愛知の史跡めぐり

愛知県の史跡を巡り、その記録を掲載します。

長比(たけくらべ)城(4) 滋賀県米原市

2021年03月28日 06時45分20秒 | 滋賀県
長比東城
この虎口を出て尾根上を、さらに東に進むと東城に出ます。東城の北西の土塁の上から北西方向を見ると、小谷城が見えました。逆に小谷城からも見えたと思われますので、中山道に敵が攻めてくれば、いち早く浅井長政に知らせることができたと思われます。

長比東城から見た小谷城

東城は、西城に比べて広いのですが、中に低木が茂っていて見通しがききにくい感じでした。

東城東端食い違い虎口

東城南東内桝形虎口(外から見る)

東城からは、眼下に柏原の街の様子、高速道路の様子がとてもよく見えました。あとで、地元の人にお伺いしましたら、遠く金華山も見えるとのことでした。まさに、長比城は、織田信長に対する守りの城として、造られたんだということがよく分かりました。

東城から見た柏原の街、高速道路の様子

長比城 おしまい
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長比(たけくらべ)城(3) 滋賀県米原市

2021年03月27日 06時34分38秒 | 滋賀県
長比城は東西2か所あり
道は尾根伝いに須川山砦から長比城の西の城に続いています。長比城は西に一つ、東に一つ曲輪があり、分かれています。便宜上西の城を長比西城、東の城を長比東城とします。


長比城概要図(作図高田徹氏「現地案内パンフレット」に加筆)

長比西城

長比西城竪堀(南西方向)

長比西城にたどりつくと、迎えてくれるのは竪堀です。城の南西方向に2本掘られていました。

長比西城竪堀(南方向)

その竪堀をたどっていくと、西城の虎口になります。はっきり遺っていました。

長比西城南西虎口(平入り虎口)

西城はこじんまりしていましたが、まわりをしっかり土塁で囲み、東の方の虎口は、食い違い虎口として守りを堅固にしていました。


西城の東側虎口(食い違い虎口)

つづく
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長比(たけくらべ)城(2) 滋賀県米原市

2021年03月26日 07時23分27秒 | 滋賀県
須川山砦とは
しばらく登っていくと、「須川山砦跡」の看板が見えます。ここに来るまで、知らないお城でした。現地にあったパンフレットでは、以下のように説明してありました。

現地案内パンフレット

「須川山砦の築城年代は不明ですが、長比城と立地が近いことや類似する城郭構造を持つことから同時期に築かれたのではないかと考えられます。」(「長比城・須川山砦の歴史」より)
「須川山砦は比較的小規模ですが、高い土塁を巡らせて、北側と南側に外枡形状の虎口を設けています。また北側の尾根には畝状竪堀群を備えています。」(「長比城・須川山砦のみどころ」より)



須川山砦概要図(作図高田徹氏「現地案内パンフレット」に加筆)

竪堀

須川山砦東に延びる竪堀


須川山砦北の畝状竪堀(かなり堀が浅くなっていて、図では3本ありますが、判断が難しかったです)

枡形虎口

須川山砦北の外枡形虎口(内側の入口)
この桝形も土塁が低くなっていました。虎口の外側に土塁が築かれていて、外枡形をさらに守る仕組みになっていました。


須川山砦南側の外枡形虎口(右側のかぎ状になっている部分が土塁で、左側にも土塁があります。間が通路になっています。土塁がかなり低くなっています)


須川山砦の石碑

須川山砦は、北に特に畝状竪堀や枡形虎口をつくり、守りを厳重にしていました。ということは、織田が入った後に、浅井(小谷山)に向けて造り直したのかも知れないと思いました。また、曲輪を囲む土塁は、結構高く周りを巡っていました。

つづく
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長比(たけくらべ)城(1) 滋賀県米原市

2021年03月25日 05時32分05秒 | 滋賀県

長比西城虎口

信長公記
信長公記の一節にあって、気になっていた城に登りました。

信長が越前攻めに向かっているところ、同盟関係にあった北近江の浅井長政が寝返ったという知らせを聞き、「是非に及ばず」と、命からがら京に逃げ帰ったおよそ2か月後、浅井長政は、信長の攻撃をおさえるため、東山道(中山道)が見下ろせる山に砦を築きます。それがたけくらべ城・かりやす城です。

 さる程に、浅井備前、越前衆を呼び越し、たけくらべ・かりやす、両所に要害を備へ候。信長公御調略を以て、堀・樋口御忠節仕るべき旨御請なり。
 六月十九日、信長公御馬を出だされ、堀・樋口謀叛の由承り、たけくらべ・かりやす、取る物も取り敢えず退散なり。たけくらべに一両日御逗留ばさる。(桑田忠親校注「信長公記」新人物往来社)


