これ!どう思います?

マスコミがあまり報道しない様な問題を、私なりに考えてみます。

コロナと世界の政治&経済 (その1)

2020-06-06 11:37:00 | 新型コロナウイルス
 3週間振りに新型コロナウイルスについて投稿します。「新型コロナの問題が片付いたあと、世界の政治/経済は大幅に変質するのでは?」と私は恐れています。今回は、そう考えるベースで有る、産業革命、中国の工業生産量、各国の覇権主義について考えて見ました。

【はじめに】
 日本は新型コロナの第一波を何とか凌ぐ事が出来ました。 少し余裕が出来たので、国民は冷静になって今後の事を考える必要が有ると思います。

 当面の課題は、「医療崩壊が起きない様に配慮しながら経済活動を再開し、新規感染者が増加してきたら経済活動を一時停止すること」です。 然し、本当の課題は、「新型コロナ問題の後に世界の政治/経済が変質する可能性が有り、国家の総力を投入して対応すること」だと思います。

【結 論】
 アメリカではトランプが再選されるか?微妙な情勢になってきましたが、バイデンが大統領になっても、「中国との第四次産業革命の主導権争いは激しくなる」と予想されます。 米中の覇権争いで、日本は”立つ位置”を自分で決める必要が有ります。

先進諸国は新型コロナ対策で国債を多量に発行し、疲れ果てた状態になっています。 世界経済の落ち込みを回復させることの出来る、余力の有る国は無いと見るべきです。

 日本の与野党の政治家は、「新型コロナ対策費に200兆円必要だ!」、「更に100兆円追加すべきだ!」などと言っています。 「新型コロナで世界の政治/経済がどう変化するか?」を見極めて、必要な金額を議論すべきです。日本は、消費税をアップした事により経済は落ち込んでいまから、その分も考慮する必要が有ります。

 日本は幸いにも”デフレ脱却”が課題です。国債を更に発行してもインフレが危険水準になる可能性が低いと思われます。バブル崩壊後の『失われた20年』が再来しない様に、十分な金を投入する政策が必要です。

 韓国では、4月の選挙で左派が圧倒的な勝利を収めました。一部のコメンテーターは、「国民の人気取りが必要で無くなるから、日本との関係改善に向かう」と予想していました。最近の文大統領の言動からは、「新型コロナの問題が起こる前よりも反日の政策を取る」と考えておく必要が有ります。 多分、文大統領は「日本製品の不買運動」を更に進めるでしょう。 コロナの感染が収まっても、「日本へ旅行しない運動」を起こすと思われます。 日韓両国の経済を悪化させます。 この事にも配慮した政策が必要です。

【産業革命】
 日本の政治家やジャーナリスト達は、勉強不足なのか?諦めてしまったのか?分かりませんが、現在進行中の『第四次産業革命』を取り上げません。私は”技術屋の端くれ”として生きてきたので、「国家として第四次産業革命に取り組まないと、今後・日本の経済は停滞してしまう」と考えています。 以下に、産業革命についての私の認識を書いておきます。

第一次産業革命 :1760年~1830年にイギリスで紡績・紡織などの軽工業が発達し、イギリスが大国になりました。技術はフランス、ドイツやアメリカに伝わり、それまでの手工業から機械工業に変わっていったのです。『革命』の速度は、現在から見ると非常に遅かったのです。(当時、後進国を植民地化したのは、原料を確保する為だったと思われます。)

第二次産業革命 :19世紀の後半に化学、電気、石油および鉄鋼の分野の工業技術が飛躍的に発展しました。日本の明治維新は1868年ですから、第二次産業革命の真っただ中でした。 国を挙げて近代化に取り組んだので、日本は列強の仲間に入れました。

第三次産業革命 :20世紀の半ば(第二次世界大戦後)からは原子力発電とコンピュータの分野で技術革新が有りました。特に、コンピュータはハードだけで無く、ソフトが目覚ましく進歩しました。現在は第4世代の通信システム(4G)ですが、「機械に発信装置を付けて納入し、機械メーカの事務所で運転状況をチェックする」ケースも増えています。 私が1990年頃に開発に参加した装置では、各部の温度、圧力、流量等の運転データをパソコンに取り込み、CDに記録して、問題が発生した時は運転データをメールで送ってもらって、操作ミス、過負荷運転の有無、バルブ等の故障の有無・・・故障原因を担当者が現地に行かなくても解明出来る様にしました。

