minaの官能世界

今までのことは、なかったことにして。これから考えていきます。

コンスタンティン

2005年05月05日 | 映画鑑賞
 1人の男が廃墟の床下から、ハーケンクロイツの紋章で包まれた「運命の槍」をみつけたところからこの物語は始まる。
「運命の槍」は、「悪魔」を「現世」に呼び出すためのアイテムのひとつなのだ。
そして、「悪魔」を呼び出すには、もうひとつ必要なものがあった。
「ルシファ」の息子「マモン」を宿すための「現世」と「地獄」を繋ぐことのできる肉体、つまり霊感の強い「女の肉体」が必要だった。
キアヌ・リーブスが演じる主人公の「コンスタンティン」は、通常人が見えない「悪魔」や「天使」が見える。その特異能力によって「悪魔」を祓う。彼は「エクソシスト(悪魔祓い)」なのだ。
彼の過去には、取り返しのつかない苦い経験があった。幼い頃から「通常人が見えないもの」が見えた彼は、それに耐え切れず自殺を図ったのだ。しかし、彼は蘇生してしまう。そのため、彼は魂の救済が受けられず、天国に行けない運命を背負って生きていた。

「コンスタンティン」と同様な特異能力を持つ「アンジェラ」を演じるのは、「ハナプトラ」主演の「レイチェル・ワイズ」である。自殺した双子の妹「イザベル」役も演じている。「アンジェラ」は、妹よりも強い「超能力」を持っていながら、何も見えないと「イザベル」に嘘を言い、「精神異常」に追い込んだ自らを責めている。そして、自殺してしまった妹の「魂の救済」を願うのだが、「教会」の厳格な規律に絶望する。キリスト教では、「自殺」は「大罪」なのだ。「自殺者」は、決して「天国」には行けない。
日本には「ハラキリ」の文化があり、残された者の絶望とか苦しみが無視され、「潔さ」の象徴として「自殺」は美化されがちである。日本人の自殺者が先進国でずば抜けて多いという不名誉な記録もこのような宗教観が大きく影響しているのかも知れない。
閑話休題。
「イザベル」よりも強い霊感を持つ「アンジェラ」は、「マモン」を宿す「女」として「彼ら」に選ばれてしまう。
「彼ら」とは「ハーフ・ブリード」と呼ばれる「本物でない悪魔や天使たち」のことである。「彼ら」しか「現世」には来れないという約束によって、「天国」「地獄」「現世」の3界は危ういバランスを保っていた。
その均衡を、見境を失くした小天使「ガブリエル」が「ルシファの息子」と組んで突き崩そうとする。

この「ガブリエル」を演じるのが、「ティルダ・スウィントン」であり、最初の登場場面から、いかにも「天使」、それも「少し壊れかけた堕天使」の雰囲気を見事に醸し出していて、凄いと思った。
何故、「コンスタンティン」が心から願う「魂の救済」を「ガブリエル」は頑なに拒むのか、その理由が、ストーリーの進展とともに次第に明らかになっていく。
この作品に関する限り、CASTはみな素晴らしく、見事にその役柄を演じていて、当然のことながら、コンスタンティン独特の世界は完璧なまでに描きあげられている。
「ガブリエル」の未熟な「天使の気紛れ」によって、翻弄される人間たち。いかにも善人面した(天使だから、当然か)彼女に、わたしは憤りを感じた。
なんだか今の社会を寓話化しているようで、ある意味では恐ろしかった。
「天使」は権力を象徴し、「悪魔」は非権力を象徴する。
権力とは体制側のことであって、非権力とはそうでない側を指すのだとすれば、話はもっと判り易い。体制に対して、庶民が要望を提出したり、疑問を投げかけると、ああでもない、こうでもないと言って、結局、何もしないか、回答しない、ひどい場合には、弾圧するというのはありがちなことではないのだろうか。
もっとも、NHK受信料の問題では、とうとう不払い運動が激化して、会長辞任にまでいってしまった。でも、あれって、昔から、なんでNHKに受信料を払わなくちゃいけないのって、ずっと言われていたはず。ここにきて、やっと一応の回答が出たようだが、遅きに失したの感がある。
ここで皮肉なのが、「悪魔の欲望」である。
「悪魔」は自らの利益のためにしか動かない。「コンスタンティン」を狙っていた「ルシファ」が、「コンスタンティン」を得られないとなるとどのような行動をとるのか。
これは、映画をみてのお楽しみということにしておこう。
わたしには、最近、よく耳にする「市場原理」や「市場が判断」とかいう言葉がまるで「悪魔の欲望」とおなじ意味のように思えてきた。「株主の利益」というものが「悪魔の欲望」とどれだけ違うのかを「ルシファ」に尋ねてみたい。

 「天使の気紛れ」と「悪魔の欲望」が交錯する物語。ゴシックホラー調ではあるが、決して、ひとつのジャンルに縛ることの出来ない奥行きの深い作品である。
 非常におもしろかった。
 minaお勧めの作品。
 ハートは最高の3つを差し上げたいと思います。


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3 コメント

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小天使 (猫姫)
2005-09-05 03:50:27
こんばんは!

どうして小天使なの?

何か意味がありそうで、聞きたい。

で、このガブリエルって、ハーフブリードじゃないの??

結構いろいろなブログ読んだケド、

このことに関して記述してあるところは少ないし、

その少ない中でも、ハーフブリードだって書いてる人は、

1人だけだったと思う。

天使も悪魔も、人間界に出現できないと言うことは、

このガブリエルは、単に名前が同じだけで、

ハーフブリードだって思うんだケド、、、

まぁ、、おもしろかったら、どうでも良いんだケド、、
返信する
ありがとうございます (まつさん)
2005-05-10 06:41:43
わざわざコメント頂き、ありがとうございました。

「権力」にNHK受信料話をからめた点、面白うございました。
返信する
2回目を観て (mina)
2005-05-09 05:56:35
最後の2分間を見逃して、悔しい想いをしてきたわたしですが、結局、再度映画館に足を運んで、最後まで観てきました。

長い長いエンドロールが終わって、問題の映像を観た時には、おおおっという感じでしたよ。

それで判ったのですが、ほとんどの人は、ここまで観ないということですね。

今回の場合、わたしも含めて5人くらいでした。

凄い優越感に浸ったということを告白します。

席を立った人に、

ねえ、もう帰っちゃうの?

もう少し辛抱すれば、いいことがあるんだよ

って、何度、声を掛けそうになったか判りません。



こんなわたしでも、天国に行けるでしょうか?

教えて、コンスタンティン。
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