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箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

とらえかたのガイダンス

2023年07月16日 07時31分00秒 | 教育・子育てあれこれ
学校にはたくさんの生徒がいます。

毎日何かが起こります。

友だちが自分に対して嬉しいことをしてくれることがたります。

でも、仲たがいすることもあります。

人間関係が織りなす活動には、トラブルやもめごとがつきものです。

もめごこという事実はあったにせよ、とらえ方一つでその結果は、当事者の生徒にとってプラスにもマイナスにもなります。


ものごとは善意でとらえるのと、悪意でとらえるのとでは、おのずからたどり着くところがちがってくるのです。

いまの状況をよりよくしていこうと思ってみれば、建設的な話し合いがきたいできます。

しかし、どうせダメだろうと思ってみれば、あら探しに終始します。

教師は、生徒が悪意でとらえているときには、「こういう考え方や見方はできないかな」と悪意を善意に転化させる働きかけをします。

「経験」のないことは人に語らない

2023年07月15日 13時36分00秒 | 教育・子育てあれこれ
わたしは教育について語るとき、それは自身の約40年にわたる教職経験がもとになっています。

人が何かを相手に話すときや文章で表すとき、その人自身の「経験」は、やはり大きい意味をもちます。

なぜなら経験したことは事実や現実に基づくからです。

そして経験したことは、聞く人にとって説得力があります。

「傾向」や「数値」「公式」や「平均」というひとくくりがとりこぼしてしまう個別具体的な「経験」の中にこそ、本当に普遍的なものがあると言っていいでしょう。

だから、人は対面した交流を通して他者の経験を聞き、共感しあい、ものごとを共有するのです。

ところが、おそらく今後chatGPTの利用は、飛躍的に増えるでしょう。

スマホの利用が爆発的に広がったように。

chatGPTは、聞き及ぶところでは人工知能を使い、世の中に溢れる情報から「傾向」「数値」「公式」「平均」に基づき生成された答えを導き出します。

それは個々人の経験に基づくものではなくなるのではないかと、わたしは考えています。

美術や音楽についても、今後は人工知能が作った作品が急増するのではないでしょうか。

過去のたくさんの人の作品のデータからできた作品が出回ることになるでしょう。

そうなると、芸術こそ作者の経験が生み出すものであったのに、経験は切り捨てられていくのではないかと懸念します。

今後も自分の経験に基づかないことは語らない。

これが、chatGPTとの付き合い方になるのではないかと思うのです。



うれしさ・喜びはなんでもない日常にある

2023年07月14日 05時20分00秒 | 教育・子育てあれこれ
令和5年度(2023年度)が4月から始まり、学校はもうすぐ夏休みに入ろうとしています。

この4月から3ヶ月ほどの間に、新型コロナウイルス感染防止で、さまざまな制限のあった学校に「日常の生活」が戻ってきました。

思えば、黙食、学校行事の中止、行き先変更など、今年3月に卒業した人は、3年間にわたって制限された学校生活を送った「フルコロナ学年」でした。

なんでもない毎日が大事であることを、児童生徒も教職員もあらためて実感しています。

マスクをつけていない人の笑顔を見ることができることに、教職員も児童生徒もうれしく感じています。

うれしさとか喜びは、なんでもない日常の中にあるのです。


学校教育にもDXが到来

2023年07月13日 07時11分00秒 | 教育・子育てあれこれ
今後、学校教育でもDX(Digital Transformation)に向かっていくでしょう


デジタル・トランスフォーメーションでは、授業の教材はクラウドに置かれるようになり、訂正するときや修正するのは、とても楽ににります。

教材のどこが教科書のどの部分に対応しているかというリンクが可能になります。

データをとるのも楽になります。
それをエビデンスにして、デジタル教材のどれがよく利用されているか、改善が必要なのはどこかもリアルタイムで明らかになります。

数年で一挙にDX化が加速するかもしれません。

学校、教科書会社、教材会社に大きな波が押し寄せます。






工科高校が増えている

2023年07月12日 06時39分00秒 | 教育・子育てあれこれ
私が中学校の学級担任をしていた頃、3年生の進路指導をしていたときには、普通科ではなく工業科や工業高校へ進学する生徒が一定数いました。

