MARU にひかれて ~ ある Violin 弾きの雑感

“まる” は、思い出をたくさん残してくれた駄犬の名です。

頭の体操 (140) 漢字クイズ 問題/解答

2014-01-30 00:00:00 | 頭の体操 漢字クイズ

01/30    頭の体操 (140) 漢字クイズ




        『これまでのカタカナ語句には、

        カタカナ部分のみ各回ごとに載っており、

         それぞれの記事に飛ぶことも出来ます。

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      『頭の体操 漢字クイズ』 カテゴリーでは、

     『問題・解答』の全文が直接ご覧になれます。 こちらは

      「新しい記事 (トップ) 古い記事 (奥)」 の順です。





 10/06 ~ 10/08 に登場した外国語の人名、地名、用語が、
カタカナ表記で (1) ~ (20) に、登場した順に並んでいます。

 また、(A) ~ (T) に並んでいるのは、それぞれを漢字で
表記
しようとしたものですが、どう読めばいいでしょうか?



    (1) 騎士ロへラングリン   (2) アングロサクソン

(3) スキフ       (4) シェアフ       (5) マピノーギオン

(6) アリマテア    (7) モンサルヴァ―ト    (8) ペルセヴァル

   (9) オードリー・ウィリアムソン    (10) ジークムント

(11) ジークフリート  (12) ペローの童話  (13) グラ―ルの聖杯

      (14) ファウスト     (15) グレートヒェン

(16) ロジーナ     (17) ガイヤー     (18) 妹のチェチリエ

     (19) ポッセンドルフ     (20) ヴェルズンク族

(A) 害爺   (B) 数奇父   (C) 舌喉上   (D) 老爺否

(E) 飢寸狗足     (F) 呆銭盗父     (G) 不合素人

(H) 減急父歩      (I) 問猿馬跡      (J) 子選悪父

(K) 餡黒割損    (L) 黄白屁嵐緑    (M) 曲悲悩偽音

(N) 上履馬手空   (O) 児育夢脱兎   (P) 地行自由人

      (Q) 暗歩乗勢這    (R) 灰色頭火炎

   (S) 踊狸羽入編孫   (T) 芋疎之知恵恥狸餌




[解 き 方]


  ・ 漢字を読み、主にその音を用いて、原語での発音を表わそうと試みた
   ものです。

  ・ 音読み訓読みが混ざっています。 必要な場合は、濁点()、
   半濁点()、送り仮名を補ってください。

  ・  従来のカタカナ表記による読み方とは、必ずしも一致しない場合が
   あります。

  ・  音ではなく、単語の意味を外国語に置き換え、その発音を用いる
   こともあります。 「星 → スター」、「太陽 → サン」のようにです。
    今回は箇所あります。

  ・ 口語的俗語的にくだけた読み方をすることもあります。
   (例) 「汚 → きたねぇ」、「社長 → ボス」。
    今回は箇所あります。

  ・ 漢文もどきに、順番を入れ替えて読む場合もあります。
   (例) 「不読 → よまず、よまん、よまない」。
    今回はありません。

  ・ 人名漢字の中には、“”、”” ともに含まれている場合もあります。 
   姓に加えて "first name" をご自分で補ってください。
   (例) 「ヨーゼフ・シュトラウス」。
    今回はありません。

  ・ 音や意味とは無関係で、漢字から連想しないと解けないものも!
    今回はありません。

  ・  厳密に見るといい加減なものもありますが、そこは冗談の世界。
   お見逃しくださいませ。



   解答
    ↓





以下、10/06 考えすぎの私より




(1) 騎士ロへラングリン  (L) 黄白屁嵐緑



 「聖なる白鳥の騎士に対して、なんたる冒涜を!」

 まあまあ…。 ここは冗談の世界。 お赦しください。



 「ローングリンも知らないのか。 けしからんぞ!」

 いえいえ。 古い資料には “Loherangrin” と書かれて
いるんです。 終幕の名乗りの場面では、ちゃんと “
と発音するのが、今でも慣例らしいですよ。



 この名が現われる “Parzival” については、前回も記しま
した。 作者は中世の詩人ヴォルフラム・フォン・エッシェ
ンバッハ
(1170-1220) です。

