くう・ねる・よむ・はな

食べること、眠ること、読むこと、お花が大好き。そんなメイジャンが日々の出来事を綴った、のほほんor辛口日記

『Rがつく月には気をつけよう』のそば粉のパンケーキ

2008年10月22日 | おいしい本

「(ブランデーの)その熱が喉から消えないうちに、そば粉のパンケーキをかじる。端っこはバターでカリカリに焼けていた。さくりと音をたてて噛む。そば粉の素朴な味と、ジューシィなバターのコクが絶妙にマッチしている。またブランデーを口に含む。

「ほほお」そんな言葉が口をついて出た。まるでパンケーキに蜂蜜をかけたような芳香が、くちいっぱいに広がった。バターのしつこさが、花の香りの重たい部分を押さえ込んで、華やかな部分だけを強調している。これは合う。」(石持浅海 著,祥伝社,2007年)

この他に出てくる美味しい酒と美味しい肴は、「生牡蠣とウィスキー」,「チキンラーメンとビール」,「チーズフォンデュと白ワイン」,「豚の角煮と泡盛」,「ぎんなんと日本酒」,「スモークサーモンとシャンパーニュ」、そして、この「そば粉のパンケーキとブランデー」。

私はお酒にはうといので、レアなお酒の銘柄はチンプンカンプン。なので、味は想像できないのだけど、肴の方は何となくわかる。特に角煮にいたっては読んでる内に我慢が出来なくなって、煮卵と一緒に鍋いっぱい作って、白ワインと一緒に楽しんでしまった。(組み合わせが、おっさんだ。)

     

↑ちなみに、私の一番お気に入りのお酒は、白ワイン<マスカットオブアレキサンドア>

 帯のキャッチフレーズは、「酒と恋に懲りた者はいない」→ 

…私はまだ、お酒には懲りたことはないな。(二日酔い経験もナシ)

メインの登場人物は、大学生時代からの飲み仲間の3人。彼らが連れてくるゲストが持ち込んでくる恋愛話の謎ときがベースになって繰り広げられる短編ミステリーだ。ベストセラーにもなった『扉は閉ざされたまま』は読後感が重~いやつだったけど、これは軽めのテイストの美味しいミステリー。

ここからはネタバレになっちゃうので詳しく書けないけど、メインキャラの「熊さん」の性別が、どちらなのかわからなくて、何度も読み返したけど、最後の章までわからなかった。たぶん、これも作者の「謎」解きの1つだったんだろう。やられたなー。

当分続いた角煮と煮卵に、よ~やく飽きたので、次は、ずぅーっと念願だった「そば粉のパンケーキ」、絶対作るぞ~!


チャイブスくんのトマトソース

2008年07月29日 | おいしい本

 トマトを買いすぎてしまった…  

いくらなんでも、5袋は多すぎた。大っきいトマトが1袋+プチトマトが4袋。何で、こんなに買っちゃったんだ?しかも、JA朝市のは、普通のスーパーの1.5倍は入っている。真っ赤に熟れたトマトちゃん達は、これだけでも美味しそう。しかし、こんなに大量にあるんだったら…、トマトソース作ってみたらどうだろう…?

『チャイブスくんと楽しむハーブ・ノート』 

(高野紀子著,白泉社,1999年)

この本に「トマトソース」(P20)の作り方があったはず。9年前に買ったまま、見るだけだったけど、絵本だからわかりやすいし、材料も作り方も簡単そう。こんなに可愛いプチトマトなら、さぞかし甘みも強いに違いない…やってみよう。

 

  ★  ★  作り方 ★ ★ ★ ★  

 1 たまねぎ1個,にんにく1片をみじん切りにして、オリーブオイル(大さじ2)でよく炒める。(ちなみに、私  はこの分量の3倍でやっとります。)

 (→50分後)

 2 荒刻みしたホールトマト2缶(私は生のプチトマトを2袋)、タイム、ベイリーフを入れる

   

  3 塩、こしょう少々、あればトマトペーストを大さじ2を加える。

   

 4 トロトロになるまで煮詰める。 

おまけ後日、 トマトの皮をむいて、裏ごししたの(↑)を投入したら、まろやかな感じになりました。最近は、大量に刻むのがめんどくさくなっちゃったので、刻まずに握りつぶして、トマトジュース化したのを入れてます。

    

で、肝心の味はと言うと…、「何っ!?、これ!?」というくらい、ウマイっ!

