MARU にひかれて ~ ある Violin 弾きの雑感

“まる” は、思い出をたくさん残してくれた駄犬の名です。

伝える天国

2012-02-07 00:00:00 | まるチャンの「何だ、これ!?」

02/07    まるチャンの「何だ、これ!?」 (107)


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 えっ! 何だって!? そんなの、嘘に決まってるじゃないか!

 

 「それが、どうも本当らしいんだ。 ワオ~~ン…。」


 きっと誰かが、面白半分に書いたんだよ、パトラッシュ君…。
ボク、調べてみる!

 

 「実はね、ボクも色々検索してみたの。 そしたらさ…。」


 妻殺害の容疑で審理始まる    (2010/05/26)

 感情の暴発による突発的な犯行 (2010/06/02)

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 …もういいよ…。 わかった、パトラッシュ君……。

 

 「ね、やっぱり本当の話でしょ? あんなことする人
だとは思わなかったよ、ボク…。 せっかく日本まで、
何度も来てくれた人だっていうのに…。」

 

 起きちゃった事はしょうがないよ。 その人だって、
最初からそんなつもり、無かったんだし……。


 「そういう人、天国へは来られないのかな…。」

 

 ……。 もしかしたら、まったく逆かもしれないよ。
ボクにはわからないけど…。


 「人間って、怖いんだなぁ! ボクも色んな目に
遭ったけど…。」

 

 ボクたち犬だって、もし、そういう場面になったら、
どうなるか解んないよ? ボクなんか、時々 maru
のこと、咬んじゃうもん。

 

 「えー! キミって、そんなに危ケンな犬なの??」

 

 …エヘへ…。



 それよりさ、キミに親切にしてくれた人のこと、
もっと思い出してみようよ、パトラッシュ君!

 

 「……。 ネロや、アロア、イェハンお爺さん
のこと? ボク、今でも大好きだよ?」

 

 それに原作者、ウィーダさんがいるよ?
生みの親だもんね。

 


 「でもベルギーの人たちは、このお話、あんまり
好きじゃなかったからねー、特に最初の頃は…。」

 

 …。

 

 「もしウィーダさんと同じ、イギリスのお話だったら、
そうならなかったのかなー…? ところで、ウィーダ
さんは、幸せだったの? ボクの一生は、とっても
幸せだったけど。」

 …、……。


マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー  Marie Louise de la Ramée
   フランダースの犬     "A DOG OF FLANDERS"
      (菊池 寛 訳)



 そうだ! 森康二さん…って、知ってる?
もう亡くなった方なんだけど。

 

 「もり やすじ さん? それ、だ~れ?」

 

 日本のアニメ版で、キミのキャラクター
描いた人なの。

 

 「へー、そうだったの!?」

 

 今じゃね、パトラッシュっていうと、大体の人が、
この姿を思い浮かべるんだよ、日本では。





 これね、ウチの maru のやつが大切にしてるお皿だよ?
朝食のとき、いつもパン乗せて食べてるんだ。 どこかの
バザーで買ってきたんだって。

 

 「エ、本当? 毎朝!?」

 

 うん。 『違う図案のが一杯あったから、全部買ってくれば
よかったよ…♪』なんて、今でも言ってるんだ、ワン。

 

 「ありがとう。 よろしく伝えてね?」


 それにね、キミの姿、あんまり "人懐っこくて可愛い" からさ、
盲導犬を育成、普及するための基金にも使われてるの。
利用しちゃって悪いな~。 ごめんね?

 

 「そんなこと、ないよ。 ウィーダさんも喜ぶんじゃないかな。」

 


 さあ、キミのお話が載ってる、日本のアニメを含む
サイト]
だよ。

 

 「エー! こんなにあるの!?」


 それからこちらは、[アメリカなどの実写映画版なの。
中にはね、ハッピーエンドのもあるんだ。

 

 「へ~。 どんなのかなー?」

 


 「こんなに色々な人が、ボクのお話を読んだり、観たりして
くれてるの?」

 

 そうだよ、羨ましいなー。 だから元気、出してね? ワン!

 

 「ありがとう。」


 「ボク、そろそろ帰るね?」

 

 わざわざ逢いに来てくれて、ありがとう。 日本では、特に
キミのファンが多いんだ、大人も子供も。 忘れないでね?

