MARU にひかれて ~ ある Violin 弾きの雑感

“まる” は、思い出をたくさん残してくれた駄犬の名です。

パトラッシュ君の悩み

2012-02-06 00:00:00 | まるチャンの「何だ、これ!?」

02/06    まるチャンの「何だ、これ!?」 (106)



         パトラッシュ君の悩み




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 やあ、ボク、まるだよ! ワン!!

 みんな、元気? ボク、とても元気だよ。




 この前ね、友だちのパトラッシュ君が遊びに来てくれたの。



 パトラッシュ君は有名だから、みんな、知ってるよね?

 ほら、あのフランダースの犬に出てくる名犬だよ。
牛乳を積んだ重い車を引っ張って、主人公のネロ君
を助けるんだ。




 でもさ、何だか元気、無いの。 パトラッシュ君…。

 どうしたの? キミはもう天国に居て、幸せなんでしょ?…
って、訊いてみたんだ。 そしたらね…。



 「ボクのこと、あちこちで馬鹿にする人がいるんだよ…。」

 「『あれじゃ "負け犬" と同じだ!』とかね、リメイクしてくれた
のはいいんだけど、ほえる犬は噛まない…なんて題名、
付けたりするんだもん。」




 それは酷いね…?

 でもネットではさ、特に滅茶苦茶なこと、書かれるんだ。
気にしなくていいよ?



 「ボクだけなら、まだいいんだ。 でも、原作者のウィーダ
さんまで、色々言われてるんだよ。」

 『「実情を知らないイギリス人のクセに!』とか、『人間には
見捨てられ、最期は飼い犬たちに囲まれて亡くなった』…」
…とかさ…。」



 そうかなー、とても優しそうな人だけどねー…。

 キミは生きているうちに、あんなに尽くしたんだ! な~ん
にも心配する必要、無いんだよ? 言いたい人には、勝手
に言わせておけばいいんだ。




 「実はね、それだけじゃないの。 ボクがいたために、大変な
事件が起きちゃったらしいんだ、つい最近のことなんだけど。」

 「その話ってね、…、『……、……。』」



 えっ、何だって!? そんなの、嘘に決まってるよ!!




 きっと、何かの間違いだよね? ボク、調べてみる!



  (続く)



 それね、こんな事件らしいんだ…。

 ちょっと長くなるけど…。



 ↓







     はてな匿名ダイアリーより転載しました。




 ■フランダースの犬にまつわる救われない話

 「オチが救われない話」というまとめサイトを読んでいたら、
こんな救われない話を知った。



 『フランダースの犬』は、アニメとして日本人によく知られて
いる。 しかしヨーロッパではほとんど知られていなかった。

 もとは1872年発表のイギリスの童話だが、原作者の女性
がベルギーの風俗をイギリス人の目で偏見的に描いている。

 なにしろ、帝国同士の争いが激しかった19世紀。 イギリス
人の心の奥底には、ヨーロッパに対するかすかな敵意が潜ん
でいる。

 「この地方は荒れ果て、人々は不親切で、しかも愛すべき犬
を何代にもわたって、激しい労働に不当にこき使っている」



 こんなことをずらずらと書いているのだ。 ベルギーを始めと
するヨーロッパで人気が出るわけがない。

 その上、本家イギリスでは、運命に抗わずに教会で死ぬと
いう内容がアングロ・サクソン的に受け付けられなかったよう
だ。 結局欧米では、誰も見向きもしなくなったというわけだ。




 ところが日本では、1975年に感動的なアニメが作られたために
爆発的な人気を獲得する。 80年代からの海外旅行ブームでは、
ベルギーのフランドル地方観光が定番コースの一つとなったほど。

 もっとも、ルーベンスの絵を観ることはできても、『フランダース
の犬』にまつわるものがそこには何一つない。 地元の人間すら
誰も知らないのだから当然か。 日本人がガッカリして帰国する
のが、当時のツアーのお決まりのパターンだったとか。



 ところが、1982年、大きな転機がやってくる。

 ベルギー・アントワープの観光局で働いていたヤン・コルテール
という男性が、運命を変えた。 日本人観光客から『フランダース
の犬』という物語の存在を聞いたことが発端である。

