大鍋で

長い闘病生活の夫が
来る日も来る日も

ベッドと居間の座椅子で
暮らすことが多くなって

関白亭主を返上して
洗濯物をたたんだり

少しずつ家事を
手伝ってくれるようになった

洗濯物の取り入れ
そのうち干すことも

たまに夕食の支度も
加わった

そして
また

少しずつ
出きることが減っていった

しんどかったら洗濯物
取り入れてくれなくていいよ

といったら
翌日から止めた

玄関に置いていた金魚の水槽を
近くのウッドデッキに置いた

その餌やりも
しなくなった

それでも
週一回ほど夫は

大鍋にカレーを作った
その日は

嫁いだ娘や孫が大集合
孫に会いたくて

きっとぼちぼち
椅子に座りながら

野菜を切り
隣に住む娘に手伝わせ

私が仕事から帰ると
大食事会

孫たちの顔がみたくて
おじいちゃんのカレー美味しいと

笑顔がみたくて
呼んだものの

回を重ねるうち
それすらしんどくて

食事もそこそこに
おまえらもう帰れといいだした

今は私一人
たまに

カレーが食べたくて
レトルトカレー

作りすぎてしまうから
手作りしない

寂しいといえば寂しいけれど
トッピングを工夫すれば重宝