最近の若い人のなかには、車をぜひ持ちたいという人が減っています。
私の大学時代には、多くの人が車の免許を取るとなんとか車を所有したいと熱望しました。
当時は第二次オイルショックの頃で、「リッター○km」という燃費のいい車を各メーカーがしのぎを削って開発しました。
その一方で、ターボ等を搭載したパワフルなスポーティタイプの車にも人気が集まり、日産のDOHCエンジンやトヨタのツインカムエンジンなどに若い人は惹かれたものでした。
ところが30年以上たった今では、「車は持ちません。必要なときにはカーシェアで借りますから」という若い人はけっして少なくありません。
つまり、かつて私たちは車という「モノ」を買い、所有することで、遠くまでドライブしたり、移動するという機能、つまり「コト」を手に入れていたのでした。
でも、今では、買って所有するのではなく、シェア(共有)することで、コトを手に入れることができるようになったのです。
このことは、ICTについても同様で、アカウントをもてば、端末(ハード)はなくても、どの端末を利用しても、学習や仕事ができるという社会になってきているのです。
つまり、Society 5.0といえば難しいですが、要するにモノからコトへ価値が変化してきている社会なのです。
児童生徒は、いま学校で一人1台の端末を与えられていますが、かりに手元にある端末がかわっても、クラウド上にデータがあります。
だから、どの端末からでも必要な機能が使えて、コトがたりるのです。
このことを小学生のうちから経験させ、データをあやつることをねらったのが国の進める「GIGAスクール構想」です。
「GIGAスクール構想」といえば、すぐに「一人1台の端末を揃える』と思いがちですが、そうではなく、「アカウントが主であり、端末は従である」という発想の転換が求められるということです。
こんな学習環境の学校で学んだ子どもたちは、おそらく社会に出たときに、コトを駆使して、仕事をするようになるでしょう。
もちろん個人所有のタブレットやPCがあればあるでこしたことはないでしょうが、なくても生きていけますし、仕事ができるのです。
私が教員時代には、パソコンは仕事で必要になってきました。でも、当時は教職員一人ひとりにパソコンを与えるような自治体の予算はなく、教員は自費でパソコンを購入して仕事に使いました。
隔世の感がある、いまどきの社会の変化です。ここ30年ほどで人びとの仕事環境は大きく変わってきました。
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