 生真面目な性格で、面白みのない変わり者と思われていた彼
には浮いた噂もなく、恋人はおらず、友達も少なかった。 地元を
愛し、それが故に地元の観光局に勤めた彼。 そんなオタク青年
の彼は、地元に関係する噂話を聞き逃さなかった。




 だが日本人観光客に詳しいことを尋ねても、「アニメをやってた
んだけど、もしかしたら原作があったのかもなぁ」というだけで
『フランダースの犬』について、はっきりとしたことが分からない。

 今と違ってインターネットがない時代。 日本語の情報はそう
簡単に手に入らない。 街の誰に尋ねても、何もわからなかった。



 しかし彼はあきらめない。

 「この地方を舞台にしているのなら、図書館にヒントがあるかも
しれない」 そう考えた彼は、地元の郷土史などを調べ始める。
図書館であらゆる資料をあさり、……そしてとうとう、60年の間、
二、三度しか借りられていなかった原作を見つけたのだ。

 欣喜雀躍たる、彼の喜びが想像できるだろう。



 ……だが、読み終えた彼はがっかりした。 感動するほどの物語
ではないからだった。

 実は原作には、最後にネロが天使に救われて天国へと召される
……というシーンはない。 ただただ暗いだけの作品なのだ。

 原作者は夫に捨てられた後、犬の保護に尽力していたが周囲に
相手にされなくなり、晩年は30匹の犬に見守られて亡くなっていた。
そんな原作者の厭世観が反映された作品でしかなかった。




 (この原作と日本人の感動との間の乖離は、いったい
なんなのだろう?)

 日本人からアニメの素晴らしさを聞いていた。 もしか
したら、それがヒントになるのかも?



 彼は、日本語を学び、日本人観光客の友だちを作り、帰国した
彼らからアニメビデオや童話集を取り寄せてみた。 その結果…
…感動したのだった。

 彼は、今のジャパニメーションギークの先駆けだったのだろう。

 情熱は、いよいよ膨らむ。 一年半かけて調査を行ない、原作
の舞台が近くのホボケン村だと突き止めた。 原作に描かれた
運河がスケルト川だったことも分かった。 ついには風車の跡も
発見する。




 変わり者のコルテールのその姿は、周囲から嘲笑を受けて
いた。 当時の日本なんて、極東の島国で、ドイツに加担して
負けた挙句に少々景気を持ち直しただけの国、というイメージ
だったから、仕方ないだろう。

 だが、彼の熱意は次第に周囲を突き動かしはじめた。

 ルーベンス以外にこれといって観光資源のないこの街に、もう
一つの観光シンボルが生まれるかも知れない。 そういった周囲
の思惑も重なり、ついには1985年、ネロとパトラッシュの小さな
像が、ホボケン情報センターの前に立てられた。 除幕式には
アントワープ州知事、市長、在ベルギー日本大使らも参席、盛大
なパーティーが開かれたという。



 風車は観光客向けに作り直された。 ネロとパトラッシュが
共に埋められた(ことになっている)街の教会は、観光コース
となった。

 ルーベンスの作品を観るためにアントワープを訪れていた
日本人観光客がホボケン村にも立ち寄るようになった。 その
地域は観光収入でおおいにうるおい、観光局勤めの彼の名声
も次第に上がった。



 フランダースの犬はベルギーで放送され、80%近い視聴率を
とったという。 ヤン・コルテールは『フランダースの犬』研究家
として知られるようになる。

 その地域では日本通として知られ、日本との橋渡し役として
も活躍するようになった。 研究のために日本へ何十回となく
訪れるようになり、大の親日家となった彼は、日本人女性の
石井ヨシエと結婚した。

 彼は妻と共に、今でも地元でつつましやかに幸せに
暮らしている。




 ……はずだった。 2008年、彼が妻を殺害した容疑で
逮捕されるまでは。



 なぜなのか?

