昨年12月県議会では日本会議提出の請願採択、自民党会派単独での改憲議論推進の意見書が強行可決されました。
日本共産党もふくめ他の会派がすべて反対または賛成しないという状況で、改憲暴走の安倍政権と連携する地方議会での自民党の暴走が浮き彫りになりました。
本会議では日本共産党の佐藤県議だけが反対討論。自民党は賛成討論をおこないませんでした。
■2014年12月16日 福井県議会最終日 議会運営委員会 憲法改憲議論推進意見書問題
◯関委員長 特に発言もないようなので、ただいまの説明のとおりとする。
次に、議題4「意見書案の提出について」を議題とする。本日、協議いただく意見書案は4件である。事務局の説明を求める。
◯議事調査課参事
次に、資料No.5の「国会における憲法論議の推進と国民的議論の喚起を求める意見書(案)」については、自民党県政会の関議員を提出者に、自民党県政会の7名の賛成者とともに議長あてに提出されたものである。この意見書案については、当委員会で協議し、委員全員の賛成が得られれば、議運の委員長を提出者、各委員を賛成者とする議員発議として、また、委員全員の賛成が得られない場合は、提出者の議員発議として、本会議に提出することになる。以上である。
◯関委員長 それでは、資料No.5の「国会における憲法論議の推進と国民的議論の喚起を求める意見書(案)」について、提出者から説明を求る。
◯吉田委員 これについては、文面が資料No.5でお手元に行っていると思うが、昭和22年5月3日の施行以来、約70年間憲法改正が行われていない。よしあしは別として、憲法改正に向けて当然、開かれた議論をすべきであろうという形で、自民党県政会からの発案として提出した次第である。よろしく取り扱い願う。
◯関委員長 ただいまの説明について、質問等があれば、発言願う。
◯山本(正)委員 私どもの会派では、これまでもいろいろ議論もしてきたが、後半部分に書いてある「憲法は、国家の基本規定」──最高法規であり、これをそれぞれ議論することは自由でいいと思うけれども、これまでの政府の方向なりを考えると、集団的自衛権の問題やそちらのほうに流れる可能性も十分あるので、私どもはあくまでも平和憲法を守る、あるいは三権によるきちんとした対応をしていくということで、これには賛同できないので、よろしくお願いする。
◯佐藤委員外議員 確認であるが、請願が出されていたけれども、これとの関係はどうなっているのか。
◯吉田委員 請願が委員会付託されて、委員会で議論をしている。その時に全会一致ではなかったので、こういう話をさせてもらっているわけである。
◯佐藤委員外議員 今、民主・みらいは反対だと言っていたので、これは、自民党県政会だけの賛成だったと思うが、請願書の文面を見ると、国民の世論の過半数が常に改憲を求めているというような趣旨で請願がなされていたと思う。しかし、それには、事実の誤認がある。今年で見ると、いろいろなマスコミの世論調査、NHKを初め、各新聞社の調査を見ても過半数を超えている例は1件もない。だから、事実誤認に基づく議会への請願が委員会で可決されたからといって、それをそのまま認めるというわけにはいかないと思うのだが、その辺の事実関係の認識の間違いがあるのではないか。
◯吉田委員 皆さん方の主張は当然、いろいろあると思うが、この件については自民党県政会で提出して、結論を得たいと思っている。
◯佐藤委員外議員 そうではなく、そもそも委員会で採択された請願書の文面そのものに事実誤認があるのに、それがそのまま採択されてしまったということがおかしいのではないかということを尋ねている。
◯石橋委員外議員 それはそれで採決して、意思表示したのだから、それで結構かと思う。
確認するが、この意見書案は、請願に基づいたものという考えで出されているのか。私の賛否にかかわってくるので。
◯吉田委員 そのとおりである。
◯佐藤委員外議員 私が言っているのは、県議会にいろいろな請願、陳情が文書で出されてくるが、そこに書かれている内容が間違っていた場合、そもそもそれ自体がおかしいということになるのではないか。請願の団体がどういう調査に基づいて文言を書いたかわからないが、常にいろいろな世論調査で国民の過半数が改憲を求めているというのは、私が見たところ、NHKでも、通信社、マスコミでも、今年やった調査では一つもない。だから、そもそも事実誤認をもって、県議会に請願をしたのは、おかしい。自民党も、国民の過半数が望んでいるという認識のもとに採択したのだと思うが、そうではなく、前提が狂っているのだから、もう一度審議をし直すことが、必要になるのではないかという意味合いも含めて、言っている。