しかし、いま中学生で工業科や工業高校を志願する生徒はほとんどいなくなっています。

大阪府の場合、入試ではほとんどが定員割れを起こしています。

それにあわせて、京阪神の場合、そもそも工業高校という名称の学校はほとんどはくなってきています。

多くは、工業高校から工科高校に名称変更しています。

高度IT社会に対応できるよう、教育内容をIT工学や環境科学、ロボティクス、食品サイエンス
など新しい学科を設置します。

つまり、工学と科学を融合させた学習内容を提供する学校に変化してきているのが、全国的な傾向です。

ただし、中小企業が多い大阪府の場合、ものづくりの優れた技術を継承して、発展させていくという地域独自の課題もあります。

ものづくりと先端科学技術の両面を充足する工科高校の課題があります。





周りに迷惑をかけるのが子どもなのに・・・

2023年07月11日 07時30分00秒 | 教育・子育てあれこれ


少子化が進む日本の社会ですが、少子化は社会の活力が衰えていくとか、将来の社会の担い手が減りたいへんになる、働き手もいなくなる。

このように考えることが多く、少子化対策に待ったなしという現状です。

それらの考え方は、ともすれば大人側からの見方でないかと思います。

少し別の角度から見てみます。

子どもの数が少なくなるということは、子どもを育てない大人が多くなり、子どもへの共感や子育てへの理解が薄くなるという懸念です。

子どもを権利の主体として、国連は子どもの権利条約を制定し、すでに久しくなっています。

日本もこの条約に批准しています。

ところが、今の日本社会では子どもの権利が十分には認識され、保障されているとは言いがたい状況にあります。

子どもの虐待、育児放棄、全国一斉休校など、子どものことを、子どもの思いや願い、意見を聞くことなく、大人が一方的に子どものことを決める習慣はふつうのようにあります。

私たちのことを、私たちのいないところで、決めないで」というキャッチコピーは、子どもの権利に敏感になり、いっしょに考えてほしいという、子ども発の国際的な基準です。

おとなは、子どもは未熟だから、おとなかいろいろとよかれと思うことで配慮することが必要だ。

そういう考え方もあるでしょう。

韓国では、「No Kids Zone」と呼ばれる空間が至る所にあります。

子どもの入店を拒否する表示がたくさんあります。

それは、騒いだり、走り回って、「子どもは大人に迷惑をかけるもの」という考え方が根本にあります。

日本では、子ども連れは入店拒否という施設は韓国ほどは多くはないです。

しかし、韓国でも、日本でも、おとなは誰だって子どもの時代があったのです。

私たちは、いつの時代にも、未熟な存在である自分が、まわりに迷惑をかけながら育ってきたことをすぐに忘れてしまうのです。









一斉授業と個別のまなび

2023年07月10日 06時46分00秒 | 教育・子育てあれこれ
新型コロナウイルス感染防止対策が後押しする形で、国が目指していた学校での児童生徒一人1台タブレットの整備が飛躍的に進み、現在に至っています。

