雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

善意の形 ・ 小さな小さな物語 ( 244 )

2011-07-20 14:55:55 | 小さな小さな物語 第五部~第八部
群馬県のランドセルに始まったタイガーマスク現象が、大きな波紋を描いています。
いやなニュースや腹立たしい事件が多い中で、何だか救われた気持ちにさせてくれました。
最初にランドセルを贈った人は、まさかこれほどの反響を考えていたわけではないでしょうが、結果として、本当にすばらしい一石を投じてくれたものです。


タイガーマスク運動などと表現する報道がある程の広がりを見せている出来事ですが、例によって、手放しで喜んでいられるようなことではないとのご高説を述べられる人もいます。
曰く、「偽善が垣間見られる事例がある」「政治の貧困の表れでしかない」「調子に乗り過ぎ」「本当に必要なものを送るべきだ」等々・・・。


善意をどのような形で表現すればよいのか。これもなかなか難しいものです。よく言われるように、日本人は特にその表現が下手だと言われています。
電車で席を譲る時の若者のぎこちないそぶり。そして、時にはそれを素直に受け取らない老人とおぼしき人物。
善意とおぼしき行為に対して、必ずと言っていいほど「偽善だ」と感じたり発言する人物がいること。
私たちの殆どは、何かの時には、義理でも打算でもなく、素直に手助けをしたいと思うことがあります。しかし、その一歩はなかなか踏み出せないものです。


善意にはいろいろな形があるのではないでしょうか。タイガーマスク現象に感動しながらも、とてもそれに相乗りする勇気がないのは私だけではないと思うのです。
しかし、私たちは、人と人とがぶつかりあうようにして生きている限り、何かの時には、可能な範囲でいいので善意を示す必要があるのではないのでしょうか。
「いいカッコしようとしている」と思われないか、「出しゃばり」だと思われないか、そのような重しがあるのは確かですが、善意には決まった形などないと思うのです。それが、きっと、ほんの僅かであるとしても社会の潤滑油となるのではないでしょうか。
それで、「お前は何をしているのか」ですか? さあ、それがつらいところです。考えてみると、それらしいことは何もしていないんですよね。まあ、あえて言えば、たまに宝くじを買って地方公共団体の財政に役立っているくらいですかねぇ・・・。少し反省はしています。

( 2011.01.24 )

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