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『碁盤斬り』

2024年06月08日 | 映画(か行)
『碁盤斬り』
監督:白石和彌
出演:草彅剛,清原果耶,中川大志,奥野瑛太,音尾琢真,市村正親,
   立川談慶,中村優子,斎藤工,小泉今日子,國村隼他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて。
 
シネコンで上映されるたいていの作品は封切り後おそくとも1週間以内に観ているのですが、
本作は2週間以上経過してからの鑑賞となってしまいました。
というのも、草彅くん主演なのに意外と上映回数が少ないのと、
終業後に観られるちょうどいい時間帯には上映がなかったせいで、どんどん後回しに。
そして、もしかすると睡魔に襲われるのではと懸念していたのですが、さすが白石和彌監督。
時代劇を撮ってもめちゃくちゃ面白いじゃあないか。
もっと早く観に行けばよかったと後悔したほどです。
 
古典落語の『柳田格之進』を基に加藤正人が脚本を執筆。
彼による書き下ろし小説『碁盤斬り 柳田格之進異聞』が今春出版されています。
 
進物番だった柳田格之進(草彅剛)は訳あって藩を追われ、妻の志乃(中村優子)も喪った浪人
今は江戸の貧乏長屋で娘のお絹(清原果耶)とふたり、静かに暮らしている。
生活は苦しくとも武士としての誇りは捨てず、清廉潔白を貫く格之進は、
碁盤に向かうときも、正々堂々と、嘘偽りない勝負をするのが信条。
 
あるとき、馴染みの碁会所に初めて姿を現した質屋の主人・萬屋源兵衛(國村隼)。
その場にいた面々は賭け碁で次々と源兵衛に負かされてゆく。
ふだん賭け碁はしない格之進だが、源兵衛の碁に思うところがあって勝負。
余裕綽々だった源兵衛が、自分が負けると悟ったとき、なんと格之進が投了。
源兵衛は格之進に興味を示す。
 
後日、質屋にやってきた武士にとんでもない難癖をつけられていた源兵衛。
たまたまそこを通りかかった格之進に助けられ、格之進の人柄を知る。
 
以降、源兵衛と格之進は顔を合わせては碁を打つように。
しかし親しくなっても格之進はなぜ浪人の身であるかを話そうとしない。
実は格之進が藩を追われたのは、柴田兵庫(斎藤工)の妬みに遭って貶められたからで……。
 
派手にチャンチャンバラバラとなるのはごく最後のほうだけ。
そこまでは格之進と源兵衛の碁を打つ姿を堪能することができます。
別にイケメンともいえないオッサンふたりが碁を打つ姿を見たところで何が、と思わなくもないものの、
ケチ兵衛と呼ばれていた源兵衛が、格之進とつきあうようになってから見事に変わる。
「正々堂々と嘘偽りない」、正直な商売をするようになったら、逆に儲かるようになったというのが可笑しい。
人間、この歳からでも変われるものなのだなぁ、素敵だなぁと思いました。
 
白石監督作品の常連である音尾琢真は、ちょっと許しがたい番頭ですが(笑)、
源兵衛の跡を継ぐことが決まっている弥吉役の中川大志が頼りなくも可愛いし、
囲碁になど興味がなかったくせして、お絹狙いで格之進に碁を習うことにしたくだりは笑う。
遊女たちを取り仕切る姐さん役の小泉今日子もカッコよく、終盤登場する市村正親も存在感たっぷり。
それと、チンピラを演じさせたら天下一品(笑)の奥野瑛太が素晴らしい侍を演じていました。意外。
 
正直に生きるということは大切なんだなぁと今更ながら思うのでした。
オススメ。

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