国が1位で、
2位にタックスヘイブンのケイマン諸島で、その投資残高は65兆円以上(日本の税
収に匹敵)です。日本でも400超の企業と個人の名前が出てきました。大手商社の
伊藤忠、丸紅や、UCC,セコム、ソフトバンクなど。高額所得者常連の楽天の三木
谷会長、ユニクロの柳井会長、ドン・キホーテの安田氏など。オランダは国の事業体
の5%以上の株式保有すれば、配当や売却益が非課税となります。資産約2兆円と日
本人トップの柳井氏は、同国で株の配当が18億円、日本と比べ年7億円も所得税と
住民税の税逃れの適用となっています。ドンキの安田氏は、租税回避地への資産移転
を防ぐ制度導入以前に、シンガポールやオランダに住所を移し、巨額の課税を逃れた
そうです。ピケティ氏は「一部の富裕層や多国籍企業を利するだけで不平等を拡大し
ている」と批判し「その存在は世界全体の富や福祉の拡大に寄与せず、経済的な有益
性はない」と断じています。
政府も自らパナマ文書を分析し、大企業や富裕層への税務調査を行うなど、不正許さ
ない取り組みを強めるべきです。同時に、庶民国民には税負担を押し付けながら、大
企業には法人税の減税(研究開発減税や復興法人税の廃止など4兆円)、所得1億円
こすと負担が軽くなる金もち優遇税制を抜本的に改正し、能力に応じた税負担という
経済の民主主義が今求められています。