  関連記事 頭の体操 (139) 漢字クイズ 問題/解答 ~ (18)



 さて、ヴァーグナの『ローエングリン』です。 エルザ姫は
“弟殺し” の嫌疑をかけられており、それを救うのが白鳥
の騎士の役目でした。

 ところが、それは作曲者の “脚色” です。 訴えられた
内容が、本来は別のものでした。



 新しき「白鳥の騎士」物語には、以下の記述があります。

 「ある領主が死の直前、娘である姫と、領地の保護を臣下に
委ねる。 その後、その臣下は、約束では姫を妻に娶り、自身
がその地を治めるはずであったと言って、姫を結婚の不履行
で訴えてしまう。」



 ただし、以下の諸点については共通しています。

 騎士は白鳥の引く小舟で現われ、正体が不明なこと。
その氏や素性を問うてはならぬのに、姫は禁を犯して
尋ねてしまうこと。 その結果、騎士が去ってしまうこと。



 白鳥の騎士の説話は、ドイツ、フランスには何種類も
伝説として広まっていました。 ヴァーグナは『ローエン
グリン』の舞台を、アントワープに設定しています。




以下、10/07 女性的なる愛より




(2) アングロサクソン  (K) 餡黒割損

(3) スキフ         (B) 数奇父

(4) シェアフ        (J) 子選悪父

(5) マピノーギオン    (M) 曲悲悩偽音



 この説話は、ゲルマン系の人々に育まれながら、やがて
長い旅をすることになります。 北のデンマークを経て西へ。

 根を下ろした先は、グレートブリテン島でした。



 以下は、ある著書から、すでに引用した記述です。

 「白鳥の騎士の物語は、デンマークとアングロサクソン
スキフシェアフ) の伝説や、アイルランド統治下にあった
時代のウェールズの四つのマピノーギオン (ウェールズの民間
に流布していた中世騎士物語集)
伝説に盛り込まれている。」




(6) アリマテア  (N) 上履馬手空

 大陸で生まれた説話は、海を渡りました。 以下の記述
によれば、 説話は新たな土壌に育まれ、さらに別の要素
が付け加わったことになります。

 「このケルト的背景は、アーサー王と円卓の騎士たちの
伝説の創造にも影響を及ぼし、聖杯 (キリストが最後の晩餐
に用いた杯で、アリマテアのヨゼフが、それで十字架上のキリストの
傷口から流れる血を受けた)
の物語は、このアーサー王伝説
に由来するものなのである。」




(7) モンサルヴァ―ト  (I) 問猿馬跡

 記述はさらに続きます。

 「もっと後の時代の伝説になると、聖杯の安置されている
場所がスペイン、ピレネー山脈のモンサルヴァ―トへと移り
変わり、そこで聖杯を守護する者は、罪なく圧迫されている
人々を救うために旅に出るという、中世騎士道の形式を、
いまだに取っている騎士たちとなる。」




(8) ペルセヴァル  (H) 減急父歩

 エッシェンバッハの “Parzival” には、さらに下地にした
作品がありました。 フランス語で書かれた “Perceval”
です。

 「パルジファル (ときにはペルセヴァルと呼ばれることもある) は、
その聖杯守護の騎士たちの頭であり、窮地に立たされた
エルザを救いにやって来るのは、ほかならぬこのパルジ
ファルの息子なのである。」




(9) オードリー・ウィリアムソン  (S) 踊狸羽入編孫

 以上は、オードリー・ウィリアムソン著、『ワーグナーの
世界』 (中矢 一義 訳、1976年、東京創元社) より引用しました。

 著者については、残念ながら詳しい経歴は不明でした。




 『パルジファル』の舞台は、モンサルヴァ―ト。 『ローエン
グリン』の中でも、これは触れられています。 騎士が最後
に名を名乗る際には、以下の語句が聞かれます。

 「“Monsalvat” には、聖杯 “Gral” を守る騎士たちがいる。
王は “Parzival” で、私はその息子 “Lohengrin” である。」



 ただしモンサルヴァ―トは、“はるか彼方” とされているだけ
で、もちろん “スペイン” の言及はありません。 白鳥の騎士
は、シェルデ河を下ってアントワープに辿り着いたので、小舟
に乗った区間は、せいぜい北フランスからになります。