◯吉田委員 委員会へ差し戻して、もう一度、委員会で審議すべきということか。
〔「必要ない」と呼ぶ者あり〕
◯石橋委員外議員 それも含めて、採決しているのだから、そこをどうのこうの言うものではないと思う。
◯吉田委員 全般的に、今までの請願や陳情の文章が100%正しいかどうかということは、私どもとしても把握できない場合もある。だから、一般的に、請願として出された文書に関しては、おおむねその趣旨を認めて、新たに作り上げた文書で意見書を出させてもらうということであり、今回もそのようにさせてもらったと思っている。
◯佐藤委員外議員 いずれにしても、意見書となると、福井県議会名による意見書になる。自民党県政会単独で出したとしても、多数で可決されれば、福井県議会名で意見書が提出される。今、民主・みらいも反対。公明党は慎重など、会派によって態度が分かれているわけだから、自民党だけが望んでいるからといって、今回の議会で無理やり通すということは、避けていただきたいと思うが、その辺はどうか。
◯斉藤委員 この場は、委員会で全会一致でなかったらどうするか、というだけのことで、議会運営委員会の名前で出すのか、そうでないかということを決めるだけのことである。今までも、自民党だけが賛成する意見書はたくさんあったのだから、ことさらここで議論するような話ではなく、議会運営委員会で全会一致でないということであれば、そういうこととして取り扱いを粛々としてやっていただきたいと思う。
◯関委員長 請願書において、趣旨が違う点があろうと、今、議会運営委員会に出ているのは、この意見書の文面だけである。もちろんいろんな情報をもとに出された請願書であろうと思うが、その真偽を確かめることをしていたらきりがない。この場においては、この意見書について、賛成するか、反対するか、そういった決め方でよいと思う。
◯佐藤委員外議員 斉藤委員が言う趣旨も、議会運営としてはそのとおりの面もある。ただ、国民の過半数が望んでいるという認識で進めるのと、過半数が望んでもいないという認識で進めるのとでは、また違ってくると思うので、意見として、慎重審議を求めているということである。
◯関委員長 ほかに意見はないか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
◯関委員長 それでは、ほかに意見もないようなので、ただいまの議論を踏まえて、委員の了承をいただけるかを諮る。
発議第76号「国会における憲法論議の推進と国民的議論の喚起を求める意見書(案)」について、賛同いただける方の挙手を求める。
〔賛成者挙手〕
◯関委員長 委員全員の賛同が得られなかったので、本意見書案については、提出者の議員発議として、本会議に提出することとする。
★
■佐藤県議の反対討論
◯7番(佐藤正雄君) 日本共産党の佐藤正雄です。選挙はお疲れさまでございました。
第84号議案平成26年度一般会計補正予算案、並びに第90号議案福井県一般職の職員等の給与に関する条例等の一部改正に反対です。
補正予算案には、特別職と議員の期末手当の引き上げが盛られており反対です。給与条例改正では、給与表の引き下げにより平均で2%、50歳代では4%もの引き下げが行われます。安倍政権は、選挙では賃上げを豪語しながら、逆に地方の国家公務員、地方公務員の大規模な賃下げを行うことは、地方経済にも大きな打撃となります。賃下げと社会保障費の負担増大を強いながら、消費税10%では全く家計のことを考えない政治です。このような安倍政権追随では、県庁職員、教職員、警察職員の暮らしはよくなりません。
請願第55号、62号は、いずれも子供の医療費助成を窓口無料にすることなどを求めるものであり、採択すべきです。少子化対策を言うのであれば、まず他県が行っていて福井県が取り組んでいない施策の検討をすることは当然です。他県から福井県に引っ越してきた親たちからは、福井県が窓口での医療費支払いを求めていることについて、驚きの声、不満が出されております。全国37県では実施しているのであり、福井県の子育ての評判を悪くしている制度の改善を議会としても強く求めるべきです。
