銀杏の葉が今年も舞い始めた
さらさらと飛び交う黄色い吹雪
山里の立派なお寺の境内の一角で
樹齢何百年の銀杏の大木が空を覆い
本堂から裏門に続く庭一面を
黄色い葉が埋め尽くそうとしていた
一人の青年がこの村に来てから
半世紀を過ぎようとしていた
秋の深まった晴れた日に彼がこの村を
通ったのは行き先のない自転車旅の途中だった
寺の大きなの瓦屋根と大きな銀杏の木
それだけが向こうの山に光って見えた
青年はワクワクしながら自転車をこいだ
急坂はこぎきれずに押して登った
大木に残った銀杏の葉が
太陽を反射して風に耐えている
「おお~」と歓声を上げた青年は
寺の土塀に自転車を持たれ掛けさせ裏庭に走り込んだ
こんな大きな銀杏の木は見たことがない
大木の周り一面に敷き詰められた黄色い絨毯
たすきに掛けた帆布の頭陀袋から
取り出したスケッチブックに目の前の木を描くと
頭陀袋を枕に大木の根元に転がり落葉に包まれて
そのまま日が西に沈むまで眠り込んでしまった
かすかな温かさで包まれていた体が肌寒さを感じて
青年は起き上がり大きな伸びを一つした
さらさらと飛び交う黄色い吹雪
山里の立派なお寺の境内の一角で
樹齢何百年の銀杏の大木が空を覆い
本堂から裏門に続く庭一面を
黄色い葉が埋め尽くそうとしていた
一人の青年がこの村に来てから
半世紀を過ぎようとしていた
秋の深まった晴れた日に彼がこの村を
通ったのは行き先のない自転車旅の途中だった
寺の大きなの瓦屋根と大きな銀杏の木
それだけが向こうの山に光って見えた
青年はワクワクしながら自転車をこいだ
急坂はこぎきれずに押して登った
大木に残った銀杏の葉が
太陽を反射して風に耐えている
「おお~」と歓声を上げた青年は
寺の土塀に自転車を持たれ掛けさせ裏庭に走り込んだ
こんな大きな銀杏の木は見たことがない
大木の周り一面に敷き詰められた黄色い絨毯
たすきに掛けた帆布の頭陀袋から
取り出したスケッチブックに目の前の木を描くと
頭陀袋を枕に大木の根元に転がり落葉に包まれて
そのまま日が西に沈むまで眠り込んでしまった
かすかな温かさで包まれていた体が肌寒さを感じて
青年は起き上がり大きな伸びを一つした