風のように

ゆらり 気ままに 過ごすとき
頭の中は妄想がいっぱい
錯覚の中で生きるのが楽しみ

銀杏

2019-11-30 23:03:21 | こころ
銀杏の葉が今年も舞い始めた
さらさらと飛び交う黄色い吹雪

山里の立派なお寺の境内の一角で
樹齢何百年の銀杏の大木が空を覆い

本堂から裏門に続く庭一面を
黄色い葉が埋め尽くそうとしていた

一人の青年がこの村に来てから
半世紀を過ぎようとしていた

秋の深まった晴れた日に彼がこの村を
通ったのは行き先のない自転車旅の途中だった

寺の大きなの瓦屋根と大きな銀杏の木
それだけが向こうの山に光って見えた

青年はワクワクしながら自転車をこいだ
急坂はこぎきれずに押して登った

大木に残った銀杏の葉が
太陽を反射して風に耐えている

「おお~」と歓声を上げた青年は
寺の土塀に自転車を持たれ掛けさせ裏庭に走り込んだ

こんな大きな銀杏の木は見たことがない
大木の周り一面に敷き詰められた黄色い絨毯

たすきに掛けた帆布の頭陀袋から
取り出したスケッチブックに目の前の木を描くと

頭陀袋を枕に大木の根元に転がり落葉に包まれて
そのまま日が西に沈むまで眠り込んでしまった

かすかな温かさで包まれていた体が肌寒さを感じて
青年は起き上がり大きな伸びを一つした
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SOS

2019-11-18 16:48:06 | こころ
福井で……
いたたまれない事件が起きた

努力して辛抱して
ふっと辛くなって絶望的になり

どうしようもない重圧だけがあり
誰に頼ることもできずに

これまでの苦労も努力も認められないばかりか
取り返しのつかない事件を起こしてしまう

心に余裕をなくした場合
いい人でいなくていいからSOS


我が家のママになったばかりの末っ子
後1ヶ月ほどで夫のもとに帰る

変えるには実家から10時間以上もかかる
周りに友人知人もいない

持病のために体調が不安定の時もある
婿は夜勤のある交代勤務

育児が辛くなったらどうしよう😖💧と
帰ってからの育児に不安を漏らす

体調不良で
身の置き所のないような時も

授乳の手を抜くわけにはいかない
パパが居るときならいいけれど

もう無理って思ったら
緊急避難119か110番へ私もう無理と言いな!

そしたら乳児院なり病院なり
手配してくれるよ

長引くようなら
その先は又考えればいい

市町村の子育て支援センター
乳児院なり母子センター

緊急時にはやっぱり救急車か警察
なんかどっか探してくれるやろ


親が児の育児に無理と感じるのは
切羽詰まった証拠

老いた親の介護に無理と感じるのは
切羽詰まった証拠

無理のまま通してはならない
一時避難は不可欠

そうすれば
また気力が湧いてくる

そうすれば
明日へつなぐことが出来る

いい親で
いい妻で

いい子で
いい嫁でばかりでいられない

ホンマは私
こんな時だってあるよ

ホンマは私
そんなに頑張れないよ

ホンマは私だって
甘えたいって言いたいんだよ


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輝くこと

2019-11-17 17:30:13 | こころ
共存のなかで
人々は輝く

男も女も
老いも若きも

健康な人も
そうでない人も

障害のある人もない人も
介護の必要な人もそうでない人も

共に
敬い生きる
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犬のコロ

2019-11-17 08:02:50 | こころ
川原でいなくなったコロは
薄い生なり木綿色で

捨て犬か迷い犬で
学校の帰り道をついてきた

帰れ!と言ったのか
おいで!と言ったのか覚えていない

何せ時は
伊勢湾台風の頃だったろうか

父の背におぶられて
ランドセルを背負って蔵に避難した

あの台風は伊勢湾台風だった
それがコロと遊んだのが後か先か?

木に繋がれたコロは縄がほどけて
川原で石投げに夢中な私の足に

まとわりつくこともなく消えた
捨て犬と間違った勝手な飼い主から

新しい飼い主に連れていかれた?
数日前は私も連れ去った飼い主で

探していた本当の飼い主の元に戻った?
繋がれているのが嫌で逃亡した?