請願第49号、50号は、米価暴落対策と安倍政権の農業改革について、農民団体である農民連から出されたものであり、採択すべきです。大体、JAなどが出してきた同趣旨の陳情を採択しながら、これを不採択にするようでは議会審査の整合性が問われます。そもそも、安倍政権は米価暴落にまともな対応をしておりません。福井県内の生産組合でも数百万円の赤字となり、米価が下がり続けるなら生産組合を維持できないのではないかとの声も出ております。このような状況を放置すれば、米主体の福井県農業は崩壊していく危機ともなります。現場で必死に働いている農家・農民の声を政府に届けるのは当然ではありませんか。米価暴落対策を求める請願の不採択は許されません。
また、安倍首相は、企業が世界で一番活躍できる国にするためにと称して、TPP参加と農業改革をアベノミクスの柱に位置づけています。農業改革の中心は、農地に対する営利企業の進出を厳しく規制している農地法を骨抜きにし、その実行者である農業委員の公選制を廃し、家族や地域の生産者が協力・団結して農業生産と農家の暮らしを守るための農協の事実上の解体です。農協については、全国農協中央会の法的位置づけをなくし、総合農協から信用・共済事業を外し、全農などを株式会社にするなど、農協を営利企業と同列に置こうとしています。これらは、農民の自主的な農地管理や協同組合を否定し、家族農業とその協同を基本とする農政を根底から覆すものであり、農業改革についての請願は採択すべきであります。
請願第60号は、新幹線工期の短縮が行われれば、現在のように乗りかえなしでの関西・中京圏との行き来ができなくなる問題について、その対策としても現行のサンダーバード、しらさぎ号の運行を求め、県民初め利用者の利便性を確保する要求であり、採択すべきです。
巨大な公共事業についての賛否はさまざま会派によって違うわけですが、道路にしても利便性が低下する道路はつくらないわけです。ところが、新幹線と並行在来線の扱いでは、利便性が低下するものをつくろうとしているところに大きな問題があるのです。その解決を図ることは、国、JR、県庁、県議会の共同の責任ではありませんか。新幹線は来たが県民利用者は不便になりましたではお話になりません。
請願第61号は、憲法改正の早期実現を求める意見書提案であり、反対です。そもそも各種世論調査において、憲法改正の支持が常に過半数を上回っていると請願書にありますが、これは不正確です。例えば、ことし4月のNHKの調査では、「憲法改正の必要があると思う」と答えた方は28.4%であり、過半数とは大きな開きがあります。ちなみに、「必要ない」が26.2%、「どちらとも言えない」が40.3%です。
また、今の改憲論が集団的自衛権行使容認などの流れで出されていることも問題です。例えば、自民党の改憲素案は、憲法9条2項を削除し、国防軍の保持と国民の国防の義務を明記しました。これは、徴兵制の根拠となるものです。改憲素案を準備する中で、2010年3月には兵役義務検討の必要性を憲法改正の論点として出しております。これを踏まえて自民党の現在の稲田朋美政調会長は、雑誌「正論」で教育体験のような形で若者全員に一度は自衛隊に触れてもらう制度はどうかと発言し、徴兵制導入を主張しております。戦争をする国づくりを狙っていることは明らかではありませんか。
また、大規模災害などへの対応なども書かれています。実際、東日本大震災の後、憲法審査会で自民党などが、衆議院の解散中に大災害が起きたら対応が不能だ。緊急事態条項がない憲法は欠陥だとの主張を行ってきました。しかし、現実には参議院の緊急集会が規定されており、二院制でありますので対応できます。さきの長野県北部の白馬村などの震災でも、衆議院解散後でも参議院の委員会が開催されて、各党が必要な質疑を行い、政府に対応を約束させているではありませんか。現憲法が大災害に対応できないなどという批判は当たりません。
陳情第52号は、原発再稼働の地元同意の範囲を30キロメートル圏の自治体とすること及び避難計画の実効性の確保を求めているものであり、採択すべきです。
今、川内原発再稼働が進められようとしています。九州電力は、川内原発で過酷事故が起きれば、19分後にメルトダウンが起こり、1時間半で格納容器が壊れると認めています。ところが、内閣府がまとめ安倍首相が了承した避難計画には、緊急時のあれこれの対応策が書かれておりますが、肝心の避難に要する時間は一切書かれておりません。事故から1時間半後には放射能が住民を襲うのです。その時間内に避難が間に合うのか、この肝心のことがわからないのです。
高浜原発事故を想定し、福井県が行った原子力防災訓練にも、議会やマスコミ、市民団体から訓練想定や内容に厳しい検証の意見が出されています。福井県は、今でも訓練についての総括文書をまとめ切れていないではありませんか。
