前福井県議会議員 さとう正雄 福井県政に喝!

前福井県議会議員・さとう正雄の活動日誌。ご意見・情報は smmasao.sato@gmail.com までお願いします。

原発「もんじゅ」、専門家も不安視

2010年04月02日 | Weblog
読売・・・機構不十分回答目立つ  もんじゅ耐震安全性確保

もんじゅの耐震安全性が確保されていると結論づけた県原子力安全専門委員会(県庁で)
 県原子力安全専門委員会(委員長=中川英之・福井大副学長)は29日、県庁で会合を開き、日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」(敦賀市白木、運転停止中)の耐震安全性は確保されていると結論づけた。ただ、原子力機構の説明には、誤解を招きかねない表現や不十分な回答が目立ち、やや性急にも思える結論に、委員からは不満の声も聞かれた。
 会合で、委員から注文が相次いだのが、1月9日に若狭湾で発生した地震について。地震そのものは小規模だったが、震源地の真上の「震央」と、もんじゅとの距離はわずか約600メートルだった。「耐震安全性を考える上で、油断してはならないということ」「今後の検証作業で、地震のデータをきちんと生かしてほしい」などの声が上がった。
 これに対し、機構の担当者が、詳細な地震データ解析の必要性について「非常に小さい地震なので、あまりやっても……」と消極的な姿勢を示したため、中川委員長から「せっかくのデータなので有効活用してほしい」と促される場面もあった。
 また、地震発生時に冷却材のナトリウムが漏れる可能性についての質問には、機構側は「地震によるナトリウム漏れを想定すると、すごい(大規模な)設備になるので、漏れないという基本設計だ」と強調。倹約のため設備を簡素にしたとも取れる説明に、県の担当者が「原子炉の炉心を冷やすのに必要なナトリウムの配管は、壊れないという評価結果だった」などと、慌てて“助け舟”を出した。
 最終的に耐震安全性が確保されていると評価したが、委員会終了後にある委員は「ナトリウム漏れの問題は、もう少し突っ込んで議論すべきだった」と本音を漏らし、委員会の結論についても「しっくりいかない所はある」とした。
 運転再開までに、専門委はもう一度会合を開き、これまでに委員から出た指摘や注文を取りまとめる予定。
(2010年3月30日 読売新聞)

         ★

  マスコミ報道が、全体として耐震安全性は確認された、との流れのなかで、この記事は、現場の専門家の微妙なニュアンスをすくいとっている記事ではないか。
「しっくりいかない所はある」、としながらも議論を終結させた専門家の責任を問わないわけではないが、開発機構が胸をはれる状況ではないことがはっきりした。

   県議の時に、県が設置したもんじゅの委員会を何度か傍聴した。休憩になって外へでると、会議に参加していた専門家の方から「もんじゅはどうなるのでしょうね」と声をかけられたことがある。原子力の専門家の方が、議員席から批判的な意見を述べたりしていた私に声をかけたのは、もんじゅの将来への真剣な不安からか、それともご本人がもんじゅに一抹の不安を抱いていたからか。はかりかねた。
 彼は今回、社民党の福島大臣の同意も得て、原子力安全委員会委員となった。

 専門家の意見というのは、奥が深い。慎重に聞かなくてはいけない。
西川知事は地域振興をめぐって国の大臣の声に耳をすますばかりではなく、警告を発している専門家の声にこそ耳をすますべきだろう。

辻井喬『茜色の空』

2010年04月01日 | Weblog
   昨日の毎日新聞に、「小説:『茜色の空』で大平正芳の肖像描いた辻井喬さんに聞く 魅力的な保守政治とは」が掲載されていた。

・・・・・・高い理想を持ちながらも、権力闘争に翻弄(ほんろう)された政治家、大平正芳(1910~80)の肖像を描いた作品。さまざまな問題をはらんでいて、大人が読んで面白い一冊だ。
 辻井さんはこれまでに数多くの政治家に接してきた。東大在学中は共産党に入党し、卒業後は衆議院議長だった父・堤康次郎の秘書として、政治家たちの姿を見た。さらに、経営者として、たくさんの政治家たちと交流した。そんな辻井さんにとって、生誕100年を迎えた大平は、他の政治家たちと随分と印象の違う人物だったという。
 「リベラルな保守主義の可能性というものを追い求めた人だと思うのです。人間の顔をした保守政治といえばいいでしょうか。彼の軌跡をたどることは、日本の政治風土を考えることにもつながるでしょう」
  辻井さんが大平に初めて会ったのは、彼が衆議院議員になったばかりのころ。訪ねてきた大平を見て、「感じのいい人だ」と思ったという。
 「威張らないんですね。初めて当選した人でも、議員になった途端、威張る人が少なくありません。領袖の名前を出したり、上からの視線で話したり。ところが大平さんは実に丁寧で、言うことはきっちり言うけれど、相手の話をよく聞く。この人は違うな、と思った。その後、池田勇人さんのところで会ったりして、だんだんと自由に話ができる間柄になりました」
 政治の世界がともすれば、合理性や公平性よりも、権力の争奪という性格を帯びていることを実感していく。宏池会会長に就任してからは、さらに激しい権力闘争に翻弄される。同盟者である田中角栄の逮捕、福田赳夫との壮絶な争い、選挙の最中の死。・・・・・・

              ★

    つられて一読した。
「アー、ウー」が有名だが、わたしにとって、学生時代の総選挙で大平総理の急死、そして自民党の勝利、というシーンはあざやかに記憶にのこる。
たしか自民党のビラは政策ぬきで「弔い合戦」前面だった。心情にうったえる作戦がそれまでの自民党にたいする国民の批判をきれいさっぱり流した、との印象がある。

    二大政党制を志向していたが、今日の状況をみたら、二大政党では解決できない問題、より深くなる問題が多々あることに悩んだことだろう。

    秘書だった伊藤氏の本は随分以前に読んだが、こちらも大平総理をめぐる内面を描いていて面白かった。

   ところで、共産党の宮本顕治についても書く人がいないかな。しかし、宮本さんは個人崇拝につながるものは反対で、「写真」などを掲げることも認めなかったというから・・・・・。客観的な評伝は必要だと思うが。