言語空間+備忘録

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司法修習生の給費制問題の解決策

2011-10-29 | 日記
 私は、司法修習生の給費制を維持することには反対です。なぜ、国が「民間業者」である弁護士を、国費で、しかも給与まで支払って養成しなければならないのか、と疑問を感じるからです。

 司法修習生のなかには、裁判官や検察官(すなわち公務員)になる人々もいますが、圧倒的大多数は弁護士になります。したがって、
「すべての」司法修習生に、すなわち司法修習生の「全員」に、給与を支給すべきだと主張する給費制維持論には、問題がある
と思います。実際、給費制維持の根拠とされるものを(私なりに)検討してみましたが、どれもこれも、説得力に欠けると思います。



 しかし、給費制維持論の根拠には、「多少の」合理性があることも否定しきれません。「すべての」司法修習生に対し、給与を支給すべきだという根拠としては説得力に欠けるものの、「多少は」給与を支給してもよいのではないか、とも考えられます。

 すなわち、「すべての」司法修習生に対し、「2、3万円程度は」支給してもよい、とも考えられるということです。



 ここで、「月に2、3万円程度」の支給では、支給の意味がないのではないか、とも考えられます。

 しかし、司法修習生のなかには、裁判官や検察官(すなわち公務員)になる人々もいます。もともと、給費支給に問題があるのは、「司法修習生のうち、弁護士になる人々」に対する支給です。

 そこで、この問題(司法修習生の給費制問題)の解決策として、次の方法を提案します。



★私の提案
 「司法修習生のうち、裁判官または検察官になる人々の割合」と、「弁護士になる人々の割合」に応じ、国と弁護士会とが、費用(給与)を分担して負担する


 この方法は、国の負担についても、弁護士会の負担についても、それぞれ合理的な理由があり、解決策として妥当だと思います。



 私の提案に対しては、(弁護士になったあとで)競争相手になる可能性のある司法修習生に、なぜ、弁護士は給与を支給しなければならないのか、といった批判がなされましたが、

 弁護士になる司法修習生にも「国が」給与を支給する場合には、弁護士は、国費で養成され、しかも国から給与までもらって勉強させてもらった新人(元司法修習生)を採用できる、ということになります。これは、他の民間事業者が新入社員に対し、「自己の負担で」養成費用を支払い、かつ、給与まで支払っていることに比べ、弁護士に有利である、といえます。

 これでは、他の民間事業者と、(自営業者である)弁護士とのバランスがとれません。



 また、私の提案に対しては、ライバルの法律事務所に就職するかもしれない司法修習生の給与を、なぜ、(既存の)弁護士は負担しなければならないのか、といった批判もなされましたが、

 逆に、ライバルの法律事務所の負担で養成された弁護士を、自分の法律事務所で採用できる、ということを忘れてはならないと思います。

 つまり、私の提案は、「弁護士全体」(弁護士会レベル)でみて、バランスがとれていると思います。



 すくなくとも司法修習生にとっては、「全額が」国から支給されようが、「一部が」国から「一部が」弁護士会から支給されようが、どちらであっても構わないはずです。もちろん自分が修習生である間は給与がほしいが、自分が弁護士になった暁(あかつき)には給与を負担したくない、といった主張はあり得ますが、それは論外です。

 また、弁護士(会)にとっては、新たな費用負担が発生することになりますが、他の民間事業者とのバランスを考えて、「負担してもよい」という判断も、あってしかるべきだと思います。「お金持ちしか法律家になれなくなる」と主張し、給費制維持論を展開なさっておられる弁護士の先生方には、ぜひとも、「お金持ちしか法律家になれなくなる」ことを避けるために、「自分達も一部を負担しよう」というご判断をしていただきたいと思います。すくなくとも、私の提案の是非について、検討はすべきだと思います。

 「国に」給与を支給しろ、と主張はするが、「(自分達)弁護士は」負担しない、という態度は、「おかしい」と思います。



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