川内にしても高浜にしても、今の状況の避難計画の体制で福島原発のような事故が起こったら対応できないことは明らかであり、まず、実効性ある計画を策定することは、再稼働を進める側の国民・県民に対する最低限の責任ではありませんか。また、原発事故の際の被害は、立地自治体だけにとどまらないのであり、せめて同意範囲の拡大をとの意見は、十分な合理性があります。この陳情は、採択べきであります。
最後になりますが、陳情第46号、第47号は、願意を酌んで採択すべきです。
以上を申し上げて、反対討論といたします。
■改憲議論意見書に反対討論
◯7番(佐藤正雄君) 日本共産党の佐藤正雄です。
ただいま提案されました、発議第76号国会における憲法論議の推進と国民的議論の喚起を求める意見書案につきましては、さきの反対討論で述べた総務教育常任委員会で採択された改憲を目指す請願採択に基づくものであり、反対であります。
本会議に先立つ議会運営委員会におきましても、提案者の自民党委員からは、よしあしは別として議論を求めていく旨の趣旨説明がありましたが、憲法擁護の立場ではなく、改憲の立場であるからこそ議論を求めているものであります。衆議院選挙を受けて記者会見した安倍総理は、自民・公明両党で憲法改正の発議に必要な3分の2以上を確保したことを踏まえ、最も重要なことは国民投票で過半数の支持を得なければならない。国民の理解と支持を深め、広げていくために自民党総裁として努力したいと述べ、憲法改正に重ねて意欲を示したとマスコミで報道されております。
また、戦争をする国づくりを進める集団的自衛権の行使容認を含む安全保障法制の整備についても、支持をいただいたわけだから、実行していくのは政権としての使命だと述べ、来年の通常国会で関連法案の成立を期す考えを強調しています。
しかし、ことし行われたマスコミ各社の世論調査では、軒並み改憲賛成の数字は下がっており、多数の国民は改憲を望んでおりません。集団的自衛権行使についての反対の世論も多数であります。比例代表選挙での支持率が33%しかない自民党が、小選挙区制度によって議席の多数を得たからといって、民意をゆがめた政策のごり押しは許されません。
安倍政権の危険な改憲と戦争をする国づくりを後押しする役割を果たす本意見書には反対であります。
日本共産党もふくめ他の会派がすべて反対または賛成しないという状況で、改憲暴走の安倍政権と連携する地方議会での自民党の暴走が浮き彫りになりました。
本会議では日本共産党の佐藤県議だけが反対討論。自民党は賛成討論をおこないませんでした。
■2014年12月16日 福井県議会最終日 議会運営委員会 憲法改憲議論推進意見書問題
◯関委員長 特に発言もないようなので、ただいまの説明のとおりとする。
次に、議題4「意見書案の提出について」を議題とする。本日、協議いただく意見書案は4件である。事務局の説明を求める。
◯議事調査課参事
次に、資料No.5の「国会における憲法論議の推進と国民的議論の喚起を求める意見書(案)」については、自民党県政会の関議員を提出者に、自民党県政会の7名の賛成者とともに議長あてに提出されたものである。この意見書案については、当委員会で協議し、委員全員の賛成が得られれば、議運の委員長を提出者、各委員を賛成者とする議員発議として、また、委員全員の賛成が得られない場合は、提出者の議員発議として、本会議に提出することになる。以上である。
◯関委員長 それでは、資料No.5の「国会における憲法論議の推進と国民的議論の喚起を求める意見書(案)」について、提出者から説明を求る。
◯吉田委員 これについては、文面が資料No.5でお手元に行っていると思うが、昭和22年5月3日の施行以来、約70年間憲法改正が行われていない。よしあしは別として、憲法改正に向けて当然、開かれた議論をすべきであろうという形で、自民党県政会からの発案として提出した次第である。よろしく取り扱い願う。
◯関委員長 ただいまの説明について、質問等があれば、発言願う。
◯山本(正)委員 私どもの会派では、これまでもいろいろ議論もしてきたが、後半部分に書いてある「憲法は、国家の基本規定」──最高法規であり、これをそれぞれ議論することは自由でいいと思うけれども、これまでの政府の方向なりを考えると、集団的自衛権の問題やそちらのほうに流れる可能性も十分あるので、私どもはあくまでも平和憲法を守る、あるいは三権によるきちんとした対応をしていくということで、これには賛同できないので、よろしくお願いする。
◯佐藤委員外議員 確認であるが、請願が出されていたけれども、これとの関係はどうなっているのか。