 エルザを救うために、もしスペインから、はるばるピレネーを
越えてやって来たのなら…? 陸路を経なければなりません。

 白馬の騎士、ローエングリン!?



 はるばる旅をしたのは、騎士だけではありません。 説話
も同じです。 ライン河、シェルデ河付近に生まれ、北ドイツ、
デンマークから、イングランド、スコットランド、ウェールズへ。

 先ほどの、オードリー・ウィリアムソンの記述のとおりなら…。
大ブリテン島で『アーサー王と聖杯』伝説と融合し、再び大陸
へ “逆輸入” されたことになります。

 ヴァーグナが作曲するまで、千年近くが経っていました。



 白鳥、そして聖杯。 伝説の二つの側面に光が当てられ、
生まれたのが、『ローエングリン』と『パルジファル』。

 しかし、単なる思い付きや勝手な脚色を、ヴァーグナが
付け加えたわけではありません。 まずは徹底的に文献
を収集し、考証を加えました。 説話の原初まで遡って。




(10) ジークムント  (O) 児育夢脱兎

 ヴァーグナのこの姿勢は、他の作品においても同じでした。
ニーベルングの指環は、ドイツの伝説的叙事詩ニーベ
ルングの歌
を基にしてはいますが、彼はさらにその源泉を
辿り、北欧の神話にまで遡り、研究しています。

 “Siegmund” は、実在したブルグント国の王として、この
叙事詩に登場します。



 しかしヴァーグナの作品では、彼は双子の妹ジークリンデ
と再会し、愛し合うことになります。 “ジークフリートの父” と
いう設定は叙事詩と同じですが、近親相姦によってこの世に
送り出された英雄という、現実的な生々しさを伴っているのが
ジークフリートなのです。

 こういう設定になってしまったのは、ヴァーグナの生い立ちと
無関係ではないでしょう。 心理学的に分析すると、どうなるの
でしょうか。



 ところで、ジークムントと検索して驚きました。 精神分析
学者のフロイトが見られるのは当然として、ゲームに登場する
と思しき怪獣や、競走馬まで!

 なるほど、男性の一般的な名には違いないのですが…。




(11) ジークフリート  (P) 地行自由人

 『ニーベルングの歌』では、「クリームヒルト姫と結婚する」
…とありますね。 ヴァーグナの楽劇で思い浮かぶのは、
ヴァルキューレの一人、ブリュンヒルデとの相克ですが。



 kotobankには、以下の記述があります。

 「エッダサガなどの古北欧伝説と《ニーベルンゲンの歌》
に登場する人物。 ボルスンガ・サガではジークフリート
(古北欧語ではシグルズSigurðr,Sigurd) は鍛冶屋に養われていて、
あるとき竜を退治して宝物を手に入れる。」

