Dying Message

僕が最期に伝えたかったこと……

ヘッドハンティング

2007-05-29 16:50:40 | Weblog
 少し前に、誕生日だったお母さんの首を斬って、その首をバッグに入れて出頭したという奴がいたでしょう。また例によって“犯罪心理学者”とやらが、「自分の内なる悪を母に投影した」なんて訳の分からないことをワイドショーで言っていたけれど、冗談じゃない。こういう残虐な事件が増加したことについて、オレは全く違うところに原因があるとみているんだよ。

 要するに個々の死生観が希薄になったってことだよ。死生観というのは死への哲学のことだけど、日本人の死への向き合い方と来たら稚拙なことこの上ないものね。特にドラマなんかではその傾向が顕著だ。
 例えば草薙剛が主演で、余命があと一年だっていう設定のドラマがあったじゃない。別に感動した人に水を射すつもりはないけど、あのドラマが最たるもの。クラスの合唱を見ながら眠るように最期を迎えたけど、人間が死ぬときには必ず少しは苦しい表情をするはずで、死の負の面から目を背けた最悪の表現だった。『失楽園』もそうだけど、死の臭みを消すことで殺人や自殺を助長するのが分かってないんだね。

 逆に、そういう観点でみると『バトルロワイヤル』ほど素晴らしい作品はないんじゃないの。暴力シーンだけをあげつらって理不尽な批判を受けたけど、オレは、『僕の生きる道』と真逆の表現、つまりああやって死体を汚物のよう描くことで、逆説的に命の大切さが分かるのだと思う。極限の状態に追い込まれた時の人間の危うさを教えてくれることも含めて、人生観の形成における最高のテキストに違いないはずだよ。

 とか何とか書いてたら、母からメールが来た。「帰りに福神漬けを買ってきて」だって。人をこき使いやがって。いつか首を斬ってやる……。


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