Dying Message

僕が最期に伝えたかったこと……

ありすの部屋 #3 おにいたんの半生と反省(上)

2015-07-23 22:24:06 | ありす
ありす 「ありすの部屋」第3弾。今回のゲストも愛しのおにいたんです! パチパチパチ~(JKのスカートの中身を撮影する音)
おにいたん マーシーネタは俺の領分だぞ(笑)。
ありす いいじゃん。ほとんど一心同体なんだから(笑)。
おにいたん 言っちゃった(笑)。
ありす というわけで、今回もよろしくね。
おにいたん てかさ、なんでいつも俺がゲストなんだよ。
ありす 他に呼べそうな人がいないんだもん。試しにパパにでも頼んでみる?
おにいたん いや、あの人は危ない(笑)。
ありす でしょ(笑)。
おにいたん あの人が大きな会社で長年勤まっていたのが信じられない(笑)。
ありす でも50才くらいの時に東京の本社に栄転という話もあったらしいじゃない。
おにいたん なんで断ったか知ってる?
ありす いや。
おにいたん 字が汚いから(笑)。
ありす なんつー理由(笑)。
おにいたん もうひとつ本人から聞いた伝説。親父の実家のすぐ近くに踏切があるけど、あれは昔、あの人が電車に轢かれたのを機に作られたらしい。
ありす すげー(笑)。
おにいたん それで電車関連の会社に入るんだから、やっぱり常人とは感覚が違うよな(笑)。

おにいたんが自らの半生を語る!

ありす おにいたんももうすぐ30才なんだね。
おにいたん おかげさまで(笑)。 
ありす というわけで今日はおにいたんの生い立ちからのエピソードを語ってもらおうと思います!
おにいたん そんなのニーズあるのかね。
ありす じゃあ普段書いているような記事にはニーズがあるとでも?(笑)
おにいたん …………。
ありす まぁ世の中にはおにいたんに興味のある奇特な人もいるかもだからさ。
おにいたん 本当にいるのかなぁ……。
ありす おにいたんは予定日よりかなり早く産まれたとママに聞いたことがあるけど。
おにいたん そうなんだよ。本当は9月中旬の予定だったらしいから、約2週間のフライングだな。
ありす だから未だに背が低いのかな?(笑)
おにいたん 未熟児スレスレで産まれて、母親が退院した後も俺は産婦人科に残ったくらいだから、そりゃ影響はあるんだろうけど。でも食べ物の好き嫌いが多いとか、そういう後天的な要因も大きいんじゃないかな。
ありす 名前はどうやって決められたか知ってる?
おにいたん 両親が「タッチ」を好きだったこともあって、ほんとは「達也」とするつもりでいた。でも弟が死んじゃまずいってんで、今の名前に落ち着いたらしい。親父の会社の偉い人の名前をくっ付けたとか。
ありす へぇ~。
おにいたん そういえば前に一番最初の記憶の話をしたけど、あのあと思い出した。もっと古いのがあった。
ありす どんな記憶?
おにいたん 駅から支社に移って間もなく、親父が十二指腸潰瘍で倒れたんだけど、母親は看病のため病院に泊まって、俺は彼女の実家に預けられたんだよ。もちろん詳しいことは覚えてないけど、窓から夜空を眺めた記憶がうっすら残ってる。
ありす それはいくつくらい?
おにいたん 親父の転勤は俺が2才になる前だったらしい。
ありす そんな小さい頃のことを覚えているものかな。
おにいたん そう言われると自信はないけど。親のいない状況で親戚の家に泊まるようなシチュエーションはまずないはずだし、やっぱりあれが最古ってことで合ってるんじゃないかな。

