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言語空間+備忘録

メモ (備忘録) をつけながら、私なりの言論を形成すること (言語空間) を目指しています。

あまりに執拗な対中謝罪は「おかしい」

2011-01-26 | 日記
櫻井よしこ 『異形の大国 中国』 ( p.121 )

『マオ 誰も知らなかった毛沢東』を読めば、中国共産党と中国のおぞましさが一段と明確に見えてくる。
 著者のユン・チアン氏は15年前『ワイルド・スワン』で文化大革命の背後にあった毛沢東、周恩来らの冷酷な権力闘争を丁寧に描いた。日本の中国専門家や『朝日新聞』を初めとする大手メディアが賛美した文革が、実は血塗られた内戦にすぎなかったことを彼女は実証した。
『マオ』が歴史の一コマである文革の検証にとどまらず、毛沢東について詳述した。彼の生い立ちに始まり、貧者や農民への無関心振り、中国共産党の設立にかかわることなく、実は遅れて入党していた可能性、にもかかわらず、毛はなぜ力をつけたのか、彼は如何にして国民党、日本、ソ連を利用し操ったかをこれでもかこれでもかというふうに事実を重ね、描いてみせた。
 毛は7000万人以上を死に追いやったとされるが、このおぞましい人物は農民らの「大量死に実用的な利点まで見出し」「死はけっこうなことだ。土地が肥える」(1958年12月9日の発言)と語った。その結果「農民は死人を埋葬した上に作物を植えるよう命じられた。これは農民に大きな精神的苦痛をもたらした」(下巻191ページ)というのだ。

(中略)

 同書のなかで日本は必ずしも好意的に扱われているわけではない。にもかかわらず、同書は日本と日本人にとって、一方的に日本を加害者と断じた戦後歴史観を根底から変える貴重な一冊ともなる。その場合、注目すべき論点は二つあると考えてよいだろう。
 第一点は1928年6月の張作霖爆殺事件である。日本軍の犯行とされてきた同事件は、実はロシアが日本軍の犯行に見せかけて行った謀略作戦だというのだ。第二点は1937年7月の盧溝橋事件以後の動きである。中国側がおこした盧溝橋事件が日本政府の「事件不拡大」方針及び蔣介石国民党政権の慎重姿勢にもかかわらず、短期間に日中全面戦争に拡大した背景に、中国共産党のスパイの暗躍があったというのである。
 こうした点は、或いは、俄かには信じ難いだろう。しかし、一連の指摘が正しいとすれば、日中戦争の歴史は書き直さなければならない。またこの驚くべき指摘が、日本に必ずしも好意的ではないチアン氏によってなされたことにも、注目せざるを得ない。
『マオ』の中で氏は、日本を悪者とするステレオタイプの視点から脱けきれていない。たとえば南京事件について、「30万人虐殺」説が検証済みの事実であるかのような前提で書いている。その冷たい視点で日本を見る著者が、十余年間の調査と取材の果てに得た結論であるからこそ、張作霖爆殺はロシアの仕業であり、日中全面戦争は日本軍の暴走よりも中国共産党の策略だったとの指摘は、より重要な意味を持つのである。
 詳細は『マオ』を読んで下さればいいと思うが、同書上巻19章は特に圧巻である。日中を全面戦争に誘い込み、追い込むための中国共産党のスパイ、張治中の動きが時系列で具体的に描かれている。

(中略)

 張こそが盧溝橋事件を利用して上海事変をおこし、日中対立を激化させ、全面戦争に追いやった。チアン氏は彼を「史上最も重要な働きをしたスパイ」「事実上たった一人で歴史の方向を変えた可能性が大きい」と形容する。
 一方、毛は日本軍進撃を大歓迎した。「抗日戦争は日本の力を利用して蔣介石を滅ぼすチャンスだった」からだ。この点についてチアン氏は、訪中し過去を謝罪した日本の政治家らへの毛のこんな言葉を引用している。
「いや、日本軍閥にむしろ感謝したいくらいですよ」「(日本軍が中国を広く占領してくれなかったら、国民党に勝てないために)われわれは現在もまだ山の中にいたでしょう」


