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『ノイズ』

2022年02月07日 | 映画(な行)
『ノイズ』
監督:廣木隆一
出演:藤原竜也,松山ケンイチ,神木隆之介,黒木華,伊藤歩,渡辺大知,酒向芳,迫田孝也,鶴田真由,
   波岡一喜,菜葉菜,諏訪太朗,大石吾朗,飯島莉央,寺島進,余貴美子,柄本明,永瀬正敏他
 
予告編が大嫌いでした。「誰がノイズかな」という女性の歌声が流れるところが。
普通に歌えばいいものを、どうしてこんなおどろおどろしげに歌うのか。
薄気味悪さを醸し出そうとしているのでしょうが、耳栓をしたくなるほど嫌でした。
 
が、映画自体は面白そうでしたからね。
まさか劇中であの歌が流れることはないだろうと、109シネマズ箕面にて。
はい、流れませんでした。ほっ(笑)。
 
原作は集英社発行の漫画雑誌『グランドジャンプ』に掲載された筒井哲也の同名コミック。
監督は廣木隆一で、私の中の作品イメージは瀬々敬久監督や三木孝浩監督と近い。
 
過疎に悩む孤島“猪狩島”。
救世主となりそうなのは、幼い頃からこの島に住む泉圭太(藤原竜也)。
幼なじみの妻・加奈(黒木華)と結婚して農園を営む圭太は、黒イチジクの栽培に成功。
おかげで特別交付金も貰えそうだと町長・庄司華江(余貴美子)はほくほく顔。
 
ある日、圭太とその親友・田辺純(松山ケンイチ)は、島をうろつく怪しげな男(渡辺大知)と揉み合いになり、
圭太が男を押しのけたところ、はずみで男は転倒、頭を強打して死亡する。
その場に居合わせた新米警官・守屋真一郎(神木隆之介)は、今こそ町を守らねばと思い、
つい「すべてなかったことにしよう」と言ってしまう。
 
その後、死んだ男の名前は小御坂睦雄で、かつて本土で幼女殺人事件を起こした犯人だと判明。
そんな奴はいなくなっても誰も探しに来ないだろうと、隠し通せると考えた圭太たちだったが、
県警から2人の刑事(永瀬正敏伊藤歩)がやってきて……。
 
以下、ネタバレ全開です。
 
嘘をつき通すのって大変ですね。
特に人と人との結びつきが強い小さな町では、住民が住民を守らざるを得ません。
ほぼ全員共犯者というのは『99.9 刑事専門弁護士 THE MOVIE』と同じ。
 
刑期は終わっているとはいえ、島にやってきたよそ者はおぞましい殺人犯。
死んだっていい奴だし、死んでいれば何も心配することはない。
だから刑事もこれ以上調べずにとっとと立ち去ってほしいのに、
永瀬正敏演じる刑事といったら、もうしつこいのなんのって(笑)。
 
彼以上に嫌な人間だったのは、余貴美子演じる町長。
小御坂が圭太に殺されたのを知ったうえで、圭太はこの町の星だから、
純なり真一郎なりが罪をすべてかぶればいいと言い切る非情さ。
 
ぼけが進んでいたはずが町の未来をいちばん考えていたかもしれない老人(柄本明)、
老人の息子(酒向芳)とその嫁(菜葉菜)、町長の側近(迫田孝也)、
特別交付金の交付が妥当かどうか調査に来る超軽いお役人(波岡一喜)、
町唯一の病院の医者(大石吾朗)などなど、実にバラエティ豊かなキャストです。
善人だったせいであっちゅうまに殺された諏訪太郎は気の毒すぎて唖然。
 
町を守るためにここまでしなければいけなかった真一郎の死が切なすぎる。
そして想像していたとおりの純の思いと、
それをわかっていたと言う圭太に呆然としました。
 
廣木監督作品の中では骨太と言ってよいのではないかと思える作品でした。
ちなみに私は藤原竜也より松山ケンイチのほうがタイプです(笑)。
藤原竜也の泣き顔は美しくない。そして後味もよろしくない。(^^;

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