川原のすり鉢状の砂利採取池に落ちて
ずぶ濡れになった私と

藁縄にくくられたコロは
もう出逢うことはなかった

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2019-11-17 00:54:54 | こころ
LINE友達になった従兄弟から
青空に覆われた故郷の川の動画が

解説付きで送られてきた
これは桑部橋

西の方にカメラを回すとまぶしい
鈴鹿の山が見える

鎌ヶ岳御在所岳釈迦が岳竜ヶ岳藤原岳
今日はホントに気持ちがいい

それじゃあと動画は切れた
解説がないとそこは

故郷の川のどのあたりかもわからない
もう半世紀も川に降りたことはない

その昔
この川原を犬の散歩に訪れた

捨てられてた小さな子犬にコロと名付けた
スピッツに似た少し茶色の可愛い子

藁縄を首に巻き付け犬のリードにして
じゃりじゃりと河原を歩いた

河原の小さな木にコロを繋いで
ひとり川面に平たい石を探して投げる

3回4回5回と石は水を透かして
川面をはねて飛ぶ

広い川原はあちこちに砂利を採取した
大きなすり鉢状の穴が水を蓄えていた

気が付けばコロの姿がない
コロ!コロ!コロ!と川原を探し走る

アッ!
すり鉢のかどでバランスを崩した足が

ずるずると砂地の坂を滑り
池に落ちた背は届かない

たすけて~と叫び続けられるほど泳げない
すり鉢の坂に手をかけてよじ登ろうとしても

ズルズル
砂の壁は虚しく滑る

このままでは上がれない
手の指を槍にして力任せに腕を砂の壁に打った

左右の手を力の限り打ち込んだ
それはほんの一瞬の出来事だったかもしれない

何分もかかっていたのかもしれない
お陰さまで私は脱出することが出来た





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トリアージ

2019-11-15 01:37:02 | こころ
夏の終わり
娘が出産した

体にリスクがあり少し心配なとろろへ
逆子のため帝王切開による出産だった

里帰り出産で婿は立ち会わない予定だったが
病院の要望で婿が休暇を取り付き添った

出産に際して
いえ妊娠にしても

妊婦は色んなことを思う
まだ見ぬ子への夢や希望ばかりでなく

想定外ということのないほど
我が子に対面するまで心配はつきない

手術の最中看護師さんの励ましの声を聞き
意識の遠退いていくなかで

婿が命の選択を迫られたとしたら
どっちを選ぶのだろう

もし自分を選ぶようだったら
こどもを選んでほしいと思ったという

何かの時に
誰かを選ばなければならない場合

例えば
救命ボートにあと一人乗れるとしたら

子・親・夫・自分の誰を望む


あと一人
後が出ない

悩む
夫か親か自分か

お医者様や救急救命士さんは
多くの命を救うために

助ける順番があるらしいから
心配しなくてもいいよ

救命ボートに乗るのに我先を争ったら
助かる命も助からないことだってある

とっさの場合私は何を選ぶ
その時にならなければ

正直なところ
わからない














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グダグダと

2019-11-13 01:21:07 | こころ
寝てる間に
様々なことがリセットされるとしたら

起きてグダグダ考えを巡らせているより
寝るが勝ち

肌の艶を取り戻し
心の棘も落としてくれるなら

夜更かしなんかしてないで
寝るが勝ち

しかしこんなグダグダがないと
自分でいられなくなる

グダグダと心の棘を落とし
寝て心の艶を取り戻すことにしよう

お肌の艶は
心次第ということで・・・



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お城で・・・

2019-11-09 23:54:23 | こころ
紅葉渓庭園にあるお茶室
紅松庵でお茶をいただいた

お軸は開門落葉多
お菓子は初霜


小さな孫(生後2ヶ月)と娘と
3人でお昼のあと

お腹一杯で出かけて来た
心もお腹もざわざわしていても

お茶碗を前にすると落ち着く
ゆっくりお点前いただいて

紅葉渓庭園に出た
しかし紅葉はまだ少し先

お城は竹灯夜の準備らしく
あわただしい人々の動き

今日明日と皇居では
天皇陛下御即位のお祝いの祭典

世界情勢は不穏
しかし世界の人々が

令和の元号の意味する穏やかな心で
暮らせる日が訪れますように

人々が心合わせて暮らせますように
誰もがいさかいを望んではいないのだから






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日向ぼっこ

2019-11-06 01:44:23 | こころ
駐車場の隅で
菫が日向ぼっこ

春に咲いた紫の花が
しっかり実を結んで

固い蕾のような鞘が
種を閉じ込めて

やがてパッと
種を放出する

飛んだ種が
風に運ばれタイヤに運ばれ

わずかな隙間を見つけては
路地や

駐車場の隅で芽をふき
小さな菫の花となる

可憐でいて
たくましく強い花

私も菫と並んで
日向ぼっこ
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ここから

2019-11-03 01:42:06 | こころ
大きな楠の

両手を広げて抱えても足りない

太い幹の根元に立って

首を90度に折り曲げて仰いだ

陽の光を遮られ

まるで大きな日傘の下

ざわざわと暗緑の傘が揺れる

微かな隙間から差し込む光線は

それでもまぶしい



ごつごつと傷だらけの太い幹を

血管の浮き出た手で撫でる

楠の表皮にわが手の表皮は

一体となったようで違和感がない

楠の根元に腰を下ろし

楠にもたれ目を閉じる

ざわざわと暗緑の傘が揺れる

心が晴れたら立ち上がり

力強く踏み出そう


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