 『マオ 誰も知らなかった毛沢東』には、毛沢東について、詳しく書かれている。同書の著者(ユン・チアン)は日本に批判的であるが、その著者が「張作霖爆殺はロシアの仕業であり、日中全面戦争は日本軍の暴走よりも中国共産党の策略だった」と結論している。「日本と日本人にとって、一方的に日本を加害者と断じた戦後歴史観を根底から変える貴重な一冊である」、と書かれています。



 (戦後に形成された)歴史観を根底から変える貴重な一冊である、と著者(櫻井よしこ)は書いています。私はまだ、この本を読んではいないものの (機会をみて読み、引用する予定です) 、たしかに貴重かつ重要な一冊ではないかと思います。

 しかし、著者(櫻井よしこ)が「注目すべき論点」が
「張作霖爆殺はロシアの仕業であり、日中全面戦争は日本軍の暴走よりも中国共産党の策略だった」という二点である
と述べている部分は、ややちがうのではないかと思います。



 これらもたしかに重要ではあるものの、もっと重要なのは、次の部分ではないでしょうか。
 一方、毛は日本軍進撃を大歓迎した。「抗日戦争は日本の力を利用して蔣介石を滅ぼすチャンスだった」からだ。この点についてチアン氏は、訪中し過去を謝罪した日本の政治家らへの毛のこんな言葉を引用している。
「いや、日本軍閥にむしろ感謝したいくらいですよ」「(日本軍が中国を広く占領してくれなかったら、国民党に勝てないために)われわれは現在もまだ山の中にいたでしょう」
この記述は、(当時の)日本側に非があろうがなかろうが、どちらであろうと、
日本は一方的に (中国共産党に) 謝罪を要求されるいわれはない
ことを示していると考えられます。

 毛沢東の人間性については疑問が指摘されているものの、すくなくとも戦後、中国政府の最高指導者が「いや、日本軍閥にむしろ感謝したいくらいですよ」と述べている以上、(以後になされた) あまりにも執拗な日本側の謝罪 (または左翼的日本人による日本は謝罪すべきであるとの言論) は、「おかしい」とみるべきではないかと思います。

   日本側が謝罪を続けることは、
    かえって中国政府の意志に反することになるばかりか、
    中国共産党最高指導者の意志を無視(軽視)することになる

と思います。「(相手の気持ちを無視して) 執拗に謝罪する」というのは、「ヘン」だと思います。



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那覇市長の主張はおかしい (普天間基地移設問題)

2011-01-26 | 日記
asahi.com」の「県、「パッケージ論」に反発 基地負担の軽減協議」( 2011年1月26日 )

 県に集中する米軍基地負担の軽減を話し合う沖縄政策協議会の部会が25日、開かれた。米軍普天間飛行場(宜野湾市)の県内移設後に別の米軍基地を返還する政権の方針に対し、県は普天間問題と他の基地の返還をパッケージで扱うことに反発した。

 政権の負担軽減策の目玉は、日米で合意した県中部の嘉手納以南の米軍基地6施設の返還・統合。県の期待は高く、跡地開発を振興策の柱にすえるが、普天間の県内移設後との条件があり、受け入れがたい。25日の部会では県側の翁長雄志那覇市長が「パッケージにとらわれては何も進まない」と主張。「論より証拠だ。県民が負担軽減を実感できるように」と求めた。

 ただ、政権側の態度は硬い。政府高官は「米国には、普天間移設が進まないのに負担軽減だけ図られるという警戒感がある」と説明。北沢俊美防衛相は部会で「これでは前に進まない。政治家同士の話を」と提案した。仲井真弘多知事らは一定の理解を示したが、県幹部は「本音でぶつかって生産的な話になるのか」と危ぶむ。(藤田直央、高橋福子)


 国が普天間問題解決のため、沖縄の負担を軽減する努力をしていること、および、沖縄県側(翁長雄志那覇市長)が「パッケージにとらわれては何も進まない」と述べ、「論より証拠だ。県民が負担軽減を実感できるように」と求めたと報じられています。



 那覇市長の主張は、おかしくないでしょうか。

 第一に、那覇市民(全体)の利益に反しています。普天間飛行場が辺野古に移設されれば、那覇市民の負担は小さくなります。したがって、上記、那覇市長の発言は、(市長が代表すべき) 那覇市民の利益に反しています。

