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『子供はわかってあげない』

2021年08月29日 | 映画(か行)
『子供はわかってあげない』
監督:沖田修一
出演:上白石萌歌,細田佳央太,千葉雄大,古舘寛治,斉藤由貴,豊川悦司他
 
ほっんとに歳を取ったなぁと感じる今日この頃。いろいろと面倒くさい(笑)。
平日の終業後は、映画は観たくても遠くまで行くのは嫌。
109シネマズ箕面かエキスポシティにしか寄りたくないと思う。
一昨年頃までは仕事帰りに頻繁に足を伸ばしていた西宮はしんどすぎて無理。
伊丹ならまだマシだけど、それでもちょっと遠く感じる。
箕面とエキスポシティの次に近いのはイオンシネマ茨木かなぁ。
 
そんな茨木ですが、沖田修一監督の作品でなければ先延ばしにしたかも。
原作は田島列島の同名漫画なのだそうです。
沖田監督といえばまず思い出すのは『南極料理人』(2009)。
これは言わずもがなの南極観測隊のお話。
『滝を見にいく』(2014)は滝を見にいくツアーのおばちゃんたち。
『モリのいる場所』(2017)は老画家が主人公でした。
沖田作品でこんなにもバリバリ高校生が主人公の話は初めて観るかも。
 
最初、スクリーンを間違えたかと思いました。
だって上映開始から流れる映像は延々アニメのシーン。
退出して確認しようかと思い始めたとき、画面が切り替わってホッ。
 
高校2年生の朔田美波(上白石萌歌)はアニメオタクで、
特にお気に入りなのは“魔法左官少女バッファローKOTEKO”。
 
水泳部に所属する美波は、プールサイドから見上げた屋上に人影を発見。
その人影が手にしていたものが気になって駆け上がったところ、
そこにいたのは書道部の門司くん(細田佳央太)。
思いがけず門司くんも相当のKOTEKOファンだと判明して意気投合。
 
ある日、美波はKOTEKO関連の映像を見せてもらいに門司くん宅へ。
代々書道家だという門司くんの家の座敷に束で置かれていたお札(ふだ)は、
美波の実父が彼女の誕生日に突然送ってきたものと同じだった。何故だ。
 
そこで自分の家庭の事情を門司くんに明かすことになった美波。
母親(斉藤由貴)は美波の実父とずっと前に離婚して、
今の父親(古舘寛治)と再婚したこと。小学生の弟がいること。
絵に描いたような幸せな家族で、何の不満もないこと。
それだけに実父の話はなんとなく家族の前ではできないこと。
 
しかしやはり実父に会ってみたい気持ちはある。
門司くんは探偵だという彼の兄(千葉雄大)を紹介してくれて、
お札を頼りにさっそく捜査を開始したところ、
実父は藁谷友充(豊川悦司)、怪しげな新興宗教の教祖だと判明するのだが……。
 
うん、とってもよかったです。
もう本当に絵に描いたような幸せな家庭なんです。
だから、美波の両親が再婚だと知ったときは「えっ」。
美波を見ていると、まさか継父だとは思わなかったから。
 
再婚ならばどこかぎこちなさがあるとか思い込んでしまっているけれど、
そうではなくてむしろ幸せだからこそ言い出せないことがある。
表には出ない美波の葛藤に気づいた母親がそんな話をするシーンがとてもよかった。
 
両親が別れた理由は明らかにされません。
でも憎み合って別れたのではないこともわかる。
豊川悦司演じる実父は、自分の立場をちゃんと弁えています。
今の美波の幸せがいちばん。でも会いに来てくれて嬉しい。
口に出して言わずとも、そのトヨエツの表情になんとも可愛げがある。
 
門司くんの祖父役で出演している品川徹がサイコー。
確か台詞は「門司くんですけど?」だけ。爆笑です。
 
最後の屋上のシーンはちょっと笑いすぎだなぁと私は思うのですが、
そこまでは完璧に好み。
シュールな会話にクスッと笑う。夏の間に観たい作品。
人生、オーケー牧場。

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