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みんなのライヴ・ブログ

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ラモウんの「プログレ放浪聴(ほうろうき) 100選」 その24

2015年07月01日 04時40分00秒 | 僕の私のプログレ放浪聴(ほうろうき)
Robert John Godfrey 「HALL OF HYPERION」(1973)
by Mr.Rapport

 ロックとクラシック(オーケストラ)を融合させた俗にいうクラシカル・ロックは「当たりはずれ」がつきものである。
 当たりの典型がニュー・トロルスの「コンチェルト・グロッソ」だとしたら、はずれの典型がジョン・ロードの「ジェミニ組曲」といったところだろう。
 いずれに共通するのは、ロックを主軸としてクラシックの要素をふんだんに取り入れていること。
 しかし、中にはごく稀に、クラシックを主軸としてロックの要素をふんだんに取り入れたアーティストもいる。
 それが今回紹介するRobert John Godfrey(ロバート・ジョン・ゴブトリー)のソロアルバム「HALL OF HYPERION」。
 ロバート・ジョン・ゴブトリーとは、イギリスのシンフォニックロックバンド THE ENID(エニド)のリーダーでキーボート奏者。ある意味、ジョン・ロードやキース・エマーソンと並んでクラシカル・ロックの先駆者――草分け的存在といってもいいだろう。

 このアルバムをどこで購入したかは失念したが、たぶん、雑誌『フールズ・メート』か何かのレビューを見て、新宿レコードか明大前のモダーン・ミュージックあたりだと思う。
 まず、レコード針を落とした第一印象は、「これって前衛クラシックじゃないの?」という失望感がこみあげてくる。しかし、間もなくして「買わなきゃよかった」という感情がだんだんと薄れ、壮麗でダイナミックなサウンドに飲み込まれていく。
 確かに基本はクラシック。ロバートのヴォーカルも力強さこそあるものの、ロックというよりもオペラに近い。
しかし、それが主軸であるがゆえに随所で顔を出すロック・エッセンス”が脳を心地よく刺激してくれる。
 しかも、壮大なオーケストラの正体がなんと、シンセサイザーとメロトロン群とくれば、ある意味、初期クリムゾンの発展形とも解釈できなくもない。

 好みが完全に分かれそうで、この手の音がダメな人からすれば試聴に値しないかもしれないが、一応、YOU-TUBE 貼り付けておきます。
 ロックバーで、大音量で聴くというよりも、その昔、中野駅北口にあったクラシック喫茶「クラシック」のような場所で、日曜日の昼下がりにでも聴きたい一枚。


https://www.youtube.com/watch?v=pSp8nJ21KyU
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ラモウんの「プログレ放浪聴(ほうろうき) 100選」 その23

2015年04月22日 04時42分00秒 | 僕の私のプログレ放浪聴(ほうろうき)
Emerson Lake & Palmer 「TARKUS」(1971)
by Mr.Rapport

ボクが高校時代、プログレ・リスナーは二派に分かれていた。
一つは、クリムゾン & フロイド派。
一つは、ELP & イエス派。
自分の場合、どちらかといえば前者。だから、ELPを真剣に聴くようになったのは、二十歳を過ぎたころだったと思う。それも、最初は友人から『恐浮フ頭脳改革』のLPを借りたのがきっかけだったと思う。
以来、ELPはひと通り聴いてきたわけだけど、一番よく聴いたのが、この「TARKUS」。

「TARKUS」といえば、唯一、全英1位を獲得した作品なんだけど、2012年のNHK大河ドラマ『平清盛』の劇中音楽としても、「Eruption」がオーケストラの演奏によって用いられていた。
松山ケンイチ扮する平清盛が瀬戸内海の海賊退治に乗り出すとき、平治の乱で源氏の棟梁・源義朝(玉木宏)と対決するシーンなど、人生の転機(飛躍・発展)となるシーンにバック・ミュージックとして流れていたのが印象的だった。

「じゃあ、オレの人生の転機に、この曲はふさわしいか?」と妻に尋ねたら、あっさりクビを振られNG。
「じゃあ、この曲はどうよ」「あの曲はどうよ」と10曲ほど、いろいろなジャンルのロックを聴かせてもNG。
(まあ、聴かせた曲が、DPの「スピード・キング」とか、レインボーの「キル・ザ・キング」みたいなアップテンモフ曲ばかりなんだけど……)。
で、結局、妻が「まあ、この曲かな……」といってクビを縦に振ってくれたのが、CCRの「悲しいうわさ」(I heard it Through The Grapevine)。おい、これって、飛躍・発展をイメージするか? オレの人生、この程度なの……?