先生たちに「アンパンちゃん」と呼ばれていた。

ありす そしてそんなおにいたんも幼稚園に入園。この頃になると記憶がはっきりしてくるんじゃない?
おにいたん そうだね。幼稚園に通っていた頃、俺はそこの先生たちに「アンパンちゃん」と呼ばれていた。
ありす 何それ(笑)。
おにいたん 送迎のバスが来ても、俺は母親にくっ付いてなかなか乗ろうとしなかったらしい。で、業を煮やした幼稚園サイドが試しにアンパンを与えたら見事乗ったと。そして僕はこう呼ばれるようになった(笑)。
ありす 微笑ましいエピソード(笑)。おにいたんてマザコンなんだね~。
おにいたん いや、当時はまだ小さな子供だからさ。
ありす 今だって仲良しじゃない。 
おにいたん マザコンとは違うけど、あの人は感覚が若いから話が合うってのはあるのかも。
ありす 確かに若い(笑)。
おにいたん back numberを聴き始めたのも彼女の影響だし、アプリもやたら勧めてきたりするし。
ありす ママは複数のアプリを駆使してスケジュール管理をしてるもんね。
おにいたん 俺なんて未だにiPhoneのメールの初期設定すらできないのに。
ありす おっさんか(笑)。
おにいたん こないだ「いいアプリがある」と言ってくるんで何かと思ったら2ちゃんねるのまとめみたいなやつだった(笑)。
ありす そうなんだ(笑)。
おにいたん 幼稚園の話に戻すと、字を教わる簡単な授業みたいなのがあって。俺はたぶん手間取っていたんだろうけど、突然女の先生に引っぱたかれたんだよ。
ありす ひどいね。
おにいたん で、泣いちゃうじゃん。そしたら「泣いたら余計に書けなくなるでしょ!」ってもう一発。
ありす 鬼だな。
おにいたん 今は「モンスターペアレント」とか言われて、親の問題がさかんに叫ばれるけど、ちょっと前まで教育者の側が不当に強かった時代があって、それが揺り戻しただけだと思うんだよな。
ありす なるほど。
おにいたん ただ、理由は分からないけど、園長にはすごい気に入られてたね。卒園式で園児を代表して挨拶を任せられたくらいだから。
ありす すごいじゃない。
おにいたん あと、お遊戯で「さるかに合戦」をやった時に臼を演じた記憶がある。
ありす 臼ってまた地味だな~(笑)。
おにいたん いや、あの時の演技は素晴らしかったよ。天才子役としてテレビや雑誌で話題になって、当時の俺は今で言う鈴木福のような存在だった。
ありす 臼の分際でそういう嘘を付かない(笑)。

お嬢様の怖いところをたくさん見てきた。

ありす いよいよ小学校に入学だね。
おにいたん 初めての給食でスプーンが出てきたんだけど、学校の給食ってスプーンやフォークを共有で使うじゃん。もちろん洗ってはあるんだけど、それがすごい嫌だった。
ありす 当時から潔癖症だったのね(笑)。
おにいたん それと俺はやっぱり食べ物の好き嫌いが多いからさ。特にウインナーとシチューは絶対に無理だし。
ありす ほんと何も食べれないもんね(笑)。
おにいたん これは最近知ったんだけど、俺があまりに給食を残すんで、小2の時の担任が鈴木晴美っていう性格の悪いババアだったんだけど、うちの親に「給食を作っているところを親子でご覧になってはいかがですか?」と提案しやがったらしい。
ありす 初めての授業のこととか覚えてる?  
おにいたん 初めてかどうかは知らないけど、最初の頃に算数の授業で定規を使ったんだよ。で、先生が「筆箱から線引きを出してください」って言うんだけど、俺は意味が分からなくて困った。
ありす 定規のことを線引きって言うのは静岡の方言らしいね。
おにいたん 当時はそんなこと知らないから。周りを見渡してやっと「ああ、定規か」と気付いたけど。
ありす でもパパもママもネイティヴの静岡県民だよね。なんでおにいたんは知らなかったんだろう。
おにいたん 親父は帰りが遅くて接点がなかったし、母親はお嬢様で方言とか出さない人だから(笑)。
ありす お嬢様ね(笑)。
おにいたん でも俺はそのお嬢様の怖いところをたくさん見てきたな。今でこそ手下みたいなものだけど(笑)、当時は常に怯えてた。
ありす 例えば?
おにいたん 低学年の頃だったと思うけど、国語のテストで失敗して60点くらいしか取れなかったんだよ。そんで母親に答案を見せたら思いっきりビンタされた。
ありす いや、60点なら悪くないんじゃない?
おにいたん 母親自身、世代的なこともあって学歴的には短大卒だけど、学校の成績はべらぼうによかったそうだし。父方も含めて有名大出身者がゴロゴロいる家系だから、俺に掛ける期待も大きかったんじゃないの。当時は(笑)。
ありす 当時はね(笑)。 
おにいたん 怒られたと言えば、図工の授業中、彫刻刀で左手の親指をぶっ刺したことがあるんだけど、その時もこってり絞られたね。
ありす それはおにいたんがマヌケすぎる(笑)。
おにいたん 刺した瞬間って不思議と痛くないんだよ。ただ、気付くと教室がざわついていて、しかもみんな俺の方を見てるから「なんだろう?」と思ってふと手元に視線を遣ったら、机の上が血の海だった。
ありす 怖っ(笑)。
おにいたん 結局最後まで怪我の痛みはよく分からなかったけどね。