 第二に、沖縄県民(全体)の利益に反しています。普天間飛行場が辺野古に移設されれば、(辺野古周辺の人々の負担は大きくなりますが) 沖縄県全体の負担は小さくなります。とすれば、「県民が負担軽減を実感できるように」と求める那覇市長は、辺野古への移設に賛成しなければならないはずです。すくなくとも、「県民が負担軽減を実感できるように」するために(県内移設に)「反対する」という市長の態度は、論理性を欠いています。

 第三に、日本国民(全体)の利益に反しています。米国・米軍サイドがあくまでも沖縄県内への移設を求めている以上、県外移設はあり得ません。また日本としても、中国の軍拡に対処するためには、どうしても沖縄に基地が必要なのではないかと思います。

 とすれば、那覇市長が「(県内移設との)パッケージにとらわれては何も進まない」と述べるのは、「おかしい」と言わざるを得ないでしょう。むしろ「パッケージでなければ何も進まない」と考えるのが自然だと思います。



 そもそも、国側は「国の立場(=国民全体の立場)」でものごとを考えている以上、「パッケージ」になるのは当たり前です。

 那覇市長のように、「国が県内移設とのパッケージとして負担軽減策を主張するなら、あくまでも反対する。沖縄(県民)の負担軽減だけを考えてくれ」といった主張は、論理性を欠いているばかりか、ある意味、「だだっ子のわがままに『近い』」のではないでしょうか?



時事ドットコム」の「基地共同使用へ日米作業部会=政府が報告-沖縄負担軽減部会」( 2011/01/25-13:42 )

 政府は25日午前、沖縄政策協議会の下に設置した「米軍基地負担軽減部会」(部会長・枝野幸男官房長官)を首相官邸で開いた。政府側は、在沖縄米軍基地などの自衛隊との共同使用に関する日米の課長級作業部会を、昨年12月に発足させたと報告。騒音軽減や事件・事故の防止といった地元要望について、自衛隊が関与することで、実現しやすい環境整備を目指す考えを伝えた。
 政府側はまた、米軍基地の環境問題に関し、日米の審議官級でつくる作業部会を設置したことも伝達した。土壌汚染などが起きた際、速やかに立ち入り調査を行えるよう、米側と協議するとしている。
 枝野長官は「訓練移転、騒音軽減、事件・事故の防止をしっかり進めたい」と強調。米軍嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)所属のF15戦闘機訓練のグアムへの一部移転で日米が合意したことや、米軍ギンバル訓練場(同県金武町)の7月までの返還実現を目指し、米側との交渉を本格化させる方針も伝えた。
 これに対して沖縄側は、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)移設問題とは切り離して、基地負担軽減を進めるよう要望。終了後、仲井真弘多知事は記者団に「政府が一生懸命取り組もうという姿勢は評価できるが、実際の効果はやってみないと分かりにくい」と述べた。 
 同部会の開催は、昨年10月の初会合以来、2回目。政府側から枝野長官、前原誠司外相、北沢俊美防衛相、沖縄側から仲井真知事らがそれぞれ出席した。


 国側の努力について、その詳細と、それに対する仲井真弘多沖縄県知事の発言「政府が一生懸命取り組もうという姿勢は評価できるが、実際の効果はやってみないと分かりにくい」が報じられています。



 沖縄県知事の発言は理性的であり、国の努力を正当に評価しておられます。

 たしかに「実際の効果はやってみないと分かりにくい」かもしれませんが、「実際の効果は、やってみなければゼロ」です。「効果はありそうだが、確実に効果があるかどうかはわからない」という状況であれば、「やってみる」と考えるのが普通ではないかと思います。



 「沖縄県知事選の結果と、普天間移設問題の見通し」でみたように、「国の態度次第では県内移設を『認めることもあり得る』」というのが沖縄県知事の態度だと思われますので、

 那覇市長のような、(主張に論理性を欠いているために)「なぜ反対なのか、わからない」人々が意見を変えれば、普天間問題は解決に向かうのではないかと思います。



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