枕草子 第百三十八段 清げなる男の
清げなる男の、双六を日一日うちて、なほ飽かぬにや、短き燈台に火をともして、いと明う掻上げて、仇の賽を責め請ひて、頓(トミ)にも入れねば、筒を盤の上に立てて待つに、狩衣の領(クビ)の顔にかかれば、片手して押し入れて、強(コハ)からぬ烏帽子ふりやりつつ、
「賽、いみじく呪ふとも、打ち外してむや」
と、心もとなげにうち目守りたるこそ、誇りかに見ゆれ。
小ぎれいな男が、双六を一日中打って、まだ満足しないのか、背の低い灯台に火をともして、たいそう明るくかき上げて(灯心をかき上げて炎を大きくする)、相手のサイコロに呪いを込めていて、すぐには筒の中に入れないので、相手は筒を盤の上に立てて待っていると、狩衣の襟が顔にかかるので、、片手でそれを押し入れて、固くはない烏帽子を後ろへ振りやりながら、
「さいころを、どんなに呪っても、打ち損ないをするものか」
と、じれったそうに見守っているのは、自信満々に見える。
いつの世も、勝負事にのめり込む男性は多いようですが、それを、少納言さまは意外に好意的に描写しているように思われるのですが、どうでしょうか。
なお、この双六の遊び方が今一つはっきりしないのですが、黒白十五程のコマを、サイコロを使って競い合うもののようです。いずれにしても、ここにあるように大の男がのめり込むのですから、賭け事なのでしょう。
また、「きよげなる」というのは、「見た目がきれいな」といった意味で、「きよし」とは明確に意味が違うようです。
「男(ヲノコ)」は、それほど身分の高くない男性を指します。「強からぬ烏帽子」も略式のものを指していて、あまり身分の高い者でないことが分かります。
清げなる男の、双六を日一日うちて、なほ飽かぬにや、短き燈台に火をともして、いと明う掻上げて、仇の賽を責め請ひて、頓(トミ)にも入れねば、筒を盤の上に立てて待つに、狩衣の領(クビ)の顔にかかれば、片手して押し入れて、強(コハ)からぬ烏帽子ふりやりつつ、
「賽、いみじく呪ふとも、打ち外してむや」
と、心もとなげにうち目守りたるこそ、誇りかに見ゆれ。
小ぎれいな男が、双六を一日中打って、まだ満足しないのか、背の低い灯台に火をともして、たいそう明るくかき上げて(灯心をかき上げて炎を大きくする)、相手のサイコロに呪いを込めていて、すぐには筒の中に入れないので、相手は筒を盤の上に立てて待っていると、狩衣の襟が顔にかかるので、、片手でそれを押し入れて、固くはない烏帽子を後ろへ振りやりながら、
「さいころを、どんなに呪っても、打ち損ないをするものか」
と、じれったそうに見守っているのは、自信満々に見える。
いつの世も、勝負事にのめり込む男性は多いようですが、それを、少納言さまは意外に好意的に描写しているように思われるのですが、どうでしょうか。
なお、この双六の遊び方が今一つはっきりしないのですが、黒白十五程のコマを、サイコロを使って競い合うもののようです。いずれにしても、ここにあるように大の男がのめり込むのですから、賭け事なのでしょう。
また、「きよげなる」というのは、「見た目がきれいな」といった意味で、「きよし」とは明確に意味が違うようです。
「男(ヲノコ)」は、それほど身分の高くない男性を指します。「強からぬ烏帽子」も略式のものを指していて、あまり身分の高い者でないことが分かります。
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