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主要8カ国サミット 安倍流「フリートーキング」の成果

2013-06-19 | Weblog

記事ブログ:サミットの模様を正確に報じない日本のマスコミ

テレビやラジオは、サミットでアベノミクスが一定の評価をされたと大々的に報じています。

ほんまでっか?

本当に日本が評価されたのであれば、私も日本人の一人として嬉しい! でも、本当に評価されたのでしょうか?

安倍総理自身は、次のように言っています。

「主要8カ国の首脳から強い期待と高い評価が得られた」 「実体経済は改善している。自信を持ってぶれずに政策を着実に実行する」(日経新聞)

さらに、産経新聞を読むと、次のように紹介しています。

「反応は上々だった。イタリアのレッタ首相からは『経済再生の良きお手本として参考にしたい。アベノミクスについて講演をお願いしたい』と訪問を招請され、直接指導を依頼される場面もあった」

本当にイタリアの首相がそんなことを言ったのか?

私、英国政府のサイトにアクセスして、動画を見ることができました。

日本とイタリアの首脳会談が行われていました。そして、確かに通訳を通してですが、イタリアの首相が、日本の経済政策についてコメントしていることが確認できました。

日本とドイツ、或いはロシア、英国との首脳会談もみることができました。

それにしても、ドイツのメルケル首相の表情が気になりました。とても不機嫌そうな顔。それに対して、安倍総理は少し神経質そうな表情で‥

最後に、ラウンドテーブルで討議するリーダーたちの動画も見ることができました。

テレビでも放映されていましたよね。ネクタイを外したシャツ姿で、フリーに議論をしている風景。

あれは、なかなかよかったです。あの中にプーチン大統領もおり、あのような会議ができるのであれば、世界はもっと平和になれるのでは、という淡い期待も抱かせました。

ただ、よくみると、安倍総理は、イヤホーンを付けているようには見受けられませんでした。

主に英国のキャメロン首相とオバマ大統領が話をしているので、他の者は出る幕がないように見受けられましたが、いずれにしても本当に通訳がついていなかったのであれば、何が話されているのか分かりません。

やっぱり、ネイティブ並みに英語が話せないということが如何に不利になるかが身に染みるのです。もし、ネイティブ並みに英語が話せ、しかも、各国の立場を思いやることができる総理であれば、自然と自分の周りに人が集まり、そうなると写真撮影では自然に真ん中に位置することになるのではないでしょうか?

本題に戻りますが、本当にサミットで日本は注目を浴びたのか?

例えば、米国の公共ラジオ放送を聞いても、とてもそのようには思えないのです。

先ずは、シリア問題を報じて‥その後で世界経済にも言及しているのですが、アベノミクスについて報じることはないのです。つまり、彼らにとっての関心事は、米国と欧州の間での貿易問題やどうやって欧州経済を立て直すかというようなことばかりなのです。

ついでにBBCのニュースを確認しても、やはりアベノミクスについて言及することはなし。

それはそうでしょう。仮にアベノミクスが成功を収めているならば、欧州からすれば面白い話ではない訳です。

他人の不幸は蜜の味。でしょ?

それに安倍さん自体、このサミットの報告を記者団にするなかで、どれほど米国や欧州、或いはロシアのことについて言及したというのか?

殆どゼロです。つまり、あくまでも日本に関係したことしか言わない。それが悪いというのではありません。それが人間というものなのです。

まあ、これだけ言っても納得がいかない人がいるかもしれません。現に、NHKも、「『日本の成長は、大胆な金融政策や、民間投資を喚起する戦略などによって支えられる』という文言が盛り込まれ、成長戦略を含めた安倍内閣の一連の経済政策を後押しする形となりました」なんて、我々日本国民に報じているからです。

では、実際に、どのような宣言文になっているのか、原文をみてみましょう。

1. As leaders of the G8, we are committed to open economies, open societies and open governments as the basis of lasting growth and stability. We have today agreed concrete steps to play our part in ensuring a safe and prosperous world.

「我々はG8のリーダーとして、成長と安定の基盤となる開かれた経済、開かれた社会、そして開かれた政府を守り抜く決意である」

2. We met at a time of continued economic uncertainty. Our urgent priority is to promote growth and jobs, particularly for the young and long-term unemployed. We will continue to nurture the global recovery by supporting demand, securing our public finances and reforming our economies to deliver growth.

「我々は、引き続き経済が不確かな状況のなかで会合を開いた。我々の喫緊の課題は、成長と雇用を促進することであり、特に若年層や長期失業者に対する雇用の促進が重要である。我々は、成長を生み出すために需要を支え、財政の健全化を確保し、さらに経済改革を実施することによって引き続き世界経済の回復を図る」

(中略)

10. Downside risks in the euro area have abated over the past year, but it remains in recession. Additional strengthening of the architecture of the European Economic and Monetary Union, including through the development of the agreed elements of a banking union, is strongly needed to contribute to further reducing financial fragmentation, and continued strengthening of banks' balance sheets. Fiscal sustainability and restoring financial stability need to go hand in hand with well-designed growth strategies, including growth-oriented structural reforms. The US recovery is continuing and the deficit is declining rapidly in the context of a continuing need for further progress towards balanced medium-term fiscal sustainability and targeted investments to enhance growth. Japan's growth will be supported by its near-term fiscal stimulus, bold monetary policy and recently announced strategy for promoting private investment. However, it will need to address the challenge of defining a credible medium-term fiscal plan. Some of our central banks have continued to use highly accommodative monetary policy to support their domestic economies, including through unconventionalmeans such as quantitative easing. Russia is experiencing low unemployment and a favourable fiscal position, but more moderate global growth and volatile commodity prices will be a challenge.