近所の土管の中で放尿シーンを見せてもらった。

ありす もっと楽しい思い出はないの?
おにいたん 小2くらいの時に友達のお父さんのエロ本をみんなで観賞したことがあったな。
ありす 妹の前でする話じゃないでしょ(笑)。
おにいたん それもなぜか全員下半身を露出した状態で。
ありす なんだそれ(笑)。
おにいたん みんな勃起していたよ(笑)。
ありす そんな報告要らねっす(笑)。
おにいたん あと、これも同じような時期だったと思うけど、仲の良かった女子が突然「あたしがおしっこするところを見て」と言い出して。近所の土管の中で放尿シーンを見せてもらった。
ありす その女子も頭がおかしい(笑)。
おにいたん 時期は前後するけど、幼稚園の頃、外でみんなが集まって先生の話を聞いてたんだよ。で、俺の前に女の子がいたんだけど、彼女はスカートが汚れるのを嫌って腰を浮かせて座っていたから、それをいいことにパンツの中に手を突っ込んでやった。
ありす 最低すぎるだろ(笑)。てゆうか、ほんとなの?
おにいたん 本当だよ。動機が性的欲求なのかは分からないし、単なるイタズラだったのかもだけどね。
ありす それにしたってとんだマセガキだな(笑)。問題にならなかったの?
おにいたん 幸い、被害者が泣き寝入ってくれたから(笑)。ただ、エロとは違うベクトルだけど、一度大変な事件が起こったりもした。
ありす 聞くのが若干怖いな(笑)。
おにいたん 小4くらいの時に仲の良かった友達と些細なことでケンカをして。そいつが教室にいない隙に筆箱の鉛筆を全部折ってやったら、なぜかバレた上に向こうの親が出てきやがって。両親同伴で彼の家に謝りに行った(笑)。
ありす 笑って言うことじゃないから。
おにいたん 当時は他人の気持ちなんて考えたことがなかったね。弟のことも散々いじめたし。家の階段から突き飛ばしたり、ランドセルを側溝に捨てたり。
ありす 最低だな(笑)。
おにいたん でもあいつが喘息をこじらせて数日だけ入院した時は付きっきりで看病したよ。
ありす おお、優しいじゃない。
おにいたん あいつが元気にならないといじめる相手がいなくて退屈じゃん(笑)。
ありす そんなことばかり言ってると本当にそういう性格だと思われちゃうかもだよ(笑)。
おにいたん 本当にそういう性格だし~(笑)。

夏は家族でハトヤに泊まるのが恒例行事だった。

ありす 家族旅行とかは行かなかった?
おにいたん 伊豆へいちご狩りに行ったことがあるけど、普通いちごって冷えてるじゃん。でもいちご狩りのいちごはビニールハウスの中で温まっているから思わず吐いてしまった。
ありす 営業妨害もいいところだ(笑)。
おにいたん 親父も昔は車検のたびに車を買い換えていたけど、新車特有の臭いがダメでよく吐いてた。
ありす 悪い意味で繊細なのは昔から変わってないのね(笑)。
おにいたん 小学生の間まで夏は家族でハトヤに泊まるのが恒例行事だったな。
ありす 伊東に行くならハ・ト・ヤ!
おにいたん 電話は4126(よい風呂)! って何を言わすねん(笑)。
ありす いいなぁ。あたしも行きたかった。
おにいたん 温泉には水族館のように大きい水槽があって、夜になるとプールサイドで色々なイベントが催されたりして。ほんと楽しかったよ。
ありす おにいたんばっかずるい~(笑)。
おにいたん 親父は大企業に勤めていたから、夏に会社主催のキャンプがあったんだよね。山梨のクラフトパークってとこに何度か行った。
ありす へぇ。
おにいたん 工芸の体験コーナーで湯呑みを作ったり。夜には花火大会があって、露店も出て、当時ダウンタウンDXでやっていたようなゲームで遊べたり。 
ありす 有名企業はやっぱすごいね。
おにいたん ショーみたいなのもあって、つんくのモノマネの人がシャ乱Qの曲を歌っていたな。確か芸名は「とぅんく」だった。
ありす とぅんく(笑)。
おにいたん 声を失くすようなネーミングセンスだよな(笑)。
ありす こらこら(笑)。
おにいたん 翌朝は子供が集まってカブトムシを捕ったりして。たぶん会社が用意したんだろうけどさ。
ありす 聞けば聞くほど羨ましいわ~。
おにいたん 会社のイベントと言うと、マラソン大会のゲストに谷川真理が来たことがあったんだよね。
ありす ああ、TBSのオールスター感謝祭によく出てる人。
おにいたん 彼女と弟のツーショットの写真が今でもうちに飾ってあるよ。
ありす そうなんだ。
おにいたん 撮影会があったわけではなくて、控え室に戻っていく谷川選手を見つけた母親が強引に頼み込んだらしい(笑)。
ありす なんという図々しさ(笑)。