第四次産業革命(4IR) :第三次と第四次の境界線は明確には出来ませんが、第四次産業革命が進むと、世の中は今までとは全く違った世界になるでしょう。 自動車は無人運転になり、私達の身近でロボットが活躍し、・・・⇒「世の中はひっくり返ってしまう」と私は思います。SF映画の様な世界が、もう直ぐ実現されようとしているのです。

(余談) 第四次産業革命が進むと、人間に残される仕事は段々少なくなってくるでしょう! 「人間とは何か?」、「どう生きるべきか?」と悩む人が増えて、「”鬱病”になる人が増加してしまうのでは?」と危惧しています。医療も格段に進歩しますから、100歳以上の人が”うようよ”いる事になってしまいそうです。第四次産業革命は人類にとっては、好ましく無いかも知れません!

【中国は世界の工場になっています】
 鄧小平が始めた中国の工業化は、西側諸国の安易な支援を受けて大成功し、中国は『世界の工場』と呼ばれるまでに発展しました。貿易黒字が続いたので莫大な外貨を蓄積し、優秀な若者を海外(主としてアメリカ)に留学させて、『工学/理学等々の分野の人材国家』になっています。

 21世紀に入って中国の工業化は、トンデモナイ速度で進みました。中国は、第二次産業革命までの人類の英知を活用した世界最大の工業国になったのです。 西側諸国では需要量を加味して生産計画を立てます。専制国家の中国では、一部の分野が赤字でも、国家全体で黒字ならOKなんです。 (以下に示す様に)鉄鋼、セメント及びアルミニウム等の装置産業の分野では、驚異的な量を毎年生産して安い価格で外国に輸出しています。西側諸国では関税を高くしないと、自国の企業が立ち行かなくなってしまいます。

 中国はその余力で、第三次産業革命の技術を吸収し続けて、もう直ぐアメリカの技術レベルに近づく所まで来ました。21世紀になって始まったと言われる『第四次産業革命』の覇者に中国がなる可能性が極めて高くなりました。 これが、『ファーウェイの問題』です。 アメリカが世界No.1の地位を維持する為には、アメリカが第四次産業革命の覇者になる事が不可欠なんです。

★ 鉄鋼生産量 :2019年 ;世界総生産量=187,000万トン
① 中国 :99,600万トン(53.3%)
② インド :11,100万トン(5.9%)
③ 日本  : 9,900万トン(5.3%)
④ アメリカ :8,800万トン(4.7%)

★ セメント生産量 :2016年
① 中国 :241,000万トン
② インド :29,000万トン
③ アメリカ :8,500万トン
⑬ 日本  :5,500万トン・・・2015年

★ アルミニウム生産量 :2018年
① 中国 :3,580万トン
② インド : 368万トン
アメリカは⑨、日本は㊷です。

★ 自動車生産台数 :2019年 ;世界総生産台数=9,179万台 (CBU;完成車ベース)
① 中国  :2,572万台
② アメリカ :1,088万台
③ 日本  : 968万台
④ ドイツ : 466万台

(出典) グローバルノート(株)が有料(690円/月)で各種統計データを公表しています。上記の値は会員で無くても読める範囲のデータを整理したものです。

【覇権主義】
 日本は第二次世界大戦に敗れて、「武力や金で他国を侵略/支配したい」と考える人は殆どいなくなりました。 そして、「他国も同じ考え方だろう」と思っている人が沢山いる様です。

 現在でもアメリカ、中国そしてロシアは覇権主義の国家です。「新型コロナが3国の覇権主義に油を注ぐ事になる恐れが有る」と私は考えています。

➊ アメリカ :「自国の利益を追求する、影響力を拡大する」と言う、文字通りの覇権主義国家はアメリカだと私は思います。第二次世界大戦後、アメリカは世界一の経済大国で有り、世界一の軍事大国を維持して来たので、日本も含め西側の諸国は異議を申し立てる事は出来ませんでした。ソビエトが元気だった頃でも、日本の繊維産業を縮小させたり、日本に航空機産業を発展させなかったり、圧力を掛け続けたのです。

 1978年に鄧小平が改革開放政策を打ち出した時、カーターが大統領でした。その後、レーガン→大ブッシュ→クリントン→小ブッシュ→オバマ大統領と続きました。「中国でアメリカの企業が利益を得て、安い製品を輸入出来た」と言う点では中国の開放はアメリカにメリットが有ったと思います。

