Dying Message

僕が最期に伝えたかったこと……

詩人と死人

2014-04-11 21:50:36 | Weblog
 部屋の明かりを落とし、PCに照らされたとき、俺は詩人になる。

 グリーンのソファーは詩人と死人の交差点。死人の俺はデッサンモデルで、詩人の俺はその無様な姿をつぶさに観察し、誰も知らない言葉で描く。たとえ徒なる時間であっても無我夢中に筆を振り回すことこそが至高。なぜならそれが俺の日記だから。

 書きあがった絵はいつもグロテスクな輝きを放つ。この絵に何の価値があるのか。誰かの心を動かせるとでも言うのか。ただひとつ言えるのは俺はこの絵を部屋に飾りたい。この先ずっと、天に召されるその日まで、俺はこの不細工な絵を眺め続けたい。

 宛てなき旅路はまるで落ち穂拾いのようで、俺は今にも最後の晩餐を迎えようとしている。今日もまた昨日と何ら変わらぬ1日を過ごしながら、自らの惨めな様をそっと嘆く。自分の理解者はいつも自分だけで「お前は天才だ」と根拠なき慰みを与える。

 瞼を開かぬ限りきっと夢は覚めないのだろう。俺はもう目覚めたくない。桜咲く夢の一本道にて、俺は俺に抱きしめられながら、遥か彼方に飛び立ってしまいたい。


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