 

 「ありがとう。 日本はヨーロッパから遠いから、却って
よかったのかな~…。」

 

 …もしかするとね…。 でも、ボクたち犬と人間が、こんなに
仲良くできる…っていうことが、一番大事なんだよね。



 「じゃあ、キミと飼い主さんも、仲いいの?」

 

 ウン、お食事、あまりくれないけどね。 一日に2回しか。


 「……。 優しくしてくれないの?」

 

 …でも、ボクが低体温だったとき、夜、お布団に入れて、
一生懸命に温めてくれたんだ…。 ボク、"もう出たい!"
って言ってるのにさ。

 

 「どうしてキミ、そうなっちゃったの?」

 

 ボク、何も食べられなくなって、だんだん体力が弱って
行ったんだ。

 

 「お水は?」

 

 薬屋さんに買いに行ってくれたよ。 それで、最後は
横になって、眠るように…。

 

 「…? ボクもそうだったけどね…。」

 

 そのとき、maru も一緒だったんだけど、もう起す気に
なれなかったんだって、"可哀そう" で。

 

 「???」

 

 ネロ君なら、きっと最後まで温めて、励ましてくれたろうね。


 「でも…、…おかしいねー、ここ、キミのウチでしょ?
キミって、ひょっとして、死んでるの!? 幽霊犬!?」

 

 そうだよ。


 「変なの…。 何だか怖くなってきたよ~…。 ボク、
もう帰ろうかな。 天国にも、今度、会いに来てね?
待ってるから!」

 

 …、うん、…。




 「あんまり咬むと、天国、行けないよー…!?」

 ……。

 


 


 森康二先生の記事 (2012/02/05 讀賣新聞日曜版より)

  ↓





 昨年5月の当欄で紹介した政岡憲三が「日本アニメーションの父」なら、その弟子に当たる森康二(森やすじ、もりやすじ)は「アニメーションの神様」だろう。 1956年に発足した東映動画(現・東映アニメーション)初期の長編アニメ映画に携わり数々の傑作を送り出すとともに、アニメの作画スタイルを確立。 大塚康生や高畑勲、宮崎駿ら後進に多大な影響を与えた。

 「デッサンがしっかりしていて立体的で、素人が見てもキャラクターがその世界で生きているように感じられる実在性。 アニメ表現の一つの頂点を極めた」と評するのはアニメーション研究家のなみきたかし(59)。 東映動画が「ながぐつ三銃士」(72年)を制作していた頃、完成したセル画を1枚1枚フィルムに映す撮影のアルバイトをし、森が描いた絵を目の当たりにして感激したと振り返る。

 日本初のカラー長編アニメ映画「白蛇伝」では、森と大工原章(だいくはらあきら)の二本柱がアニメの動きの基になる原画を描いたが、「わんぱく王子の大蛇(おろち)退治」では原画の描き手が増えて絵柄がまちまちにならないよう、修正して統一例を保つため設けられた初の「作画監督」を担った。 それまで原画と原画の間を滑らかにつなぐ動画を受け持っていた小田部(こたべ)羊一(75)は、この作品で初めて原画を描いた。 「仕事には厳しかった記憶があるけど、どう厳しかったかは思い出せない。 いつも穏やかで、気品にあふれた森さんの絵そのもの。 絵柄に人柄が出るんだと初めて思った」

 後に小田部は、高畑、宮崎が手がけた「アルプスの少女ハイジ」(74年)にキャラクターデザイン、作画監督として参加。 実は、当初森が担当する予定でキャラクタースケッチも描き始めていたが、体調不良で降板していた。 「森さんはそんなことはおくびにも出さず褒めてくれた。 本当に優しい方です」

 「カールおじさん」などのCMキャラクターで知られるひこねのりお(75) も、東映動画で森と机を並べた。「元々森さんが児童雑誌などで描いていたイラストが大好きで入ったのに、昼休みになると仕上げ担当の女性たちが森さんを取り巻いて近づけなくて。 そばにいるとほっとするんですよね」。 結婚の仲人を依頼し、家族ぐるみの付き合いをしたという。

 小田部やひこねに共通する思いは、「直接教えられた覚えはないのに、気がつくと自分の絵に森さんらしさがにじみ出ている」ことだ。 単なる技術だけでなく、多くの人々の思いや人柄が地層のように次々と積み重なって、すてきなアニメを生み出す豊饒な大地が成り立っている。 そんな気がした。 (敬称略)
                                   福田淳



  森康二の生涯


1925年 鳥取県に生まれ、後に台湾で育つ

1948年 東京美術学校(現・東京芸大)建築科卒業。
     政岡憲三らの日本動画に入社

1955年 東映動画の前身、日動映画に入社

1958年 日本初のカラー長編アニメ映画「白蛇伝」公開。
     原画を担当

1963年 「わんぱく王子の大蛇退治」で初の作画監督

1968年 「太陽の王子ホルスの大冒険」でヒロイン・ヒルダ
     のキャラクターをデザイン

1973年 ズイヨー映像に移籍。 テレビアニメ「山ねずみ
     ロッキーチャック」などの作画監督

1992年 肝臓がんで死去


  参考情報

 森康二が描いた児童雑誌のイラストやアニメーションの原画などは、『もりやすじ画集』 『もぐらノート~もりやすじ画集2~』 (ともにアニドウ) で見ることができる。 昨年7~8月には東京・丸善丸の内本店で「もりやすじの世界展」が開催され、画集第3弾として 『もりやすじの世界展 図録』 を刊行。 森が絵を描いた絵本 『ふしぎなかばん』 (文・馬場淑子) も昨年12月に復刊された。 いずれも、アニドウウェブショップ で購入可能。


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