MARU にひかれて ~ ある Violin 弾きの雑感

“まる” は、思い出をたくさん残してくれた駄犬の名です。

変ホ長調の夕靄

2011-05-20 00:00:00 | 私の室内楽仲間たち

05/20 私の音楽仲間 (265) ~ 私の室内楽仲間たち (239)



              変ホ長調の夕靄




         これまでの 『私の室内楽仲間たち』




       [音源ページ ]  [音源ページ




 Mozart には、"ハイドン セット" の名称で親しまれて
いる、6曲の弦楽四重奏曲があります。

 中でも取り分け名高いのが、ニ短調 K421。 その他、
』、『』、『不協和音』という、ニックネーム付きの
名曲もあります。



 これらの陰に隠れてしまった感のあるのが、変ホ長調
K428
。 確かに、一般受けするような華やかな印象は
ありません。



 この曲を特に好んでおられるのが、私たちのお世話係、
Sa.さんです。 しかし、あいにくこの日は、別室で他の曲
を担当しておられます。




 今回のメンバーは、Violin が私、I.さん、Viola H.さん、
チェロはSu.さんです。



 I.さんは、いつも Viola奏者としてこの場に登場しています。
"Violin のI.さん" と聞いた私は、てっきり別の、初対面の方だ
とばかり思っていました。 ところが現れたのは、いつもの I.さん。

 そう言えば、I.さんは声楽の先生。 また別の場では、指揮者
としても活躍しておられる、多才な方でした。

 さらには、地元の名産品、お団子を毎回持参して来られ、合間
の休憩にご馳走してくださる、多彩な方でもあります。 「花より
団子」の私としては、今回も大歓迎の I.さんです。



 H.さんとは、本当に初めてご一緒します。 弾き方は堅実ですし、
アンサンブルの経験も、かなり長い…、そうお見受けしました。

 しかしそれとは反対に、態度は物静かで謙虚。 貴重な方です。



 そして、こちらも私にとって貴重なのが Su.さん。 この場に私を
紹介してくれた、縁結びの神でもあります。

 その他の意味でも、大変 "貴重" なのです。 でも説明している
と長くなり過ぎるので、また別の機会に…。

 ご本人は "腐れ縁" と言っているようなのですが…。




 第楽章は、オクターヴで跳躍する二つの音で始まります。
Mi♭ から、上の Mi♭へ。 なだらかに。



 これが反対に下降オクターヴとなって登場するのが、
楽章 MENUETTO の冒頭です。



 第楽章は "Andante con moto" と書かれた 6/8拍子。
3つの8分音符の動きが特徴的です。 "ドミソ、シレソ"…。
(変イ長調なので、正確には La♭ Do Mi♭、Sol Si♭ Mi♭ ですが。)

 4度、5度の跳躍も重要で、5小節フレーズが多いのも
異例です。



 第楽章は、Si♭ Sol↑Mi♭ Do↓La♭ Fa …と、
下降する3度の主題で始まります。 この6つの音は、
また「全体が3度の音程から成っている」と言うことも
出来ます。




 「変ホ長調荘重で、落ち着いた響き」だと、よく言われます。
そう聞こえる理由は色々あるでしょうが、

第3音の Sol が、低い音域の弦に当たる (Violin、Viola、チェロ)

② A?、E? などの高音開放弦が音階の中に無く、ほとんど使われ
ない
ので華やかさに欠ける、…

の二点が原因として大きいように思います。 自分が弦楽器奏者
なので、そう感じるのかもしれませんが。



 またこの曲では、Vn.Ⅰが低音域で用いられることが、大変多い
のです。

 高音域はそれほど使われませんが、唯一の例外は、第Ⅰ楽章。
第Ⅰ主題が最後に登場した後の、高いSi♭の音。 それだけに、
ここは特に伸びやかに演奏したいところです。




 そんな落ち着いた響きの、この曲をお好きなのが Sa.さん。
今回は別の部屋で弾いておられます。

 ご自分の好きな曲であっても、割り振りは公平、客観的で
なくてはならない、お世話係さん。 また別の機会にこの曲
で、ぜひご一緒したいものです。




         第Ⅳ楽章冒頭の演奏例

        最初の音量が大き過ぎることがあります







 譜例中の、赤い部分は?

 関連記事 『無視される スラー スタカート』に記載があります。




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