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『私がやりました』

2023年11月14日 | 映画(わ行)
『私がやりました』(原題:Mon Crime)
監督:フランソワ・オゾン
出演:ナディア・テレスキウィッツ,レベッカ・マルデール,イザベル・ユペール,
   ファブリス・ルキーニ,ダニー・ブーン,アンドレ・デュソリエ他
 
TOHOシネマズ西宮にて、前述の『映画 すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ』の次に。
 
フランソワ・オゾン監督がこんなコメディタッチの作品を撮るとは思いませんでした。
いつの時代設定かしばらく不明で、とにかく最近ではないなと思っていたら、
作品中に登場する映画館で上映されているのがビリー・ワイルダー監督の『ろくでなし』(1934)。
中盤以降になってから「1935年」と会話にはっきり出てきます。
 
売れない新人女優のマドレーヌは、親友でこれも新米弁護士のポーリーンと同居中。
お互い仕事がないものだから、家賃を滞納して大家から責め立てられている。
 
その日、有名プロデューサーのモンフェランから呼び出されたマドレーヌは、
新作映画のキャストに抜擢されたのだと喜ぶが、
モンフェランは端役をマドレーヌに与えただけで、愛人になるように強いる。
レイプされそうになって必死に逃げ出したマドレーヌは泣きながら帰宅。
 
翌日、刑事のブランがやってきて、モンフェランが銃で撃ち殺されたと告げる。
第一容疑者はアリバイなし、動機ありのマドレーヌだと。
予審判事のラビュセも彼女のことを犯人と決めつけ、マドレーヌはまずい立場に。
 
しかし、ラビュセに状況を詳しく明かしたところ、
もしもマドレーヌが犯人であれば正当防衛が認められるであろうこと、
情状酌量の余地ありで、無罪になる確率が高いと言われる。
 
そこでマドレーヌはポーリーンに相談し、「私が犯人」と嘘の告白をする。
ポーリーンが弁護人となってすべてのシナリオを整えて裁判に臨み、見事に勝利。
マドレーヌは一躍スターとなり、取材や出演のオファーが舞い込む。
彼女を弁護したポーリーンにも断れきれないほどの依頼が入る。
以前とは打って変わった優雅な生活を送るふたり。
 
ところがそんな折、彼女たちの前に真犯人を名乗る者が現れる。
彼女は無声映画時代の大女優オデット。
自分の犯罪を盗んでスターになったマドレーヌに嫉妬しており……。
 
面白いのですけれど、序盤はイライラ。
時代が時代なものだから、男尊女卑が激しすぎるのです。
女性に参政権は無し、裁判の陪審員は全員男性。検事裁判長の態度も差別的。
そもそも最初に彼女を犯人と決めつける刑事と予審判事も実に不愉快。
殺害に使われた銃なのかどうかの確認もないのは映画の中だけの話だと思いたいけど、
この時代だと本当にこの程度の捜査だったのかと思わなくもない。
 
フランスと日本の笑いの違いを強く感じる作品でもあります。
私が見て不愉快なシーンも、フランス人が見れば笑えるのかしら。
でもフランスのコメディで笑える作品もたくさんあったはず。
 
幾分イライラしましたが、マドレーヌ役のナディア・テレスキウィッツと
ポーリーン役のレベッカ・マルデールはどちらも美しくて見ていて楽しいし、
オデット役のイザベル・ユペールの怪演は怖気が走るほどで良かった。
男性の共感はまったく得られそうにない(笑)。

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