それとともに、家庭での学習でも使用でき、学習の個別化が進んでいます。

その流れととともに、今までの授業での一斉学習を否定する意見がもちだされます。

みんなが同じ学習内容を同じペースで学習し、同質性を求めるのは、もうやめにしたらどうかという見解もあります。

ヨーロッパ諸国をはじめとして、世界の国々は同じ教室でそれぞれの子が個別の学びができるしくみに変わってきたいる。

日本だけが、みんなが同じ教室で、同じ教材で、同じ内容をやっていることが時代錯誤的に語られることもあります。

しかし、わたしは実際の授業を見ていて思うのは、個別の学びも取り入れながら、一斉授業のよさをなくしてはならないということです。 

大勢いるからこそ、学びあいができるのであり、一つの学習課題について共に考えた行く中で、思いもよらなかった子どものつぶやきが発言され、学びが深まっていく。

そういう「化学変化」は、友だちといっしょに学ぶからこそ起こるのであり、ダイナミックな人間関係は個別学習にはありません。

そして、プロの教師ならわかっているのですが、授業の中で集団づくりができると考えているのです。

学校での集団づくりは、なにも学校行事の中で行うものではないのです。

だから、個別の学びと一斉授業を対局に捉えるのではなく、相互補完しあうものとして、日本では両方を実践するべきです。




「できない」は「やりたくない」

2023年07月09日 09時05分00秒 | 教育・子育てあれこれ
仕事をする上で、多くの人は新しい仕事にとりかからなければならないことがあります。

たとえば役所の仕事は、自分の部署、課、室などで、担当が起案し、それを課長補佐に上げ承認されれば、課長に送られて課長が承認します。

そのしくみを「決裁」といい、多くは予算が動くことになります。

旧くからは、それぞれの人が印を押すことで進んできました。

しかし、そのためには印刷した書類には大量の紙を使い、それをファイルに保存していくたいへんさや今の印鑑レス時代にそぐわないということで、紙決裁から電子決裁に移行しています。

パソコン上で処理でき、紙で保管しなくて済みます。

これは行政の例ですが、民間ではこれからはChatGPTの利用が増え、さまざまな分野で新しい仕事の仕方が求められるようになるでしょう。

人は誰でも慣れ親しんだ仕事の仕方をつづけることができるなら、とまどいをもたずにすみます。

難しくややこしそう。自分にはできない

このように自分にできないと考えている間は、人間というものは、ほんとうは自分がやりたくないと心に決めているのです。

仕事の効率化をはかるためにも、新しい仕事にはチャレンジしていくべきだと思います。

答えはいつも自分のなかにある

2023年07月08日 08時43分00秒 | 教育・子育てあれこれ

私はよく教職経験の少ない若い教員から、教育実践にかかわる質問を受けることがあります。

①学校では、教員はいつ頃からパソコンを仕事に使うようになったのですか?

②学校の教員が地域のイベントに、なぜ参加した方がいいのですか?

