西園美彌 Blog ~情熱的にGoing My Way~

バレエ・モダン・コンテンポラリーダンサー 振付家 西園美彌(Miya Nishizono)のブログです。

雑感

2015-11-27 23:00:15 | ドイツ生活
ドイツ、寒いです
もう雪も降りました

これがまだまだ序の口だなんて
今年は一体マイナス何度まで行くのか?!
怖いよう…

すでに風邪っぴきの美彌です






立て続けに舞台を鑑賞して感じたことを書きましたが、見た舞台すべての感想を書いているわけではなく、私の中で伝えたい何かが生まれた時に書いています。



やっぱり芸術に触れるというのは生きている時間、人生が、豊かになる気がします。なかなかこんな贅沢な時間を過ごすことはできないよなぁと、自分の運の良さ(?)に感謝の念を覚えます。日本で忙しくしていた時には見つけられなかった種類の幸せです。


ダンスを見て学べること、感じることもたくさんあるし、

「視野が広がる」ということのメリットは狭い世界の“常識”や偏見、固定概念が消えることですよね。


きっとこれは何事においても大切。

(ドイツに来たこと、日本では経験してこなかったようなコミュニティに入る事も、私に大きな変化をもたらしてくれています。)





今は舞台にまったく立てていない私ですが、もはや割り切ってしまっているため、“悔しい”という感情が立ち昇ってくるのではなく


ただもう純粋に舞台人の方々を尊敬しながらダンサーたちの踊りを見て感動し、作品に涙しています。


「自分がこの舞台に立てるか?立ちたいのか?立てると思うのか?」なんてよく自問自答するのですが、

そんなことを思うことがまずおこがましいと思うようになりました。



観れば観るほどこの世界を知ることになり、結論として「私、ダンスの世界を舐めてたわ」と反省しっぱなしです。

でっかいことを目標にして、口にして、行動を起こすのをモットーにしてきたけれども。。

ああダンサーとして、人として恥ずかしい。穴があったら入りたい…







でも私はダンスが好きです。

そこは変わらなかった。






今まで(日本で)忙しかったというのは言い訳になってしまうけれど、踊ることばかりで舞台を見てこなかったことがもったいなかったなぁと思いました。


層の厚い、本場のプロフェッショナルの上質な舞台。それらをこうして間近で見ているのは、ダンサーとしては一番の経験をしています!




少しでも成長をすること、それをその瞬間瞬間で楽しむということを軸として、一歩一歩前進していきたいです。



…………………………


私は自分で作品を振付ていますが、創ることより踊ることや身体を動かすことの方が好きなんですよね。


だから「どうしたらもっとうまく身体を動かせるようになるのか」といった研究欲求から発するのですが、


ダンサーの技術的な高さは、表現力や存在感にも通じていて、この質の違いはどこから生まれてくるんだろうとずっと考えていました。


幸運にも様々な一流の友達がまわりにいるため、その人たちを見てて思ったのですが、その質の違いを生む秘訣は、


秘訣でもなんでもなくて、


“実生活の中にこそある”。



実生活が、パフォーマンスを磨く以前の、根本的な部分なのです。




あー、

これも、

自分、穴があったら入りたい…



実生活は、私が大切にしてこなかったものの一つ…
これはもう、一から出直さないと…!

…と思ってしまうのですがそんなことは無理なので、いま、ここから、頑張ろうと思います…思わなければ!(笑)



…………………………


世界は広い。
でもそんな広い世界でも同じような考えをもっているヒト・モノ・コトに出会うと嬉しくなります。



私が自分の作品をつくる時には、世の中を見ていて感じることや私自身の体験から得た何かが材料となります。


そこにはこれからの子供たちへ伝えたいこと、また一般の人々に気づいてもらいたいとことなども含まれています。


しかしコンクールに出たり踊っていくうちに、私の表現や哲学や精神は、ダンスに向いてないんじゃないかなと思ってしまっていました。←すぐに自信無くすやつ


でも向いてる向いてないっていう世界じゃないんですよね。やりたいことをやればいい、っていう世界なんですよね。


自分の生きるステージを見つけて、自分のペースで走っていいんだ。



生きること、踊ること。
続けていきたいなと思います。







最近の私♪


だいぶ動けるようになりました!



次はクリスマスマーケットのレポートを書こうかな

本場のクリスマスマーケットはすごいです!