◯吉田委員 請願が委員会付託されて、委員会で議論をしている。その時に全会一致ではなかったので、こういう話をさせてもらっているわけである。
◯佐藤委員外議員 今、民主・みらいは反対だと言っていたので、これは、自民党県政会だけの賛成だったと思うが、請願書の文面を見ると、国民の世論の過半数が常に改憲を求めているというような趣旨で請願がなされていたと思う。しかし、それには、事実の誤認がある。今年で見ると、いろいろなマスコミの世論調査、NHKを初め、各新聞社の調査を見ても過半数を超えている例は1件もない。だから、事実誤認に基づく議会への請願が委員会で可決されたからといって、それをそのまま認めるというわけにはいかないと思うのだが、その辺の事実関係の認識の間違いがあるのではないか。
◯吉田委員 皆さん方の主張は当然、いろいろあると思うが、この件については自民党県政会で提出して、結論を得たいと思っている。
◯佐藤委員外議員 そうではなく、そもそも委員会で採択された請願書の文面そのものに事実誤認があるのに、それがそのまま採択されてしまったということがおかしいのではないかということを尋ねている。
◯石橋委員外議員 それはそれで採決して、意思表示したのだから、それで結構かと思う。
確認するが、この意見書案は、請願に基づいたものという考えで出されているのか。私の賛否にかかわってくるので。
◯吉田委員 そのとおりである。
◯佐藤委員外議員 私が言っているのは、県議会にいろいろな請願、陳情が文書で出されてくるが、そこに書かれている内容が間違っていた場合、そもそもそれ自体がおかしいということになるのではないか。請願の団体がどういう調査に基づいて文言を書いたかわからないが、常にいろいろな世論調査で国民の過半数が改憲を求めているというのは、私が見たところ、NHKでも、通信社、マスコミでも、今年やった調査では一つもない。だから、そもそも事実誤認をもって、県議会に請願をしたのは、おかしい。自民党も、国民の過半数が望んでいるという認識のもとに採択したのだと思うが、そうではなく、前提が狂っているのだから、もう一度審議をし直すことが、必要になるのではないかという意味合いも含めて、言っている。
◯吉田委員 委員会へ差し戻して、もう一度、委員会で審議すべきということか。
〔「必要ない」と呼ぶ者あり〕
◯石橋委員外議員 それも含めて、採決しているのだから、そこをどうのこうの言うものではないと思う。
◯吉田委員 全般的に、今までの請願や陳情の文章が100%正しいかどうかということは、私どもとしても把握できない場合もある。だから、一般的に、請願として出された文書に関しては、おおむねその趣旨を認めて、新たに作り上げた文書で意見書を出させてもらうということであり、今回もそのようにさせてもらったと思っている。
◯佐藤委員外議員 いずれにしても、意見書となると、福井県議会名による意見書になる。自民党県政会単独で出したとしても、多数で可決されれば、福井県議会名で意見書が提出される。今、民主・みらいも反対。公明党は慎重など、会派によって態度が分かれているわけだから、自民党だけが望んでいるからといって、今回の議会で無理やり通すということは、避けていただきたいと思うが、その辺はどうか。
◯斉藤委員 この場は、委員会で全会一致でなかったらどうするか、というだけのことで、議会運営委員会の名前で出すのか、そうでないかということを決めるだけのことである。今までも、自民党だけが賛成する意見書はたくさんあったのだから、ことさらここで議論するような話ではなく、議会運営委員会で全会一致でないということであれば、そういうこととして取り扱いを粛々としてやっていただきたいと思う。
◯関委員長 請願書において、趣旨が違う点があろうと、今、議会運営委員会に出ているのは、この意見書の文面だけである。もちろんいろんな情報をもとに出された請願書であろうと思うが、その真偽を確かめることをしていたらきりがない。この場においては、この意見書について、賛成するか、反対するか、そういった決め方でよいと思う。
◯佐藤委員外議員 斉藤委員が言う趣旨も、議会運営としてはそのとおりの面もある。ただ、国民の過半数が望んでいるという認識で進めるのと、過半数が望んでもいないという認識で進めるのとでは、また違ってくると思うので、意見として、慎重審議を求めているということである。
◯関委員長 ほかに意見はないか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