 「旅の途上彼は、甲冑に身を包んだブリュンヒルト Brynhild
(ブルンヒルデ Brunhilde) を救い出し、彼女に結婚を約束する。

 ところが、ライン河畔のギューキ王の宮廷で忘れ薬を飲ま
され、王女グズルーンGuðrún (クードルーン) と結婚する。」



 お気付きのとおり、ヴァーグナの作品内容は、こちらのほうに
近い。 その反面『ニーベルングの歌』は、視点が “ゲルマン族
の王国” 中心になっています。

 同じ題材でも、より根源的、普遍的な、原初の内容を求めて
いたヴァーグナ…。 限られた文献だけでは飽き足らなかった
姿勢が、この例からも解ります。



 さて、この “ジークフリート” も、ゲームのヒーローから、
ケーキ店、さらには、中古車買い取り店までありますね。

 その名は、好き勝手、自由奔放に用いられています。




(12) ペローの童話  (C) 舌喉上

 この漢字表記が 「“ペローの童話” だ!」…と解るかたは、
危険信号ですよ? からだじゅうに、相当毒が回っています
からね。 私と同じように…。

 “舌” を “べろ” と読むだけでも大変なのに。 ましてや…。

 この先も中毒にご用心ください。




(13) グラ―ルの聖杯  (Q) 暗歩乗勢這

 「これ (Graal) をキリスト教に結びつけたのは、フランスの
詩人ロベール・ド・ボロン(Robert de Boron)による1190年代
の作品であろう。 それによれば、アリマタヤのヨセフが
イエスの血を受けたとし、ヨセフはその聖杯とともに…。」



 解説ページの一文ですが、先ほどのオードリー・ウィリアム
ソンの記述とは矛盾していますね。 ここには、「“キリストの
血” が現われる最初の文献は、フランス人によるもの」…と
書かれていますから。

 オードリー・ウィリアムソンは英国人と思われますから、
「この伝説が、ケルト、ウェールズに由来する」…と記して
いるのも、なるほどうなずけます。



 同じ解説ページでは、末尾に様々な参考文献が見られ、
世界各地の地名が…。 これでは、私のような門外漢は
お手上げです。




(14) ファウスト  (G) 不合素人

 まさに、素人が話題に取り上げるのは不似合い。



(15) グレートヒェン  (R) 灰色頭火炎

 灰色頭が炎上するどころか、青息吐息です。




以下、10/08 父が与えた苦しみより




(16) ロジーナ  (D) 老爺否

 「美しい娘ロジーヌは、アルマビバ伯爵に見染められ…。」
『セビリャの理髪師』の荒筋ですね。



 あれ!? この検索では、若きサッカー選手から、茶房や
パン屋の店名、果ては戦車の愛称まで!

 でも、どこを見ても “ジイサン” は居ないねー…。



 ヨハンナ・ロジ-ナは、パン屋の娘だった。

 ヴァーグナの母のことです。



 余飯無・老爺否は、メシ抜きの私のことです。

 彼女は結婚すると、余飯無・我具無になり、生活が
変わりました。 でも私の場合は、余り変わりません。




(17) ガイヤー  (A) 害爺

 “実父” のカルル・フリートリッヒ・ワーグナーは、リヒャルト
が生まれて半年後に、43歳の若さで早世しました。 折から
チフスが蔓延し、倒れたのです。

 作曲家の卵は、戸籍上 “リヒャルト・ガイヤー” と名乗って
いた時期もあります。




(18) 妹のチェチリエ  (T) 芋疎之知恵恥狸餌

 「計算が合わない。 誰の子なの?」

 きっと周囲からそう言われたであろう、リヒャルトの妹です。
やがて彼女は、自分がガイヤーの子であると確信するよう
になります。

 「お兄さんも、間違いなくそうよ。」

 生涯に亘って打ち解けていた、この兄妹。 その裏には、
共通した “秘密の事情” があったのでしょうか。




(19) ポッセンドルフ  (F) 呆銭盗父

 7歳のリヒャルトは、一年間だけ実家を離れ、外へ預け
られたことがあります。 しかしその間に、継父ガイヤーも
亡くなってしまいました。

 幼少時に深い傷を負ったと思われるリヒャルト。 最初
の妻ミンナには、「母の愛憮など覚えが無い」と語り、母
のヨハンナについては、ほとんど口にしなかったそうです。




(20) ヴェルズンク族  (E) 飢寸狗足

 『ニーベルングの指輪』に見られる、様々な種族の一つです。
ジークムントは、そのヴェルズンク族の英雄として登場する。

 主神ヴォータンは、もちろんヴァルハラ族 (神々族) の長です
が、このヴェルズンク族との関連も見られます。

 そしてリヒャルト・ヴァーグナ自身にも、様々な点で二重性
が窺われます。




 お疲れさまでした。




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