スト2ほどハマったゲームはない。

ありす そういえばテレビゲームはどう? 好きだったんでしょ。
おにいたん タイトルは分からないけど、ファミコンのドラえもんのソフトが初めて。幼稚園に上がるか上がらないかの頃、小田原の親戚のうちに遊びに行った帰りにおじいちゃんが買ってくれた。
ありす へぇ。
おにいたん ただ、それよりやっぱり俺の中ではスーパーマリオ3だけどね。印象深いのは。
ありす 名作だよね。
おにいたん 一応最後までクリアしたけど、昔のゲームはセーブ機能なんてないし、些細な振動で画面が止まっちゃうから、ハラハラ感が半端なかった。
ありす なるほど。
おにいたん あとは友達から借りて、たけしの挑戦状とかもやったよ。
ありす ああ、あの悪名高い(笑)。
おにいたん 当時はもちろんよく分かってなかったけど、あの頽廃的な世界観には惹かれるよね。北野映画に通ずる部分もあると思うし。
ありす おにいたんは「BROTHER」とか好きだから。
おにいたん そして小学校に上がってからはスーパーファミコンのスト2。後にも先にもこれほどハマったゲームはない。
ありす うん。
おにいたん たまたま映画館でデモ映像が流れて、親に買ってもらって、後のシリーズもほとんど持っていたし、とにかく俺の人生からは切り離せないよ。
ありす でも下のおにいたんには歯が立たなかったんでしょ?
おにいたん そう。あいつは全てにおいて器用なんだよ。普通のガムでも風船を作れるくらいだし(笑)。
ありす 他のゲームも上手かったらしいね。
おにいたん パワプロのサクセスで「冥球島」てのがあったんだけど、試合に勝ち進まないと強くならないシステムなんで、よく手伝ってもらっていたよ。
ありす そう(笑)。
おにいたん 唯一俺が勝てるのが桃鉄だった。あれは性格の悪さが生きるゲームだから(笑)。
ありす なるほど(笑)。
おにいたん ほんと色んなゲームをやったけど、RPGにだけは手を出さなかったね。ドラクエもFFも。
ありす どうして?
おにいたん RPGって要は単純作業じゃん。敵を倒してレベルを上げての繰り返しでさ。
ありす まぁね。
おにいたん 俺はパワプロで選手を作る時もオールAには興味がなくて、ちょっと悪い特殊能力を付けたりして、その選手の境遇などをイメージしながら遊ぶ方だから。
ありす うん。
おにいたん と言いつつ、マリオRPGやポケモンにはハマったし、今もパズドラとかいう単調な作業ゲームに夢中なんだけどね(笑)。

