「(ブランデーの)その熱が喉から消えないうちに、そば粉のパンケーキをかじる。端っこはバターでカリカリに焼けていた。さくりと音をたてて噛む。そば粉の素朴な味と、ジューシィなバターのコクが絶妙にマッチしている。またブランデーを口に含む。
「ほほお」そんな言葉が口をついて出た。まるでパンケーキに蜂蜜をかけたような芳香が、くちいっぱいに広がった。バターのしつこさが、花の香りの重たい部分を押さえ込んで、華やかな部分だけを強調している。これは合う。」(石持浅海 著,祥伝社,2007年)
この他に出てくる美味しい酒と美味しい肴は、「生牡蠣とウィスキー」,「チキンラーメンとビール」,「チーズフォンデュと白ワイン」,「豚の角煮と泡盛」,「ぎんなんと日本酒」,「スモークサーモンとシャンパーニュ」、そして、この「そば粉のパンケーキとブランデー」。
私はお酒にはうといので、レアなお酒の銘柄はチンプンカンプン。なので、味は想像できないのだけど、肴の方は何となくわかる。特に角煮にいたっては読んでる内に我慢が出来なくなって、煮卵と一緒に鍋いっぱい作って、白ワインと一緒に楽しんでしまった。(組み合わせが、おっさんだ。)
↑ちなみに、私の一番お気に入りのお酒は、白ワイン<マスカットオブアレキサンドア>
帯のキャッチフレーズは、「酒と恋に懲りた者はいない」→
…私はまだ、お酒には懲りたことはないな。(二日酔い経験もナシ)
メインの登場人物は、大学生時代からの飲み仲間の3人。彼らが連れてくるゲストが持ち込んでくる恋愛話の謎ときがベースになって繰り広げられる短編ミステリーだ。ベストセラーにもなった『扉は閉ざされたまま』は読後感が重~いやつだったけど、これは軽めのテイストの美味しいミステリー。
ここからはネタバレになっちゃうので詳しく書けないけど、メインキャラの「熊さん」の性別が、どちらなのかわからなくて、何度も読み返したけど、最後の章までわからなかった。たぶん、これも作者の「謎」解きの1つだったんだろう。やられたなー。
当分続いた角煮と煮卵に、よ~やく飽きたので、次は、ずぅーっと念願だった「そば粉のパンケーキ」、絶対作るぞ~!