BackBone/Alida Dors 「Built for it」

2015-11-20 23:00:29 | ドイツ生活

tanzhausでヒップホップのコンテンポラリー作品を見ました!



tanzhausは「ダンスの劇場」。
ダンスのためだけの劇場があるのはドイツではデュッセルドルフのここだけだそうです。

建物内には舞台、レッスン場、カフェ&バーが併設してあり、ミュージカルが上演されるCAPITAL THEATDRが隣接していました。



「この日になにか舞台かパフォーマンスやってないかな?」

と思い検索してたらちょうどやっているということで見に行きました。(観光客用のDüsseldorf cardを使用していたためチケット20%引き。)

開演を待ってると、中学生くらいの学生集団が来たなと思ったらその後に小学生集団の波。

一気に賑やかに。その後、高校生の集団も。


開演が11時で、変な時間帯だなと思ったけれど、こういうことだったのかと納得。

《ドイツの学校ではこういう観賞行事は担任の先生次第。芸術や文化に積極的に関わろうとする先生にあたると美術館や舞台を見に行くらしい。なにもしない先生もいるみたいだが。。ちなみに、子供の進路を決定づける評価を下すのも担任の先生(小学4年のテストの結果で大学進学コースか就職コースかが決められる)。ドイツの学校のシステムはいろいろと自由な面、シビアな面がある。》


この公演の観客はほぼ子供たちでした。大人の客はチラホラくらい(笑)


内容は・・・

トレイラーがこんな感じだったので暗い感じ??と思っていましたが、


いやはやなんともカッコよかったのでした!

ステップの素材はヒップホップです。で、全体としてはクールなコンテンポラリーでした。決して格好良さのアピールではなく、表現として構築されてる感じが見てて心地よかったです。見れてよかったー!

途中着ているものを脱ぐシーンがあり(決していやらしくはない)、男女は下着のような姿になったのだけれど、子供の時からこういうのに慣れていくのか、と思いました(ヨーロッパでサウナは混浴だし。習慣も文化的にもいろいろとオープン)。でも「きゃー!」という子供たちの反応は素直。

カーテンコールでは大きな歓声と拍手。ポカンとする子供たちもいました。いろいろいて当然です。


私は単純に面白かったな、カッコよかったな、という感想(これって上から目線かしら。。)。深いとこまでは分からなかったけど良いもの見れたー!と思いました。

子供たちはなにを感じたのだろう。


…………………………


ヨーロッパではこうした“表現する大人”や“アーティスト”に触れる機会が多くていいなぁと思います。このようにわけのわからないものにも触れてこそ育つ何かあるはずです。

それに子供たちに夢をとか子供たちを主役にとか、子供にやらせるばかりではなくて鑑賞も大事ですね。

芸術が育つのも《身近に触れさせる》からなんだろうと思います。芸術は教育させるものじゃなくて触れさせるもの。芸術ではなくてもアーティストであったり、真剣にプロフェッショナルとして生きてる大人は身近にどこにでもいるから、そういうものに触れることが多い子供は豊かに育つと思います。(ここでいう“豊か”とは、モノの見方捉え方が限定的ではないこと。)

昨今のネット社会の影響は計り知れないから。特に二項対立の構造でしか物事を捉えられなくならないようにしてあげないと、、、。



あぁ、ついつい教師目線になってしまう私。


今デュッセルドルフで泊めさせてもっている友達はアート系の子なので日本とヨーロッパとの違いをいろいろと話します。
文化を否定するんではなく、日本の問題はチケットの値段だよねってところに行き着く。やっぱりチケットの値段って大っきい。でも努力している団体はたくさんある。


どうしてもまだまだ値段が高いのは質も高いけど、安いのは質も低いと思われがち。(実は私がそう思っていた節もある!反省!)

全くそうではないことを知ったので発信したくなりました。
(というのも、私のつくばの職場は、ダンスをより身近に感じてもらい、つくばの文化発展のため、ダンス文化を根付かせるため努力している団体だったから。)


日本のダンス界、表現の世界がもっと広く一般的になる日はきっともうすぐそこ。


Pina Bausch 「NELKEN」

2015-11-19 23:00:17 | ドイツ生活

ピナの代表作ともいえる作品「カーネーション」。


開場してすぐ目に飛び込んでくるのは舞台一面に敷き詰められたカーネーション。

約8000本とも言われています。



終演後にはこのようになりました。




ピナの振付、ヴッパタール舞踊団のパフォーマンス、この舞台から分かるとおり強烈です。

おそらく何を感じ取るかはひとりひとりの感受性によって異なるのではと思います。(感受性が良いとか悪いとかの話ではなく。)

日常の延長であったり、自分の傷口に触れられるような描写があったり、その中にダンサーの踊りの激しさ、切なさ、美しさごあり、なんのメッセージが込められているのかまったく分からない出来事が洪水のように押し寄せてきて終わった後は虚無感のようなものを覚えます。でもなぜか自由になった心地がある、というか。


本当はあまり言葉にしたくないんですけどね(笑)


ピナの亡きいま、日本に公演に来ることもまれだろうし、主要メンバーの高齢化もあり今見ておかなきゃ!なカンパニーなのです。


見れてよかった。
でもドイツ語が多くて意味が分からないのがちょいと残念。
でもその分感覚で見れるから不思議と脳裏に焼きつきやすいのかも。


劇場でピナの本を買いました。分厚くて重いのに買っちゃいました。

そしたら一緒にそこで売ってたカーネーションをサービスしてくれました。





ピナ・バウシュ・ヴッパタール舞踊団を追いかけて、来月はモナコまで行っちゃいます!