 小ブッシュの頃から中国企業が急激に成長しました。オバマ大統領の時代の2012年に習近平が国家主席になると、露骨な覇権主義政策を取り始めました。オバマ大統領は従来の国際ルールに従った(おとなしい)中国への対抗手段を取りました。 中国は”意に介さず”経済を更に発展させ、人民解放軍は近代化/戦力アップを進めました。 2017年にトランプが大統領になると、両国は覇権争いに突入したのです。 これが、『米中貿易戦争』の本質だと思います。

 米ソ冷戦時代・ソビエトの経済は発展しなかったので、「何れは、アメリカが勝てる」と考えたでしょうが、中国の脅威はソビエトの比では有りません。トランプ大統領は本能的に状況を把握して、従来の国際ルールを無視した『中国叩き』を始めたのです。

➋ 中国 :第二次世界大戦後、中国は貧しく軍備も整っていない時期から覇権主義国家でした。1947年に内モンゴールを、49年からはチベットに侵攻し、49年には東トルキスタン共和国を併合して新疆ウイグル自治区としました。

 1969年に中国とソビエト間で国境紛争が勃発しました。「清朝の時代にロシア帝国に奪われた広大な領土を、中国が取り返そうとしたのだ」と私は見ています。1995年に中露国境協定が結ばれて、国境はほぼ確定しました。当時の国家主席は江沢民で、ベトナム、タジキスタンなどとの国境問題も解決しました。 覇権主義者の習近平は、「江沢民は国を売った」と主張している様です。

 新型コロナの世界中への蔓延で世界の需要は減少すると予想されますが、中国は過剰な工業製品を外国に売り続ける必要が有ります。需要に見合う生産量にしたら、国内の失業者が増加して、共産党への不満が大きくなる恐れが有ります。 今の所は外貨を沢山持っているので、「金の力で中国製品を買わせようと露骨な動きをする」と私は予想しています。100%旨く行くとは限りませんから、共産党への不満を抑える為に、「西側諸国の反対は無視して、先ずは、香港の市民運動を抑え込もう」と動き出した様に見えます。

❸ ロシア :共産主義思想を固守したソビエトでは、第三次産業革命の潮流に旨く乗れなかったので、相対的な経済力が低下しました。遂に、1991年にソビエト連邦は崩壊してしまい、ロシア連邦になりました。 ロシアの領土は世界第一位(日本の45倍、アメリカの2倍)です。地下資源が豊富な国です。軍需産業以外の工業は余り発展していません。 「覇権主義を国民の多くが現在でも支持している国だ」と私は見ています。 その証拠は、2014年にウクライに侵攻してクリミア半島を奪った事です。

❹ 日本 :政府開発援助(ODA)のうち二国間援助は、相手国に「日本から物を買ってくれ」、「国際問題が発生したら、日本を支持してくれ」、「国際機関の役員選挙で日本の候補者に投票してくれ」、・・・等々の魂胆が有って行うものだと思います。 広義の覇権主義です。日本はバブル崩壊以降、経済力が低下したので、現在の中国の様に露骨な事が出来ないだけです。

【貿易協定について】
 各国が豊かになるためには、関税を撤廃したり、低く抑えて貿易を活発にする事が必要です。コロナの問題が発生して日本人にとって不可欠なマスクが殆ど中国で製造されていたことが分かりました。 中国製とインドネシア製マスクの価格が非常に安いことも分かりました。(一時期、店頭からマスクは消えましたが、輸入量は減少しなかった様ですから、輸入業者が値上がりを期待してストックしたのか?小母さん達が余分に買いだめしたか?が原因だったのでは?)

 新型コロナは、「目先の利益だけでなく、非常事態の事も考慮した貿易協定を結ぶべきだ」と言う教訓を各国に示したのだと思います。 各企業もサプライチェーンの再検討が必要になりました。

★ 自由貿易協定(FTA) :2ヶ国以上の国及び地域間の協定
★ 二国間自由貿易協定
★ 多国間自由貿易協定

 2006年のAPEC首脳会議でアジア太平洋自由貿易圏構想が提唱され、2008年にオバマ大統領が参加を表明して、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の協議が始まりました。然し、2017年にトランプ大統領が誕生すると、「TPPには参加しない、アメリカは各国と二国間自由貿易協定を進める」と言ったのです。

 アメリカは大国で有るメリットを最大限生かして、弱小国にアメリカが有利になる条約を押し付ける方針に戻ったのです。


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