舌がおバカになっていた私が、即!「うまいっ!」と感じるくらいだから、相当なものだ。熟したトマトの甘酸っぱさに、玉ねぎのまろやかな甘さがマッチして、それをクセのあるタイムがキリッとしめている。野菜の美味しさが凝縮していて、生のトマトを食べるよりもスルスルと体の中に入ってきて、力になってくれる感じ。

これは、JA朝市の野菜の底力のせいもあると思う。よく虫が入ってるここの野菜は、早ければ夕方には葉が萎れてくる。ほとんど無農薬でやっているから、味が濃くて、新鮮なのだ。…なのに、均一100円。(あぁ、ここに住む事にしてよかった。)

さて、あれから1週間。あまりの美味しさにトマト10袋分は作ったけど、オムレツに、チキンライスに、チキンソテー、白身魚のムニエルのソースにと大活躍。すぐに無くなってしまうのが、難儀である。


『青空の卵』のメイプルシロップ

2008年06月09日 | おいしい本

 

皿の上には、黄金色に焼けた薄いパンケーキが層をなしている。皆がその山に見とれていると、カフェオレのおかわりと共にテーブルには大きめのピッチャーが置かれた。「これは、何なんだい?」「誠一いわく、『最初の一滴』だ」「メイプルシロップですよ。でもシロップといっても、普通の物じゃない。私が住んでいる町で、その年の最初に作るシロップなんだよ。」(中略) 

「……うっまーい!」 佐藤さんの声が耳に届いたけれど、僕は反応できずに皿の中を見つめていた。一体、コレはなんだろう。僕が今までメイプルシロップだと思っていたものとは、あまりにも違う。違いすぎる。まるで、楓の森を吹き抜ける風見たいだ。口の中に広がる、淡い甘さ。それはほとんど後味を残さずに、さらさらとたなびいては消える。そこにふわりとバターの香りが舞い降りて、印象を包み込む。

『青空の卵』 坂木司著 (東京創元社,2002年)

 

 ★  ★      ★  ★ 

 やばい、パンケーキが食べたくなった。

あんまり好きじゃないのに。

トリイのお父さん(誠一)のせいだ

もとい、坂木司のせいだ。

このくだりを読んだ後、突然、舌の上にバターとメイプルシロップが混ざり合った、甘くとろける味が浮かび上がってきた。

何だろう?この味の記憶は?

<ルナ>だ!あそこのワッフルの味なんだ!?

…わかってる。

行っても、こういうメイプルシロップは出てこないって。

でも…、こんなの読んだら…行くよなぁ~

外が雨でも。

それから約40分後、チャリとウォーキングで辿り着いた時、

<ルナ>は月1度の定休日でした。

し~ん 

しばし固まった後、<モロゾフ>に直行。

歩く道すがら、<ルナ>と<モロゾフ>のどっちにしようか

迷っていた甲斐があったと言うものです。

 

そういう訳で、「ワッフルプレート」を注文。

ここのワッフルは食べたことなかったので、保険をかけてセットにしました。

…ん~、掛けてて良かったです。

やっぱり、<モロゾフ>はプリンとチーズケーキがおいしい。

珈琲のお替りも出来るし。

待っている間、チョコのサービスも。

チェリーを選びました。

地下のショップで見たら210円もするチョコでした。ラッキ~!

ウォーキングもできたし、

肝心のメイプルシロップも口にしたし、いいお休みではないですか。

これで変な執着が収まればいいんだけどねぇ~

 


『ヴィラ・マグノリアの殺人』

2008年06月04日 | おいしい本

「双子は知らん顔で、運ばれてきたばかりのオムライスにゆっくりとスプーンを差し込んだ。ふっくらと盛り上がった卵はまばゆいばかりに輝き、トマトの多いデミグラスソースがとろりとかかっている。スプーンはふうっと湯気でくもり、卵の下からちゃんと炊いた薄いオレンジ色のピラフの米と、きつね色に焼けた鶏肉と、鮮やかなグリーンピースが表れた。」

『ヴィラ・マグノリアの殺人』 若竹七海著(光文社文庫,2002年)

これは主人公のセリナが働く、麗しのレストラン<黄金のスープ亭>での食事シーン。

この他にも、殺人事件の舞台になったヴィラの住民たちが、それぞれ注文したのは、「黄金色のパンプキンスープ」,「ムール貝の入ったパエリア」,「白身魚のから揚げ」,「エビのフリカッセ」,「金目鯛のから揚げ」…