話が外れちゃいましたね。そうそう、ELPの「TARKUS」です。
まあ、このアルバムに関しては、みなさんもよくご存知でしょうから、今更解説は不要でしょう。他のアルバムのほうがお気に入りという方もいらっしゃると思います。
そういうわけで、今回はこれでおしまい。
最後に、みなさんにとって、人生の飛躍・発展をイメージするロック・ナンバーは何ですか?

https://www.youtube.com/watch?v=CqajTLTYvlU
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ラモウんの「プログレ放浪聴(ほうろうき) 100選」 その22

2015年03月03日 05時43分00秒 | 僕の私のプログレ放浪聴(ほうろうき)
National Health 「NATIONAL HEALTH」
by Mr.Rapport

前回、前々回のこのコーナーで筆者はこうことを述べた。

ジャズ・ロックだが、プレイヤー(アーティスト)からすれば、二通りのアプローチの仕方があるように思える。
一つは、ジャム・セッションから生み出されるフリー・インプロヴィゼーションを楽曲らしくなるように発展・構築していく方法。
もう一つは、緻密に計算された楽曲をベースにインプロヴィゼーションを生み出していき、最終的に双方を合体させる方法。

前者の好例として、Soft Machine、後者の好例としてKarfagenを紹介したが、その中庸――良い意味でどっちつかずのバンドも存在する。
それが今回するイギリスのカンタベリー系・プログレ・ジャズ・ロックバンドのNational Health――ナショナル・ヘルス。あのビル・ブラッフォード、ニール・マーレイらが在籍したバンドといえばピンと来る人もいるのではないだろうか。

ところで、「きく」という言葉を漢字にすると、「聞く」と「聴く」の二つがある。
前者の場合、「自然に耳に入る」、あるいは「声や音を耳で感じ取り、情報として認知する」という意味合いで使われ、後者の場合、「心を落ち着け、真剣に耳に入れる」という意味合いで使われる。

プログレに限らず、ロックを聴くとき、たいていの人は後者の姿勢を保つと思うのだが、殊、このナショナル・ヘルスだけは、なぜだか「聴く」が「聞く」に転じてしまうのだ。
酒を飲みながら、本を読みながら、仕事の下準備をしながら、セックスをしながら(ウソ)……といったように、ついつい○○しながら聞いてしまうのである。

そのせいか、いまだに印象的なリフやメロディといったものも思い浮かんでこない。にもかかわらず、年に一度くらいの割合で無性に聴きたく(聞きたく)なるまことに不思議なアルバムなのである。
なぜだろう。それは二通りのアプローチの中庸に位置しながらも、カンタベリー特有のャbプセンスが少なからず関係しているからであろうか。


例によってYOU-TUBEを貼り付けておきましたので、興味のある方は試聴ください。
https://www.youtube.com/watch?v=iaijdZU77fo
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ラモウんの「プログレ放浪聴(ほうろうき) 100選」 その21

2015年01月10日 00時03分00秒 | 僕の私のプログレ放浪聴(ほうろうき)
Soft Machine 「SOFTS」
by Mr.Rapport

筆者は前回の「プログレ放浪聴 100選」で次のようなことを述べた。

ジャズ・ロックだが、プレイヤー(アーティスト)からすれば、二通りのアプローチの仕方があるように思える。
一つは、ジャム・セッションから生み出されるフリー・インプロヴィゼーションを楽曲らしくなるように発展・構築していく方法。
もう一つは、緻密に計算された楽曲をベースにインプロヴィゼーションを生み出していき、最終的に双方を合体させる方法。
前者には「荒さ」「がさつさ」という欠点が、後者には「わざとらしさ」「いやらしさ」という欠点がある。

