箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

ふるさとで子育てがしたい

2022年03月23日 07時17分00秒 | 教育・子育てあれこれ

自治体や国が教育や子育てにお金を使うことは、日本社会の将来の発展の先行投資的な側面があると思います。

ところが、日本は他のOECD国の中では、この分野にお金を使っていません。

学校教育や家庭教育に十分なサポートがあってこそ、学校や家庭は安心して子どもを育てることができます。

現状では、「子どもの課題は学校や家庭が引き受け自己完結させなさい」と言われているようで、その結果、いじめや虐待などの問題で保護者や学校の教員はあたふたすることもあるのではないでしょうか。

家庭に関して言えば、かつての日本社会では三世代同居家庭や地域が子どもを育む役割を担って、なんとか回っていました。

私自身も祖父・祖母のもとで大きくなりましたし、近所の人は「いま帰りか?」とか気軽に声をかけてくれました。ときには、いたずらでため池の樋を抜いて水が溝をあふれ出し流れ、池の管理のおっちゃんにこっぴどく怒られ、反省したことを思い出します。

しかし、その後日本社会では核家族化は当たり前になり、おじいちゃん・おばあちゃんや近所のおっちゃん・おばちゃんにかわり、国や自治体が子どもや親をサポートするべきなのが今という時代です。

まずは、近いところで言えば、自治体こそがこの認識に立つことが必要不可欠です。

では、自治体で子育てに力を入れているまちはどこでしょうか。

その一つは、兵庫県の明石(あかし)市です。

子ども政策を担当する職員の数がとにかく多いのです。

弁護士資格や福祉司資格をもつ専門職員が任用され、契約書作成がスピーディに行われますし、法的なパートを担うので、政策のしくみをゼロから作ることができます。

そして、一般行政職職員と協力して、子ども政策を進めています。

とくに「5つの無料化政策」は、子どもを育てる家庭に手厚く実施されています。

①18才以下は医療費無料
②中学生の給食費無料
③第2子以降も保育費無料
④遊戯施設利用は小学生以下(同伴保護者1名)無料
⑤1才以下はおむつが配達可能

いずれも、保護者の所得制限なし、かつ自己負担なしとなっています。


子どもを産みたいが、今の時代、成人までにかかる教育費・諸費用は莫大であり、出産をためらう人もいるのが日本の社会ですが、明石市の場合は出生率が伸びています。

また、ずっと人口が増え続けています。

子育てがしやすいまちは、子育てが終了して大学進学や就職で転出したとしても、また戻ってきて「わたしのふるさと・明石市で子育てをしたい」という流れをつくるのではないでしょうか。

「子育てにやさしいまち」を標榜する自治体の参考になる明石市の取り組みです。



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