マリヤンカ mariyanka

日常のつれづれ、身の回りの自然や風景写真。音楽や映画や読書日記。手づくり作品の展示など。

『こうしてイギリスから熊がいなくなりました』

2023-06-11 | book

不思議な味わいの小説でした。

熊がテーマの「8つの短編集」の様な作りですが、

つながった一つの文学世界です。

皮肉や風刺が利いた迫力のあるファンタジーのようでもあり、

叙事詩のようでもあり、

挿絵の雰囲気も相まって引き込まれました。

この小説と、訳者の「あとがき」によって、イギリスの動物虐待の歴史を知りました。

あとがきによれば、イギリスでは、11世紀には、娯楽としての狩猟によって、クマが絶滅。

(熊は絶滅してからも、闘熊が見世物として大人気だったので輸入し続けたそうです。)

続いて13世紀にはイノシシも絶滅し、

次に、オオカミも絶滅対象に、続いてオジカ、角をトロフィー代わりに乱獲、

しかしシカは繁殖力が強く絶滅には至らず、次はキツネ狩りがトレンドとなり、

キツネも絶滅しかけたので、輸入しては放して狩りまくって、

その結果ウサギが繁殖して草木が減っていった・・・

という歴史を辿っているそうです。

『こうして イギリスから 熊がいなく なりました』

ミック・ジャクソン 著

デイヴィット・ロバーツ 画

太内 志文 翻訳

2018年 東京創元社

 

牧草地や畑を作るために、あるいは製鉄のために、

さらには森や山につながる古い信仰を根絶するため、山を削り森を伐採していった事と

娯楽としての狩りが長く続き、

その結果、今では、イギリスには森も山もほとんどなく、獣や虫や植物の種類もとても少ないそうです。

植民地においても同じパターンで、森林を、動植物を、古い文化を破壊し、

更には原住民を狩り、売買した・・・

 

日本では、かつてさまざまな動物が神様になったり、

或いは仏様のお手伝いをしたリ。

人がすべての生き物を支配するとしたキリスト教との

大きな違いかもしれません。

 

 

 

 

 

 

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