これだけでも、洋食好きにはこたえられないラインナップなのだが、食事の後にワゴンで運ばれてくるデザートが、これまた素晴らしい。

「生クリームをたっぷり添えた紅茶のシフォンケーキ、ダークチェリーと口当たりの軽いカスタードクリームのタルト、ブドウのソースとキーウィーのソースのどちらかを選べる新鮮な卵でつくったババロア。それにワイン、ぶどう、ラ・フランスのシャーベットのセット。」

…うわぁ…、どれにしよう。私はこの場面になると、いつもどれを選ぶかで悩んでしまうのである。(↑真剣)

  

さて、この<黄金のスープ亭>にはランチも用意されていて、2人の刑事が訪れた日のメニューは「シーフード・スパゲティ」と「ロースト・ビーフ」の2種類。

謎解きが得意な駒持刑事がオーダーしたのは、「エビとイカ、ホタテに金目鯛、ニンニクを少々きかせたトマト味のスパゲティ」

そして、若い刑事、一ツ橋が選んだのは、「グレービーがたっぷりかかったローストビーフが六枚、黄金色に揚がったジャガイモと、ゆでたニンジンにグリーンピース、バターでいためたホウレンソウとカボチャの薄切り。付け合せの野菜を含め、皿全体からぽっぽと湯気が立ち上がっている。一ツ橋はものも言わずに肉にかぶりついた。噛むほどに肉汁があふれ、とろけた。」…加えてこれに、おもちゃのようにかわいらしい桃のタルトとコーヒーがつくのである。。。

迷う。ここでも、どっちにしようか、大真面目で迷ってしまう自分をアホだと思う…が、こんな悩みなら、いくらでも大歓迎である。

コージー・ミステリ好きで、食い意地のはった方、若竹七海は読んでみる価値ありですよ。

「おまけのつぶやき」

とは言ったものの、若竹七海は、よくわかんない作家である。

推理ものも書くし、オカルトもの、社会派ものと作風は多彩。

私は相当えぐいホラーや 、かなり痛い<葉村晶シリーズ>が苦手で、特に『火天風神』ときたら、どこにも救いがない話で息苦しいこと、この上なかった。

そうかと思うと、『古書アゼリアの死体』のように、どうしてもBOOK OFFに売り飛ばせない本もあるので、正直な所、かなり当たり外れが激しい作家の一人である。

この人の本は一通り読んでみたが、お馴染みの登場人物を別のシリーズに登場させる楽屋オチのような遊びが散りばめてあるので、そこらは結構面白い。

特に葉村晶はお気に入りキャラらしく、主役以外にも、あちこちで、チラチラとよく顔を覗かせるし、この『ヴィラ~』に出てくる角田港大、入江菖子、中里も他の話に登場する。

全部読んでみて1つ言えることは、「作者は絶対濃いお茶が好きだと思う」。タブン 


『ぶたぶたの食卓』

2008年06月03日 | おいしい本

「(餃子の)皮の焼き目のついたところはカリッとした歯ごたえ、あとはもちもちとした食感。餡にもたっぷりの肉と野菜の甘みがあった。はふはふ言いながら、一気に二つ食べてしまう。うん、とってもおいしい!ビールが欲しくなってくるではないか。」

『ぶたぶたの食卓』 矢崎存美著(光文社文庫,2005年)

 

矢崎さんのを読む度に、この本が最初でよかったなー、とつくづく思う。ストーリーは浮世離れしてるけど、次から次へと出てくるおいしそうなものときたら…、この人の最大の持ち味、食べ物の描写のウマさが発揮されてる話ばかりなんだもの。

さて、この中に出てくるメニューは馴染み深いものばかり。それだけに、どれほど美味しいのか、想像は果てしなく広がっていく。

第1話は「チャーハン,餃子」&「肉を噛むと肉汁がじゅっと口の中に溶け出る」酢豚から始まって第2話は「あさりづくし」(あさりの酒蒸し,中華炒め,スパゲティボンゴレ)第3話は文庫の表紙を飾る「キャラメルソースのガレット」。そして第4話の手作りカキ氷、クリームあんみつ(濃厚なアイス付)がトリを飾る。

中でも、第2話の「あさりの中華炒め」のくだりときたら…あさり嫌いの私をして実際に作らせてしまったほどだった。(砂が入ってる確立が高すぎて苦手なだけ~)