あの家には思い出がいっぱい詰まってるね。

おにいたん テレビゲームとは違うけど、昔は弟とよく家の中でPKをやったね。
ありす 家の中で!?
おにいたん もちろん柔らかいボールだけど、窓のサッシのここからここまでがゴールと決めて。最初に住んでいた家は平屋だけど敷地面積自体は大きかったから。
ありす へぇ。
おにいたん ただ、ある日、俺の蹴ったシュートが打ち上がりすぎてシャンデリアを落としてしまった。
ありす あちゃー。ママには怒られた?
おにいたん それはもう嫌になっちゃうくらい。冷静に考えると、まずは息子の心配をしやがれって思うけど(笑)。
ありす きっとお高いシャンデリアだったんでしょう(笑)。
おにいたん あの家には思い出がいっぱい詰まってるね。 
ありす ちょっと聞かせてよ。
おにいたん ある日、母親がゴキブリだと思って叩いたのがクワガタで、それをしばらく飼ったり。
ありす 確かに暗かったら区別が付かないかもだね(笑)。
おにいたん 庭も広くて、砂場もあったから、よくお城やトンネルを作って遊んだり。
ありす なるほど。
おにいたん 途中までエアコンがひとつの部屋にしかなかったんで、夏だけはその部屋で寝るんだよ。「奥の部屋」って呼んでたんだけど。
ありす 安直なネーミング(笑)。
おにいたん 奥の部屋に行く廊下の突き当たりにのらくろのポスターが貼ってあったんだけど、なんだか不気味に思えて、目を背けながら歩いていた。
ありす かわいい(笑)。
おにいたん 夏休みになると静岡ではアラレちゃんの再放送をやってたんだけど、それを見てから庭のプールに入るのが楽しみだったな。
ありす え、プールがあったの!?
おにいたん いや、ビニールで膨らませるやつだよ(笑)。
ありす ああ(笑)。
おにいたん そんで午後はまた学校のプールに行って。
ありす 全身がふやけちゃいそうなスケジュールだな(笑)。 
おにいたん そういえば俺が小3くらいの時に全国的な水不足に襲われてプールに入れなくなっちゃったんだよな。
ありす 雨が降らなかったのかな。
おにいたん でも静岡の水源はダムじゃなくて富士山の湧き水だから本当は関係ない。つまり事なかれ主義で他に合わせただけでさ。
ありす なるほど。
おにいたん 夏休みに限らないけど、夜は弟とよく「ごっこ遊び」をしていたね。
ありす どんな遊びなの?
おにいたん 人形を使って、お互いに適当な台詞を吹き込んで会話する。おままごとと違って世界観が限定されないぶん、話し手のセンスが問われる。
ありす よく分からんけど、高尚な遊びだな(笑)。
おにいたん まぁ大抵はエロ系になびいちゃうんだけど(笑)。
ありす ところでその最初のおうちから引っ越したのはなぜ?
おにいたん 平たく言えばご近所トラブルだね。
ありす というと?
おにいたん 隣に住んでいたのが母親の実家で働く大工だったのね。だから最初は親しくしていたんだけど、夫婦揃ってキチガイで、ある日、旦那の方が「布団を叩く音がうるさいから嫁が“頭を叩かれているようで辛い”と言ってるぞ!」ってうちに怒鳴り込んできた。
ありす そんなことを言う女も女だし、それを聞いて怒鳴り込む男も大概だな(笑)。
おにいたん 最初は高い塀でも作ろうかって話だったんだけど、その後も色々あって、とてもこんなところには住めないということになって、とりあえずアパートを借りたのち今の家に移った。同じ校区内だから転校はなかったけどね。
ありす そうだったんだ。
おにいたん そして隣のオヤジも職を失ったという(笑)。

自分の存在が永遠に無になるのがただただ恐ろしかった。

おにいたん 小学生の頃というと死への恐怖が芽生えたのもこの時期だな。
ありす え、病気か事故でもあったの?
おにいたん いや。未だによく覚えてるけど、俺は小4の時に初めて「人間っていつか死ぬんだな」と気付いて怖くなったんだよ。
ありす 面倒な小学生(笑)。
おにいたん ちょうどアパートに住んでいた頃で、隣に寝ていた弟に「死ぬのって怖いよな」てな話をした。
ありす 下のおにいたんはどう答えたの?
おにいたん 「死んだら分からないんだから怖がることないでしょ」って。
ありす まぁそれが普通だろうね(笑)。 
おにいたん 最近はこれでも感受性が鈍ってきたんで悩むことも減ったけど、10代の頃までは四六時中そんなことを考えていたから。
ありす 大変でしたね(笑)。
おにいたん 自分という存在が確かにあって、物を考えたり、こうやって話したりしているわけだろう。それができなくなり、自分の存在が永遠に無に帰すのがただただ恐ろしかった。
ありす 誰だって死への恐怖は漠然と持っているはずだけど、考えたところで解決しないから無意識に目を背けているんだよ。
おにいたん 確かにそれはそうかもだと思う。ただ、俺の場合、無になることを感覚で捉えてしまったから。どうしても上手く説明できないけど、そのことを考えるたび身震いしていた。
ありす ところでおにいたんは宗教とか信じてる?
おにいたん 選挙が近くなるたび、色んな知り合いに電話を掛けてますよ。
ありす やめなさい(笑)。
おにいたん まぁ俺は宗教なんて信じないよ。新興宗教もそうだし、たとえ歴史があったって、キリストの復活とか、そんなん信じる奴は単なるバカだろう。
ありす こらこら(笑)。
おにいたん ただの人間を神格化し、教祖様として崇め奉るのは非常に無理のある行為だと思う。特に現代においては。
ありす まぁね。
おにいたん 宗教というのは死への恐怖をフォローするために生まれた学問なんだと思う。キリスト教もそうだし、仏教の輪廻転生みたいな話だって。
ありす うん。
おにいたん でもそうやって斜に構えた考えを持っている時点で、俺は宗教に救ってもらうことができない。
ありす そうだろうね。
おにいたん だから死に向けての思想は自分で作らなきゃいけないんだけど、すごい印象に残っているのが、俺が小1の頃に母方のひいおじいちゃんが亡くなったんだけど、火葬場で最後のお別れをするとき、ひいおばあちゃんが「あたしもすぐそっちに行くからね」って言ってたんだよ。
ありす へぇ。
おにいたん だからそうやって自分以外の大事な人、それは子供であったり配偶者であったりなんだろうけど、そういう存在があれば恐怖が薄らぐ可能性はある。
ありす なるほど。 
おにいたん だけど、俺はそもそも死後の世界を信じてないから「そっちに行く」的なことを思えるかどうか。
ありす じゃあ「あっちに行く」とでも思えばいいんじゃない?(笑)
おにいたん いや、俺は「こっちに行く」(笑)。
ありす お好きにどうぞ(笑)。
おにいたん 「なっちでイク」。
ありす 死ねばいいのに(笑)。