後者の好例として、なおかつ「荒さ」「がさつさ」という欠点がないという点でKarfagenのアルバムを紹介したが、前者の好例、それも「荒さ」「がさつさ」という欠点がないという点においては、Soft Machine――ソフト・マシーンを筆頭に挙げたい。

ソフト・マシーンというと、サードアルバムが名盤と評されがちだが、個人的にあの実験音楽てんこ盛りのようなサウンドはどうも好きになれない。簡潔・明解で、スンナリと聴けるという点においては、このアルバムこそが正真正銘の名盤。「プログレ放浪聴 100選」にふさわしいといっていいだろう。

まず、全編にわたってジョン・エサリッジ(アラン・ホールズワースの後任)のギター主導というのがいい。
疾走感あふれるパートではジョン・マクラフリンやトミー・ボーリンのように弾きまくり、叙情的なパートではサンタナのようにメロウな旋律を奏でてくれる。
ドラムスもなかなか。手数が多く、タイトなドラミングはまるでビリー・コブハムのよう。

こういうと、マハビシュヌ・オーケストラを連想されるかもしれないが、さにあらず。似ているようで、どこかが違う。
それはフュージョン色が若干薄いぶん、ジャズ・ロック本来の奥深さと、動と静のコントラストがあまりにも鮮やかなことが関係しているのかもしれない。

その動と静だが、双方を露骨に対比させるという手法ではなく、まるで音のグラデーションのように自然体に移行していく手法をとっている。
このへんの妙には思わずうなってしまう。

さすが、ジャズ・ロックの老舗バンドである。
例によって、YOU-TUBEを貼り付けておきました。
興味のある人は試聴してみてください。

https://www.youtube.com/watch?v=kjxgXDPmg8A&list=RDkjxgXDPmg8A#t=2

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ラモウんの「プログレ放浪聴(ほうろうき) 100選」 その20

2014年12月16日 06時28分00秒 | 僕の私のプログレ放浪聴(ほうろうき)
Karfagen 「LOST SYMPHONY」(2011)
By Mr.Rapport

Karfagen――カルファゲンはウクライナのジャズ・ロック・バンド。

ジャズ・ロックというと、ナショナル・ヘルスやゴングなどにみられるように難解なイメージがつきものだが、このバンドにはそれがまったくない。
シンフォニック・ロック、民族音楽等のエッセンスが多分に含まれてはいるものの、ストレートに耳に入っていき、素直に純粋に明るい気持ちで聴けるのだ。
それは楽曲自体が素直で純粋で明るいからなのかもしれない。たとえが不的確かもしれないが、「松岡直也がプログレを演ったらこうなる」みたいな感じなのである。

そのジャズ・ロックだが、プレイヤー(アーティスト)からすれば、二通りのアプローチの仕方があるように思える。
一つは、ジャム・セッションから生み出されるフリー・インプロヴィゼーションを楽曲らしくなるように発展・構築していく方法。
もう一つは、緻密に計算された楽曲をベースにインプロヴィゼーションを生み出していき、最終的に双方を合体させる方法。
前者には「荒さ」「がさつさ」という欠点が、後者には「わざとらしさ」「いやらしさ」という欠点がある。

このバンドのこのアルバムは典型的な後者に該当するのだが、その「わざとらしさ」「いやらしさ」といったものがないのだ。実に自然体に、計算された楽曲&インプロヴィゼーションの溶けあった音が耳を刺激してくれる。

ウクライナにこんなバンドが存在したとは驚きである。これこそ「プログレ放浪聴(ほうろうき) 100選」にふさわしい21世紀の名盤である。
例によって、YOU-TUBEを貼り付けておきました。
興味のある方は試聴してください。

https://www.youtube.com/watch?v=23L8swsQPnA
https://www.youtube.com/watch?v=O2oPRcUTUuM
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