Martha Graham Dance Company, New York

2015-11-18 23:00:14 | ドイツ生活

マーサ・グラハム・ダンスカンパニーの舞台を見てきました!!

デュッセルドルフ近くのノイスという街へこの舞台を見るためにわざわざ足を運びました。




マーサ・グラハムをいう方をご存知でしょうか。


グラハムなの?グレアム??
Wikiではグレアムになってます。
(ずっとグラハムと思っていた、、両方とも言われているのでここではグラハムとしておきます。笑)


モダンダンスの代表的な振付家・ダンサー。TIME誌(1998年)は彼女を「Dancer of the Century」として、また20世紀において最も重要な人物の1人に挙げています。

このGoogleの映像を見た人も多いのでは?


マーサ・グラハムの誕生日を記念してつくられたものらしいです。あまりの美しさに感動しました。マーサ・グラハムのダンスの美しさがまさに表現されている映像です。

彼女のモダンダンスはマーサ・グラハム・テクニックという一つのモダンテクニックの一つの流派として体系化されています。
しっかりと学んだことはないですが、このテクニックは難しいことで有名です。でもあの動きの美しさが生まれるのであれば鍛錬したいですよね~

……………………


平日夜の一回のみの公演。満席。
観客の年齢層が高かった印象。

国立劇場ではなく市立劇場で、パイプ椅子(でも高品質)が並べられていました。



開演前には簡単な説明が。カンパニーについてと、振付家についてと、作品についての解説。

…………………

公演は

素晴らしかった。
もぅ~すんばらしかった。

なにあの身体!(褒め言葉)

生で見るっていいですね。
空気感を体験しなきゃだ。

そしてやっぱり私はモダンの世界でも古いのが好きなのかも。現代的な、前衛的なものより古典派なのかな。


でもどんな時代のどんな作品でも、共通するのは【人間の身体から生まれる美しさ】だと思いました。



…………………

終演後、劇場のまわりは平面駐車場で囲まれていたため帰りは車で大混雑。こういう劇場は初めてでした。いろんな場所に足をはみるもんですね。





さて、

10~12月は舞台鑑賞月間。

半分がたち、私が思ったのは

私の同年代の友達や、神戸の全国大会で賞をとってる高校生や大学生の作品も、まったく引けを取らないというか、むしろ作品として高い次元にあるのは確かだと思う。

私の目から見て、だけど、、、まだ断言しちゃだめかなぁ(笑)

でも本当にそう思う。
これって実は凄いことではないでしょうか。

日本の皆様、日本のモダンやコンテンポラリーを見ないのはもったいないですよ!敷居なんて高くない!ぜひ興味をもってもらいたい。

世界に行かずとも、日本全国、近所のそのへんに、十分ハイレベルで面白くて見応えのある舞台が上演されています。とくに最近の日本は勢いがあります。

欧米では国や市が支えているけれど、日本ではほぼ個人レベルでやっています。お金はプラスに転じず、マイナスになるのを覚悟して。そんな中で世界と引けを取らない作品が生み出されている日本って、、、人口比率としてはポテンシャル凄いんじゃなかろうか。

振付家として世界大会でグランプリをとっている方も何人もいます。日本人、すごいんだぞ~って声をあげたい。(欧米への憧れや劣等感が強い私だから思うことかもしれませんが、、、だいぶ変化したけど。)


日本では今はまだ「モダンダンスやコンテンポラリーダンスは分からない」という人も多いですが、メジャーになる日も近いかな?

私が海外に来ると、どんな人でも、私はダンサーだと伝えると、「ジャンルは?あぁ、モダンなんだ。いいねぇ。」と大抵知ってる。日本では「聞いたことない」という人もまだまだ多くて。でも私を通して知ってもらえたら嬉しいです。そのためのブログだから。

とにかく多くの人に劇場に足を運んで生のダンスを観に行ってもらいたい。

もはや良いダンサーや良い作品は東京でしか見られないなんて時代ではないですよ!