河口と海の境目にほんのりとラインが見えたの!

ありす ちょっと話を聞いただけで、おにいたんが昔から変わった子だったことがよく分かるね。
おにいたん でも今の俺を知る人がイメージするよりは全然まともだったと思うよ。少なくとも表面上は。
ありす ああ、そう。
おにいたん 普通の明るい子だったし、今の俺からすると自分でも信じられないけど、授業中も積極的に手を挙げたりしてた。結局学校の成績が一番よかったのも小学生の頃だしね。中学に入ると定期テストでみんな勉強するから差が付かなくなっちゃう。
ありす なるほど。
おにいたん ただ、内面的なことで言えば、確かに変わっていたかもだと思う。
ありす 例えば?
おにいたん こないだふと思い出したんだけど、俺は小1の時の読書感想文で「似た者同士のふたりだから磁石のように反発してしまう」的な比喩を使ったんだよ。
ありす 小1で? さすがにそれはないわ。
おにいたん いやいや、マジなんだって。恐らく教師も「家族に手伝ってもらったんだろ」なんて思ったに違いないけど。
ありす そりゃそうだ。
おにいたん 変わり者のエピソードと言えば、当時の俺は横浜フリューゲルスっていうサッカーチームを応援していたのね。
ありす ああ、Jリーグブームの時期だったから。
おにいたん で、ある年、元日の天皇杯決勝でフリューゲルスが優勝を決めたんだよね。
ありす やったじゃない。
おにいたん もちろんそれはすごい嬉しいんだよ。大きなタイトルを獲ってくれたことはさ。
ありす うん。
おにいたん でも一方ですごい冷めた自分もいた。「別にフリューゲルスが勝とうと俺の人生には関係ないよね」と。
ありす すげー小学生だな(笑)。
おにいたん あとはこれも同じ頃、遠足で海へ行ったんだけど、途中電車を使ったんだよね。
ありす パパが轢かれた私鉄ね(笑)。
おにいたん で、車窓から海が見えたら普通の子供は大騒ぎするじゃん。だけど、俺はひたすら川と海の境界線を探してた。
ありす ほんと変わってるな(笑)。
おにいたん でも実際見つかったんだよ! 河口と海の境目にほんのりとラインが見えたの!
ありす どうなんでしょうねぇ(笑)。
おにいたん 俺も今はつまらない人間に成り下がってしまったけど、こういう感覚だけは忘れたくない。
ありす そう。
おにいたん たとえ的外れであっても、そういう些細な発見の積み重ねが人生の彩りになるんだと思うし、俺はどこまでもそんな人間でありたい。
ありす まぁ頑張ってくださいな(笑)。