◯関委員長 それでは、ほかに意見もないようなので、ただいまの議論を踏まえて、委員の了承をいただけるかを諮る。
発議第76号「国会における憲法論議の推進と国民的議論の喚起を求める意見書(案)」について、賛同いただける方の挙手を求める。
〔賛成者挙手〕
◯関委員長 委員全員の賛同が得られなかったので、本意見書案については、提出者の議員発議として、本会議に提出することとする。
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■佐藤県議の反対討論
◯7番(佐藤正雄君) 日本共産党の佐藤正雄です。選挙はお疲れさまでございました。
第84号議案平成26年度一般会計補正予算案、並びに第90号議案福井県一般職の職員等の給与に関する条例等の一部改正に反対です。
補正予算案には、特別職と議員の期末手当の引き上げが盛られており反対です。給与条例改正では、給与表の引き下げにより平均で2%、50歳代では4%もの引き下げが行われます。安倍政権は、選挙では賃上げを豪語しながら、逆に地方の国家公務員、地方公務員の大規模な賃下げを行うことは、地方経済にも大きな打撃となります。賃下げと社会保障費の負担増大を強いながら、消費税10%では全く家計のことを考えない政治です。このような安倍政権追随では、県庁職員、教職員、警察職員の暮らしはよくなりません。
請願第55号、62号は、いずれも子供の医療費助成を窓口無料にすることなどを求めるものであり、採択すべきです。少子化対策を言うのであれば、まず他県が行っていて福井県が取り組んでいない施策の検討をすることは当然です。他県から福井県に引っ越してきた親たちからは、福井県が窓口での医療費支払いを求めていることについて、驚きの声、不満が出されております。全国37県では実施しているのであり、福井県の子育ての評判を悪くしている制度の改善を議会としても強く求めるべきです。
請願第49号、50号は、米価暴落対策と安倍政権の農業改革について、農民団体である農民連から出されたものであり、採択すべきです。大体、JAなどが出してきた同趣旨の陳情を採択しながら、これを不採択にするようでは議会審査の整合性が問われます。そもそも、安倍政権は米価暴落にまともな対応をしておりません。福井県内の生産組合でも数百万円の赤字となり、米価が下がり続けるなら生産組合を維持できないのではないかとの声も出ております。このような状況を放置すれば、米主体の福井県農業は崩壊していく危機ともなります。現場で必死に働いている農家・農民の声を政府に届けるのは当然ではありませんか。米価暴落対策を求める請願の不採択は許されません。
また、安倍首相は、企業が世界で一番活躍できる国にするためにと称して、TPP参加と農業改革をアベノミクスの柱に位置づけています。農業改革の中心は、農地に対する営利企業の進出を厳しく規制している農地法を骨抜きにし、その実行者である農業委員の公選制を廃し、家族や地域の生産者が協力・団結して農業生産と農家の暮らしを守るための農協の事実上の解体です。農協については、全国農協中央会の法的位置づけをなくし、総合農協から信用・共済事業を外し、全農などを株式会社にするなど、農協を営利企業と同列に置こうとしています。これらは、農民の自主的な農地管理や協同組合を否定し、家族農業とその協同を基本とする農政を根底から覆すものであり、農業改革についての請願は採択すべきであります。
請願第60号は、新幹線工期の短縮が行われれば、現在のように乗りかえなしでの関西・中京圏との行き来ができなくなる問題について、その対策としても現行のサンダーバード、しらさぎ号の運行を求め、県民初め利用者の利便性を確保する要求であり、採択すべきです。
巨大な公共事業についての賛否はさまざま会派によって違うわけですが、道路にしても利便性が低下する道路はつくらないわけです。ところが、新幹線と並行在来線の扱いでは、利便性が低下するものをつくろうとしているところに大きな問題があるのです。その解決を図ることは、国、JR、県庁、県議会の共同の責任ではありませんか。新幹線は来たが県民利用者は不便になりましたではお話になりません。
請願第61号は、憲法改正の早期実現を求める意見書提案であり、反対です。そもそも各種世論調査において、憲法改正の支持が常に過半数を上回っていると請願書にありますが、これは不正確です。例えば、ことし4月のNHKの調査では、「憲法改正の必要があると思う」と答えた方は28.4%であり、過半数とは大きな開きがあります。ちなみに、「必要ない」が26.2%、「どちらとも言えない」が40.3%です。