「殻をはずしたあさりとご飯を混ぜて頬張ると、そのままかっこんで食べ尽くしてしまいたくなってくる。鷹の爪がほんの少しぴりっとして、紹興酒の香りはほのかに-でも、圧倒的にあさりのうまみの方が強い。新鮮なあさりというのは、こんなに味がしっかりしていておいしいものなのか。」

…ごっくん。さて、その作り方ですが、いたって簡単。あさり,にんにく,鷹の爪,紹興酒を用意して、文中の手順でつくっていくとアッサリ完成します。ちなみに私がトライした時のお味は、…ヘヘヘ、ソコソコでございました。(腕前のせいだと思われます)

「おまけのつぶやき」

この本を初めて読んだときは、少々拍子抜けしたものだった。最後まで、特に何~んにも起きない話だったから。ミステリーでもなく、事件も起きず、最大にして唯一のサプライズは、「ぶだぶたさん」という動くピンクのヌイグルミ(人)が出てくること。

シリーズものなので、ぶたぶたさんの職業は色々なバージョンがあるけれど、基本的には各回の登場人物が、ぶだぶたさんを見てビックリして、そこから自分の内面を見つめたり、周囲の人たちとの触れ合いからあったかいものを見つけていく、といった話が多いかな。

私にとっては共感したり感情移入するシーンがあんまりないので、胸にじーんとくる場面は、ぶっちゃけそんなにナイ。。。(み、身もふたもナイ)

主人公のモノローグと登場人物たちの会話を中心に話が進んでいくので、新井素子の文体がダメな人にはキツイかも。 


『あかんべえ』

2008年06月02日 | おいしい本

「おさきはすぐに戻ってきた。熱いおみおつけと白いご飯と漬け物、卵焼き、魚の照り焼きの小さな切り身。盆の上のそれらを目にしたとたんに、おりんのおなかがぎゅるぎゅるぐうと鳴った」 『あかんべえ』 宮部みゆき著 (新潮文庫,上・下巻)

 

私は主人公のおりんが食べる、この遅めの朝ごはんのシーンが、とっても好きだ。

下巻の巻頭に、ぽつんと何気なく出てくる、何んてことのない普通のご飯なんだけど、上巻に登場する古稀を祝う春の会席料理や、凝りに凝りまくった白と黒の料理よりも、はるかに魅力的で、ココロに響く。

宮部みゆきの小説には、料理のシーンや食べるシーンは、そんなに多く出てこないけれど(茂吉親分シリーズの『初ものがたり』」は別格)、たまさか出てくる食べ物の描写ときたら、それはそれは美味しそうで、食い意地心をくすぐってくれる。

例えば、この『あかんべえ』上巻に出てくる筒屋の宴の料理はこうだ。

「お通しにはぐい飲みのような小さな小鉢に盛った菜の花の辛子あえ、春に美味な平貝の山椒焼きをほんのふた切れ。鰹にはまだ早く、またご隠居が昨今ほとんど生ものに箸をつけないということだったので刺し身は省いて、椀物に白魚豆腐。筍の味噌がけ、卵焼きと続けて、その後に焼き物は鯛と、いよいよ工夫の煮物が供される。」

この後も、「ひらめのつくねに細かく刻んだ青菜を散らし入れ…」とその工夫の煮物が出来るまでの描写が続き、この春の会席は、さっぱりと口直しの酢の物と、青豆ご飯と水菓子で終わる。

う~ん、すごい。

だけど、こうなると、会席なんて数えるほどしか食べたことない私は頭がグルグルになって、どんな料理なのか想像ができない…。

そっか、それで冒頭に出てくるような何気ない朝ごはんが、目とココロに響くのかも。

実はこの『あかんべえ』は去年初めて読んだのだけど、以来、やたらと卵焼きを作るようになってしまい、一時期は毎日、今は3日に1度の割合で作るように…。

そりゃ、卵焼き好きだったけども、何で?

恐るべし、ミヤベミユキ!

 

「おまけのつぶやき」

ところで、おみつは、ぜひ鶴田真由にやっていただきたい。

艶っぽい笑い声の美しく整った顔立ちの、あでやかな美女なら、何人もいそうなもんだが、読み進んでいくうちに、鶴田真由のイメージに固まっていったのだ

それから、明るくていい声の持ち主で、整ったいい顔の二十歳すぎの美青年は、福士誠治にしておこう。

「眉は濃く、目は澄んでいて、頬つるりとしていて、とても若々しい。」

うん。ピッタリだ。

別段、鶴田真由も、福士誠治もいいと思ったことなどなかったのに、不思議なモンである。