ソフトテニス部ならぬソフトペニス部だった。

おにいたん 中学というとまず入学式が気まずかったな。
ありす どゆこと?
おにいたん 小学校の卒業式の前日にエロ本を万引きしたのが親にバレて、まだ時間が経ってなかったから。
ありす ほんとしょうがねぇな(笑)。
おにいたん 中学時代はとにかく部活だな。
ありす ああ、テニスをやってたんだよね。
おにいたん そう。ソフトテニス。でも練習はしょっちゅうサボってた。適当な理由を付けてさっさと帰っちゃう。
ありす そういうとこは全然変わってないね(笑)。
おにいたん 日曜の練習の日に、同じ部活の友達を連れて、銭湯に行ったりした記憶がある。
ありす 同じ部活の友達って(笑)。
おにいたん 中学生っていうのは毛が生え始めたり生え始めなかったり個人差の大きな時期だから裸の付き合いが必要なんだよ。
ありす だとしても部活のない日に行くべきだよ(笑)。
おにいたん ちなみに俺は中2くらいの時に生え始めたから遅い部類だと思うけど。
ありす 知りたくないよ、そんなこと(笑)。
おにいたん その銭湯で、当時の俺は人を笑かすことに命を懸けていたから、ジェットバスに股間を押し付けてわざと勃たせたりして。
ありす 笑えるのかな、それは(笑)。
おにいたん 俺はソフトテニス部ならぬソフトペニス部だったね。
ありす 勃起してるんだから全然ソフトじゃないでしょ(笑)。
おにいたん 素晴らしいツッコミ(笑)。
ありす じゃあ中学の部活では全く練習しなかったということでいいのね?
おにいたん そりゃたまには練習にも顔を出していたけどね。雨の日、ランニング代わりに校内の階段を上り下りするのが嫌だったな。床はめちゃくちゃ滑るし、2段くらい飛ばしたりすると先輩に見つかって怒られるし。
ありす 手を抜く方が悪い(笑)。
おにいたん 1年の最初のうちは本当に球拾いと素振りオンリーだったけど、夏に3年生が抜けてからはちょいちょいコートで打てるようになって、そこからは楽しみもあったかな。
ありす 少しは真面目に練習するようになったと?
おにいたん なるわけねぇじゃん(笑)。さっきの銭湯の話も恐らく2年か3年の時だし。
ありす ダメだな、この人は(笑)。
おにいたん でも日曜とかに校内で試合をするのは楽しかったな。顧問がアイスやお菓子を買ってきて勝つと賞品としてもらえる。
ありす いいね、そういうの。
おにいたん あと、なぜか妙に印象に残っているのが、昼休みにみんなで弁当を食べるんだけど、水筒に特製ドリンクを入れて持ってきている奴がいてさ。
ありす 特製ドリンク?
おにいたん まぁ水にクエン酸を溶かしただけって話だけど、妙においしくてよく飲ませてもらったのを覚えてるよ。
ありす ただでさえ喉が渇いているからね。
おにいたん そうそう。炎天下での練習後に飲む水道水よりおいしいものはこの世に存在しないと俺は思うね。どんな高級酒だって敵わないよ。
ありす 分かる分かる。静岡は富士山のおかげで水が綺麗だってのもあるけど。
おにいたん そういえば修学旅行で清水寺に行ったとき、入り口に水瓶があって柄杓で飲めるようになってんじゃん? あの水、普通にまずかったぞ(笑)。
ありす そんなことを気にするのもどうかと思うけど(笑)。
おにいたん ちなみにクエン酸の彼はホモだっていう噂だね。卒業してから知ったんだけど。
ありす 誰も聞いてないです(笑)。
おにいたん あと、俺は見たことないけど、巨根だと言われてた。
ありす だから聞いてねぇっつうの(笑)。

勉強を教えたお礼に手作りのカップケーキをもらった。

おにいたん 中学といえばやっぱり初恋だね。小学生の頃にも何人か好きな人がいたりはしたけど、本格的な恋は塾の後輩が初めて。学校も一緒だったけど。
ありす へぇ。
おにいたん 今となってはアレだけど、当時の俺は秀才キャラだったからさ(笑)。その女の子はちょいおバカだったんで、勉強を教えるため家に行ったりして。
ありす やるじゃん(笑)。
おにいたん 仲良くなってすぐ携帯の番号を交換するんだけど、しばらく経って電話を掛けたら全然繋がらないんだよ。
ありす あ、やばい(笑)。
おにいたん 恐る恐る「なんで繋がらないの?」と聞いてみたら「トイレに落としちゃったんです」って。
ありす 完全に弄ばれてるぞ(笑)。
おにいたん って思うじゃん? それが実は本当だったようで、後日、新しい番号を教えてもらった。
ありす 珍しいパターンだな(笑)。
おにいたん 願わくばトイレに落とした携帯を譲ってほしかったね(笑)。
ありす 変態か(笑)。
おにいたん それくらい好きだったからさ。
ありす じゃあ告白したりしたの?
おにいたん いや、ダメだったね。俺は昔から肝心なことを言えない性格だったんで。
ありす 残念。
おにいたん でも周りの友達もみんな俺があの子を好きだと知っていたから散々からかわれたな。「早く24番に告れよ~」って。
ありす 24番?
おにいたん 苗字が高橋だったから。当時は高橋由伸がすごかったんで隠語のようにそう呼んでた。
ありす なるほど。まぁその恋は儚く散ったわけだけど(笑)。
おにいたん でも勉強を教えたお礼に手作りのカップケーキをもらったよ。
ありす おお。
おにいたん そんで俺は「ありがとう。おいしかったよ」なんてメールを送るじゃん。そしたら「毒を入れたからもうすぐ死にますよ」って(笑)。
ありす 面白い子だね(笑)。
おにいたん まぁ今で言うところのツンデレなのかもだけどさ。でも当時はそんな言葉もなかったし、言葉が作られると変に記号化されちゃうところがあって、俺はそういうのが嫌なんだけど、照れ隠しでわざと悪ぶる女の子は好きだな。
ありす おにいたんもそういうとこがあるからね(笑)。 
おにいたん さぁどうだろう(笑)。