また、今の改憲論が集団的自衛権行使容認などの流れで出されていることも問題です。例えば、自民党の改憲素案は、憲法9条2項を削除し、国防軍の保持と国民の国防の義務を明記しました。これは、徴兵制の根拠となるものです。改憲素案を準備する中で、2010年3月には兵役義務検討の必要性を憲法改正の論点として出しております。これを踏まえて自民党の現在の稲田朋美政調会長は、雑誌「正論」で教育体験のような形で若者全員に一度は自衛隊に触れてもらう制度はどうかと発言し、徴兵制導入を主張しております。戦争をする国づくりを狙っていることは明らかではありませんか。
また、大規模災害などへの対応なども書かれています。実際、東日本大震災の後、憲法審査会で自民党などが、衆議院の解散中に大災害が起きたら対応が不能だ。緊急事態条項がない憲法は欠陥だとの主張を行ってきました。しかし、現実には参議院の緊急集会が規定されており、二院制でありますので対応できます。さきの長野県北部の白馬村などの震災でも、衆議院解散後でも参議院の委員会が開催されて、各党が必要な質疑を行い、政府に対応を約束させているではありませんか。現憲法が大災害に対応できないなどという批判は当たりません。
陳情第52号は、原発再稼働の地元同意の範囲を30キロメートル圏の自治体とすること及び避難計画の実効性の確保を求めているものであり、採択すべきです。
今、川内原発再稼働が進められようとしています。九州電力は、川内原発で過酷事故が起きれば、19分後にメルトダウンが起こり、1時間半で格納容器が壊れると認めています。ところが、内閣府がまとめ安倍首相が了承した避難計画には、緊急時のあれこれの対応策が書かれておりますが、肝心の避難に要する時間は一切書かれておりません。事故から1時間半後には放射能が住民を襲うのです。その時間内に避難が間に合うのか、この肝心のことがわからないのです。
高浜原発事故を想定し、福井県が行った原子力防災訓練にも、議会やマスコミ、市民団体から訓練想定や内容に厳しい検証の意見が出されています。福井県は、今でも訓練についての総括文書をまとめ切れていないではありませんか。
川内にしても高浜にしても、今の状況の避難計画の体制で福島原発のような事故が起こったら対応できないことは明らかであり、まず、実効性ある計画を策定することは、再稼働を進める側の国民・県民に対する最低限の責任ではありませんか。また、原発事故の際の被害は、立地自治体だけにとどまらないのであり、せめて同意範囲の拡大をとの意見は、十分な合理性があります。この陳情は、採択べきであります。
最後になりますが、陳情第46号、第47号は、願意を酌んで採択すべきです。
以上を申し上げて、反対討論といたします。
■改憲議論意見書に反対討論
◯7番(佐藤正雄君) 日本共産党の佐藤正雄です。
ただいま提案されました、発議第76号国会における憲法論議の推進と国民的議論の喚起を求める意見書案につきましては、さきの反対討論で述べた総務教育常任委員会で採択された改憲を目指す請願採択に基づくものであり、反対であります。
本会議に先立つ議会運営委員会におきましても、提案者の自民党委員からは、よしあしは別として議論を求めていく旨の趣旨説明がありましたが、憲法擁護の立場ではなく、改憲の立場であるからこそ議論を求めているものであります。衆議院選挙を受けて記者会見した安倍総理は、自民・公明両党で憲法改正の発議に必要な3分の2以上を確保したことを踏まえ、最も重要なことは国民投票で過半数の支持を得なければならない。国民の理解と支持を深め、広げていくために自民党総裁として努力したいと述べ、憲法改正に重ねて意欲を示したとマスコミで報道されております。
また、戦争をする国づくりを進める集団的自衛権の行使容認を含む安全保障法制の整備についても、支持をいただいたわけだから、実行していくのは政権としての使命だと述べ、来年の通常国会で関連法案の成立を期す考えを強調しています。
しかし、ことし行われたマスコミ各社の世論調査では、軒並み改憲賛成の数字は下がっており、多数の国民は改憲を望んでおりません。集団的自衛権行使についての反対の世論も多数であります。比例代表選挙での支持率が33%しかない自民党が、小選挙区制度によって議席の多数を得たからといって、民意をゆがめた政策のごり押しは許されません。
安倍政権の危険な改憲と戦争をする国づくりを後押しする役割を果たす本意見書には反対であります。