①に対する答え
1990年代の中頃からです。1998年にはWindows98が売り出され、それから一挙に使う教員が増えました。

この答え方は事実は事実として伝えています。

②に対する答え
休みの日に、学級担任をしているクラスの生徒が、休日に地域のイベントに出演しているのを見に行く。

そうすると、翌日の月曜日、その生徒と会話ができます。生徒から「先生、昨日は見に来てくれてありがとう」。担任が「学校だけでなく、地域でもがんばっているんだね」。


わたしは、それで生徒との人間関係を深めてきました。

しかし、それは誰にでも勧められることとは限りません。

休日に出勤しています。
教師と生徒との関係は、学校の中で築き、深めるものである。

そのような考えもあります。

ですから、言えるのは次のことです。

人の話に答えを求めてはいけない。答えはいつも自分の中にある。

要は、わたしの経験を聴き、アドバイスはアドバイスとして受けたとしても、自分で考え、自分がどうするかの答えは、自分で見つけなければならないということなのです

真夏に向かう頃

2023年07月07日 06時19分00秒 | 教育・子育てあれこれ
真夏日がここ数日続いていますが、今の時期を「小暑」と24気節では呼びます。

7月初旬から、学校が夏休みに入る頃までです。

小さいとは書きますが、日ごとに暑くなってきます。

この頃に梅雨明けになることも多いです。

初蝉が鳴きます。

そして季節は本格的な真夏に向かっていきます。

わたしの若い頃は、真夏に小麦色に日焼けするのがかっこいいと言われ、若い人は信じてきました。

焼くために、サンオイルを塗ったりしました。

肌に「LOVE」とテープを貼ってビーチに寝転ぶと、日に焼けた肌に白いLOVEが浮き上がりました。

よくあんなことをしたと今では思います。

それから、肌を焼く、紫外線に当たるのは、ぜったいNo goodになりました。

わずかな間に180度価値観が変わることがあるのだと、あらためて思います。

組織で目的意識をもつ

2023年07月06日 07時01分00秒 | 教育・子育てあれこれ

組織の中で、スタッフ全員が目標に向かう意気込みや意志をもっていれば、チャンスはまわってきます。

そのことを、もとプロサッカー選手の中田英寿さんが次のことはでまとめています。

「攻撃をシュートで必ず終えれば、間違いなくチャンスはやってくる」

攻撃をシュートで終えるためには、チーム全体がゴールに向かう意志を常にもっているからです。

サッカーチームでも、ほかの組織でも、目的意識の統一があれば勝機を引き寄せることができるのです。

プロセス重視の極意とは

2023年07月04日 09時36分00秒 | 教育・子育てあれこれ
「結果」と「過程」(プロセス)をどう捉えるかは大切です。

学校でも、生徒が部活動で思い通りの戦績が残せなかったとき、たとえば大会での優勝ができなかったとき、おとなは努力したその過程こそが大事であると説諭します。

場合によっては、がっかりしている生徒を慰めるときにも使います。

「優勝はできなかったけど、みなさんが努力した過程は残っているから」。

それはその通りです。優勝するには、運も味方しないとできないこともあります。



その一方で、運がよく、たまたま結果を出せるときもあります。

しかし、きちんとした過程(プロセス)を経ないで出た結果は、たとえそれがいいことであったとしても、本物ではありません。

本物になりたいのなら、てっとり早く結果を出そうとしないことです。

努力というプロセスを重ねずに手に入れた結果は、すぐに崩れてしまいます。

それがほんとうの「プロセス重視」というものです。

果てしない自分さがし

2023年07月03日 14時57分00秒 | 教育・子育てあれこれ
日本ではたぶん1990年代の途中頃からだったと思いますが、「自分さがし」「自分らしく」という言葉がよく使われるようになりました。

自分はもともと特別なOnly oneの存在であり、人生は自分さがしの旅であるとも言われてきました。

その考えとともに、SMAPの「世界に一つだけの花」が、多くの人びとから圧倒的な支持を得たのでした。

この時代の変わり目は、おそらく昭和時代の「みんなで手をとりあってがんばっていこう」という集団に価値を置く考え方から、個を尊重する価値観に変化してきた頃と合致しています。

かと言って、個を尊重するから他者との協力や協調は否定するという流れではなかったのです。

そして、個を自立させながら、お互いにつながり、共生していくという価値観が現在の考え方や行動規範の価値観となっています。

しかし、わたしはあまり「自分さがし」や「自分らしさ」にこだわらなくてもいいのではないかと考えています。

周りに埋没せず、自分を浮き立たせようとすれば、自分らしさは必然的に他者との比較をすることになるからです。

その時点で、もう本来の自分らしさから離れてしまっているのです。

何をしていたら自分なのか、何をしていたら自分ではないのか。

そのように考え出すときりがないのです。

いまの自分とはちがう自分がどこかにあるはず。

誰も知らない本当の自分がどこかに眠っているので、それを引き出せば悩みが吹き飛ぶ。

もうそういう30年来の考えは、そろそろやめにしたほうがいいと思います。

自分さがしや自分らしさが、必然的に他者との比較を生むのであれば、さがすべきは自分がおもしろいとか楽しいとか気持ちが良いと感じることができる人間関係や環境です。

自分らしさとは、周りの世界とかかわるときに現れる変化する自分です。

競り合うことに意味を見いださない

2023年07月02日 07時59分00秒 | 教育・子育てあれこれ
I多くの児童生徒が地域の公立小中学校に通学する京阪神地区にあって、中学生が小学生といちばん違う点は、中学3年で進路選択を求められることです。

もちろん仲間づくりも進んできて、友だちを大切にすることの大切さも学んでくるのですが、その一方で、受験を目前に控えると、自分が他者と競合している現実に直面するのです。

そして、さらにその先を見通すと、世の中は多くの人・人生がぶつかり合い、競り合いながら共存していることに気がつきます。

ただし、かりに競り合いに勝っても、自分が目標にしたゴールやキャリア形成に直結するとは限らないのです。

それよりも、自分の歩んできた道が自分の望む生き方に沿っているのかが問題です。

人は何をしたいかよりも、有利か不利かで判断してしまいがちです。

でも、人との競争や競争に勝つことなど、たいした意味はないことを悟るのです。

どんな志をもち、何を生きがいにするのか。

このことに気がつくのは、かなり後年になってからなのかもしれません。