俺がもっと悪いことを教えてやればよかったのかもだね。

ありす ここまで話を聞く限り、中学時代は概ね楽しかったということでいいのかな?
おにいたん あ、でも担任には恵まれなかったな。
ありす そう。
おにいたん 中1の時が望月っていう女の担任だったんだよ。今の俺と同じくらいの年齢でさ。
ありす うん。
おにいたん 根っこから性格が歪んでいる彼女にとって、宿題をやらない俺は恰好のターゲットだったようで。三者面談の当日に職員室に呼びつけて「お母さんの前で泣かせてやるからね」って。
ありす うわぁ……。
おにいたん そりゃ俺も色々問題のある生徒だったんだろうよ。「家で勉強しなくてもテストで点を取ってんだからいいだろ」くらいに思っていたし。でも親の前で延々と人格否定するこたぁねぇだろってんだよな。さすがに泣きはしなかったけどさ。
ありす おにいたんは負けず嫌いだから。
おにいたん あと、あの女はヒステリーなとこもあって、掃除中にみんながふざけていたことに怒って、ゴミ箱のゴミを教室にばら撒いたりして。
ありす それもひどいね。
おにいたん 中2中3が稲葉っていう担任なんだけど、そいつもやばかったな。
ありす どんな風に?
おにいたん いかにも体育教師っていうタイプで、俺はやられたことがないけど、理不尽な理由での殴る蹴るは茶飯事だった。
ありす まぁ時代もあるんだろうけどね。
おにいたん 個人的に許せなかったのは、一緒にテニスをやってた奴が2年生の時に病気に罹ったんだよ。癌なんだけどさ。
ありす そうなんだ。
おにいたん そしたら抗癌剤とか打つわけだけど、毛が抜けちゃうじゃん。副作用で。だから学校では帽子を被ってたんだけど。
ありす うん。
おにいたん なのに、ある日のホームルームで「お前はいつまで帽子を被ってるんだ」って。
ありす うわぁ……。
おにいたん 思春期の男子が病気で毛の抜けた姿を晒すのは嫌だったろうし、性格的にもすごい大人しい奴だったからさ。あいつの気持ちを考えると辛かったね。100歩譲ってどうしてもそれを言いたいなら個人的に話せばいいんで、みんなの聞いている前で言うべきじゃないだろう。
ありす そうだよね。
おにいたん と言いつつ、俺はあいつに「下の毛も抜けちゃったの?」とか平気で聞いてたわけだけど(笑)。
ありす こらこら(笑)。
おにいたん 俺は近しい間柄の人にはあえて無礼な振る舞いをしちゃう人間だから。
ありす でもそれは言っちゃダメなやつだよ(笑)。
おにいたん まぁあいつのことは好きだったよ。これはマジで。
ありす 分かるけどさ。
おにいたん どういう経緯かは覚えてないけど、ほぼ毎日、俺が家で考えたポエムをあいつの前で披露して感想を言ってもらっていたくらいで。
ありす どんなポエム?
おにいたん それが全く覚えてないんだよ。恥ずかしいから言わないんじゃなくて、ほんとに覚えてない。
ありす 残念(笑)。
おにいたん あいつとは修学旅行も一緒に回ったけど、病気で車椅子に乗っていたから、他の班が電車を使うなか、俺らはタクシーを借り切って移動したんだよな。そういう意味でも感謝してる(笑)。
ありす その感謝のしかたはおかしいでしょ(笑)。
おにいたん そんな彼とも中学を卒業してからは会うことがなかったけど、最後は腕を切断して、それでも結局20代半ばで亡くなってしまった。
ありす そう……。
おにいたん 「憎まれっ子世にはばかる」って言うけど、あいつは本当にいい奴だったからさ。俺がもっと悪いことを教えてやればよかったのかもだね。


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