夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『うんこと死体の復権』

2024年09月16日 | 映画(あ行)
『うんこと死体の復権』
監督:関野吉晴
 
さほど興味はなかったのに『アイ・アム・ア・コメディアン』を観に行ったのは、
そのあとに第七藝術劇場で本作の上映があったからです。
 
映画であればどんなジャンルの作品も観たいとは思っていますが、
行き過ぎたう◯こネタゲロネタは大の苦手です。
スカトロマニアでもあるまいし、何が嬉しくて金払ってう◯こやゲロを観なあかんのか。
 
あ、タイトルに「うんこ」とあるのですから、わざわざ「う◯こ」と伏せ字にする必要はないですね(笑)。
うんこは観たくない。けれど本作は真面目にうんこを取り上げている。
ならばやっぱり観ておくかと意を決して十三まで出向いたのでした。
 
関野吉晴監督は“グレートジャーニー”で知られる冒険家
彼はアマゾンの奥地狩猟採集民と生活を共にし、自然とヒトとの関係について考えています。
そして彼が2015年から始めたのが“地球永住計画”というプロジェクト。
我々が地球で生きて行くためにはどうすればいいかを考えるというプロジェクトです。
 
このプロジェクトで関野監督が出会ったのが本作に登場する3人。
「糞土師」を名乗る伊沢正名氏は、1970年代から今まで野糞することにこだわり、
トイレで排便したのはわずかに13回という強者。
誰でも自由に野糞できるように山を買って「プープランド」と名付けています。
プープランドで野糞してはどんな虫がどのように分解されるのかをつぶさに調査。
 
あとの2人は、うんこから生き物と自然について考察する生態学者の高槻成紀氏と、
死体を喰らう生き物を観察して描く絵本作家の舘野鴻氏。
 
いつでも退席できるように、最後列の出口脇の席を取りました。
私にはやっぱりうんこを大画面で観るのは無理で、直視できず。
これは立派なうんこだとか、人のうんこを見て褒め称えるなんて、オエーッ(笑)。
何週間か経ち、完全に土と化したものを食べて爽やかだとか、うーむ。
 
とはいうものの、どんな虫が寄ってきたとか分析するのはつまらなくはありません。
直視はしがたいけれど、その研究に対する熱意には頭が下がる思い。
ただ、後半は特に編集がほどこされているとも思えない映像が続き、いささか退屈。
したがって眠気に誘われてしまうのでした。
 
マニアックなドキュメンタリー作品を観る機会に恵まれたのはよかった。
でもうんこを観る機会はもう要らない。
 
ちなみに、この記事を投稿するさいに作品名にハッシュタグを付けようとしたらはねられました。
「タグ名:うんこと死体の復権は、受け付けられません」ですって。
「うんこ」がダメなの? たぶんそうじゃなくて「死体」のほうかな。

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『アイアム・ア・コメディアン』

2024年09月16日 | 映画(あ行)
『アイアム・ア・コメディアン』
監督:日向史有
 
シアターセブンにて。
 
『東京クルド』(2021)の日向史有監督がお笑いコンビ“ウーマンラッシュアワー”の村本大輔に密着。
時間的に合ったので観に行きましたが、ウーマンラッシュアワーを好きなわけじゃなし、村本大輔のこともほぼ知らず。
だから、彼のネタが政治的すぎるとして炎上したことも知らず、
超売れっ子だったのにいつのまにかテレビに出演することがなくなっていたのも知りません。
こんなふうに何も知らない状態からですから、逆に興味深く観ることができました。
 
東日本大震災の被災者が仮設住宅で不自由な暮らしを続けているというのに、
世の中は東京オリンピックに向かって盛り上がり、新国立競技場に莫大な予算を割いている。
そんな話だとか、在日の人の話だとか、テレビではおよそタブー視されてきたであろうことを
村本は臆することなく漫才やトークのネタとして喋りつづける。
そりゃテレビでは使われなくなりますよねぇ。何を言うかわからない芸人なのですから。
 
彼の心意気は凄いと思うし、何も間違ったことは言ってない。
ただ、好きかと聞かれると、私には面白いとは思えません。
単純に、芸として面白いと思えなくて、笑えないのです。
 
大阪に生まれ、大阪で育ち、これまでの人生を大阪以外で過ごしたことがない私は、
やっぱり関西弁が好きで、関西弁の芸人が好き。
アメリカのスタンダップコメディの面白さはまったくわからないし、それを村本がやったところで同様。
 
彼がやりたいことは真っ当で、応援もしたい。
だけど面白くはないから笑えない。
彼の話で笑える人たちでどうぞ、と思ってしまうのでした。
でも本作を観たら、彼の今後の活動は気になると思います。

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