しかし、あっさりと城将堀・樋口が信長に寝返ってしまい、信長はそれを機に浅井を攻め、いわゆる姉川の戦いになりました。
かりやす城とは、上平寺城のことだそうです。上平寺城は、以前「若越城の会」で連れて行っていただきました。(上平寺城 滋賀県米原市

中学校校歌
長比(たけくらべ)で、気になっていた理由は、もう一つあって、「たけくらべ」ということばです。私の出身中学校の校歌の2番に「なにをささやく たけくらべ もえたつ夢も おおらかに たくましく・・・」という歌詞があります。この「たけくらべ」というのは、「丈競」と書きます。中学校から見える「丈競山」のことを意味しています。そういう意味でも気になっていた山城でした。

アクセス
さて、長比城は高速で行く時は「関ヶ原インターで」で降り、国道21号線を西に進み、「柏原東」交差点で右に折れて旧中山道に出ます。旧中山道を東に進むと、左側に鳥居が見え、「神明神社参道」の標識があります。その鳥居の東隣に細い道があり、脇に「長比城跡登り口」と書いた標識が建っています。この道を登っていくと、小さな駐車場(数台)があり、そこに車を停めて、城に登ることができます。
また、駐車場と登り口との間にパンフレットの入った箱があり、そこに「長比城、須川山砦トレッキングマップ」という資料が入っていました。

野瀬山登山

長比城登城口(看板は「野瀬山登山口」となっています)

登り始めると、左手に柏原の街並みが見えます。

柏原の街並み

つづく
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宇津山城(2) 静岡県湖西市

2021年03月18日 06時15分34秒 | 静岡県
正太寺墓地と案内掲示板
山の頂上付近に墓地があり、その西側には、土塁がありました。

墓地西側の土塁

この墓地の奥に宇津山城の案内掲示板がありました。左上の図は、正太寺に残っていた古図です。左下の図は、湖西市教育委員会の図で、「静岡の山城ベスト50を歩く」の加藤理文さんの図と同じ図です。

宇津山城案内掲示板

掲示板の裏は、早速土塁がありました。画像の、この土塁の右側は堀切ということでしたが、確認できませんでした。

案内掲示板の裏の土塁

石垣で造られた西側の城
ここから案内の矢印に沿って、北の方に進んで行きますと、左側に土塁のようなものがあり、内側に石垣が貼ってありました。外側には石垣はありませんでした。高さは、ちょうど人間の目の高さぐらいでした。この石垣付き土塁が曲輪の左側(西側)に延々と続いていました。先の宇津山城概要図のⅢ郭の西側はずっと石垣付き土塁でした。
「余語君のホームページ」では、「鉄砲陣地を意識した構造ではないだろうか。土塁の高さは、1.2mほどであり、狙撃手が立って塁上に銃を構えるのにちょうどよい高さとなっているのである。鉄砲狭間の代わり、といったところである。」という解釈をしていました。

Ⅲ郭西側の石垣付き土塁

この石垣付き土塁の突き当りは、図で言うⅢ郭になります。Ⅲ郭は土塁で囲まれており、この西側の城の中心のような存在だと思いました。(概要図では、南側の墓地の辺りをⅠ郭としています)

海まで続く石垣付き段曲輪
さらに驚いたのは、Ⅲ郭の周囲に腰曲輪がひな壇のように続いていたことです。概要図では、3段ほど記されていましたが、下まで降りてみると、全体で、6段曲輪が階段状に続いていました。その段のたての部分、海に向かっている部分は石垣が貼ってありました。6段全てでした。海まで続いている印象でした。

Ⅲ郭西側の段曲輪の石垣

同じくⅢ郭西側の段曲輪の石垣

Ⅲ郭が中心部分か
西側の鉄壁な守りに感動して、Ⅲ郭の東側に行くと、今度はなにやら外枡形の虎口らしいものに出くわしました。

外枡形虎口っぽい遺構(概要図の(4)にあたる部分が左側、Ⅱ郭にあたる部分が右側、間には木が並んで生えていました。)

Ⅲ郭は周りを土塁で囲まれていて、おそらく一番高いところだと思います。

Ⅲ郭を囲む土塁

東側の城登れず
宇津山城西側の城を堪能し、東側の城へと移動を開始しました。しかし、登り口が分からず、藪の中を1時間ほど彷徨ってしまい(おそらく城の南側斜面を彷徨っていたのだと思います)、時間のこともありましたので、東側の城の見学は、またの機会にすることにしました。残念

宇津山城 おしまい
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