 コルテールが日本人の妻をもらい、日本とベルギーの
架け橋として活躍していることまでは、いろいろなサイトで
詳しく取り上げられていた。

 ところが、彼が犯した殺人についての続報をいくら調べて
も、日本語のサイトでは何一つその理由が分からないのだ。
英語のサイトで調べても、アメリカ人などが『フランダースの
犬』に関心がないためか、まったくヒットしない。



 仕方ないのでグーグル先生の力を借りて、オランダ語の
サイトを日本語に訳したり英語に訳したりしながら調べた。
その結果、驚くべきことがわかった。

 コルテールが妻を殺したのは、妻の浮気のせいだった。




 コルテールとヨシエが結婚して数年は、大変幸せそうだった
そうだ。 だが、次第にヨシエは旦那の拘束がうとましくなって
きたらしい。

 彼女が帰宅する時には、職場にまで迎えに来る。 もっと
自由にさせて欲しい、自由にいろいろな場所に行きたい、と
いうのがヨシエの欲求だったそうだが、コルテールはそれを
許さない。



 異国の地にやってきて、海外でしか味わえない自由を
満喫したい日本人女性。 彼女を大切にするあまりに、
彼女の全てを管理したいと願うベルギー人男性。

 だんだんと、二人の間には溝が生まれるようになった。
二人の間はギクシャクし始める。




 その時に彼女の前に現れたのが、口が堅いという噂のピエール
だった。

 「夫とは長いこと話してないの。夫は頑固でさ」 秘密を守れる
ピエールへの心安さからか、ヨシエは彼へ愚痴をこぼすように
なった。 「彼は変わり者だからね。我慢さ」

 愚痴を聞いてもらううちに、ヨシエがピエールに親しみを感じ、
やがて二人が愛しあうようになるまでに時間はかからなかった。
ピエールの口は固かったが、ヨシエの下の口はゆるかった。



 ところが二人の仲は、コルテールに最悪の形でばれてしまう。
二人がバスルームで愛し合っているところを、コルテールが発見
してしまったのだ。 口がゆるい上に、脇も甘かったというわけだ。



 だが、そのときヨシエは豹変した。 日本女性のおしとやかさは
どこへやら、情事を発見したコルテールを怒鳴りつけたという。

 「あんたさぁ、男としての魅力がないんだよ!!」 彼女の口は、
悪かった。



 その時に、コルテールは、彼女のことを深く深く愛していた
ことに改めて気づく。 何があろうと、彼女の気持ちが戻って
くればそれでいい、というのがコルテールの偽らざる気持ち
だった。

 彼は、離婚を迫るヨシエに対して、仲を修復したいと取り
すがった。 しかし、彼と別れてピエールと一緒になりたい、
というヨシエの気持ちは変わらない。




 コルテールは、一つの提案をする。 それは、最後のお願い
として、彼女と日本を一緒に旅行することだった。

 二人が出会った日本で過ごせば、彼女の気持ちも戻ると
思ったからだ。 ……これ、男にありがち。

 男の浮気は「名前をつけて保存」だが、女の浮気は「上書き
して保存」 他の男に気持ちが移った以上、振り向くわけなんて
ないのだ。



 日本でヨシエは、両親にコルテールを引きあわせたと
いう(この辺りは女性特有の図太さといえよう)。 それで
いながら、彼女の気持ちが変わることはついぞなかった。




 ベルギーに帰国後「自分を自由にして欲しい」と迫るヨシエ。
それを拒むコルテールを、ヨシエは罵った。

 そして、決して犯してはならないラインを越えてしまった。
彼女は、職場のベルギー人の同僚達と彼とを一人ひとり
比較して、いかにコルテールが劣ったオタク野郎なのか、
痛罵したのだ。



 ……こと、ここにいたっては、どうしようもない。 この時の
コルテールの失望は、いかばかりであったのだろうか。

 その時の衝撃は、彼の行動が示している。 コルテールは
逆上し、ヨシエをナイフで22ヶ所切りつけて、殺害したのだ。




 リアルは、『フランダースの犬』以上に救いようのない話だった。



 ※プライヴァシー保護のため、一部を仮名にしています。




 以上、改行、段落の区切り以外は、原文のままです。



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