「ユーロ圏の下振れリスクは、この1年間縮小してきているが、しかし、未だに景気後退局面にある。金融危機のリスクを減少させ、そして民間銀行の資産内容の強化を図るには、銀行同盟を含む、欧州の経済金融統合の更なる強化が必要とされる。財政の持続可能性回復と金融安定化のための政策は成長志向の構造改革を含む、よく練られた成長戦略と両立させる必要がある。米国の景気回復は続いており、財政赤字は急速に減少している。急速に減少していると言う意味は、均衡の取れた中期的財政の持続可能性と、成長を促進すための重点的投資を実現するために必要とされる財政赤字の削減額という尺度で判断して、ということである。日本の成長は、短期的な財政刺激策と、大胆な金融政策、そして、先ごろ発表された民間投資を促進する成長戦略によって支えられるであろう。しかし、信頼のできる中期的財政計画を樹立するという課題に取り組む必要がある。G8の幾つかの中央銀行は、国内経済を支援するために極めて緩和的な政策を引き続き採用しており、それには量的緩和策のような非伝統的政策を含んでいる。ロシアは、失業率が低く、財政状況も良好であるが、世界経済の成長率が今より緩やかになることと、一次産品価格の変動が激しくなることが問題になろう」

宣言文は、全部で96のパラグラフから構成されています。

そんな長文を、今回のサミットの期間中でまとめることなど不可能なのです。つまり、このサミット以前に何度も様々なレベルで文章の練り合わせが行われており、その結果が、こうしてサミットの宣言文となっているのです。

つまり、宣言文は、サミットの前に大部分は出来上がっていた、と。特に、日本に関係する部分はそうなのです。

10番目のパラグラフをお読みになれば分かると思います。先ず、欧州経済のことについて現状分析を行い、そして、米国、日本、ロシアと続いています。

つまり、日本について言及しているものの、特に日本だけに注目しているのではないのです。

そして、確かにアベノミクスを説明する文言が出ているのはそのとおりなのですが、だからと言って、各国がそれを評価をしているとは思えないのです。それどころか、Howeverという文言が続いているではないですか。つまり、アベノミクスの政策もいいが、ちゃんと財政再建の道筋を付けることが重要だと釘を差しているのです。

それだけではありません。名指しこそしていませんが、日本と米国の中央銀行が超緩和策を採用しているという事実を敢えて指摘しているのです。つまり、超緩和策には副作用が伴うから、それに十分注意すべきだと注文を付けているのです。

ということで、海外が一定の評価を下したというよりも、アベノミクスの大胆な金融政策を利用して、円安誘導を行うのは止めて欲しいという気持ちが表れているのが、今回の宣言文の中身なのです。

いずれにしても、最近のマーケットは、アベノミクスに対してそれほど評価をしなくなっているのです。

何故そのようなことが言えるかって、ですか?

その証拠に、一時に比べれば株価が下がり、円高に振れているではないですか。以上 (文)小笠原 誠治  経済コラムニスト


管理人コメント

英語もろくすっぽできない安倍がG8首脳らと円テイを囲んでいる。どうやってフリートーキングに参加できるというのだろうか。それも通訳イヤホンなしにだ。

写真では安倍(ドイツの女性首相メルケルの左隣)一人が浮いている。手元資料に目を落として、パラパラとページをめくって遊んでいる。まるで授業中、先生と目をあわすと指されるので、あわさないように下を向いている劣等生のようだ。

あとの首脳らは堂々としている。顔をあげて相手を正視している。相手の目をみる、見て話す、欧米人であれば身についている。

配布資料などは後で読むものだ。だいち資料は英文だから、安倍にはチンプンカンプンだ。(安倍のCVには米カリフォルニアの南加大中退とある。)

国際会議では相手の話に集中し、どんどん話に加わりながら、話の先導をきることだ。これにはそうとうの語学力がいる。

日本語であれば、話がヒートアップしだして、会話が乱れ飛んでも聞きわけられるが、英語ではそうはいかない。マン・ツー・マンで構えていないと聞き漏らす。

それができない安倍はただ時間をやり過ごすことだけを考えていたに違いない。とにかくやり過ごせば、あとはしめたものだ。

日本に帰国して国民の前で、G8首脳らとのフリートーキングで、’アベノミクスは評価された’とウソをついてもわからない。

それで国民はいちころだ。翌日の支持率は跳ね上がる。

だから、安倍にとって、主要8カ国サミットはそれだけの役割でしかなかった。

もっといえば、安倍にとっては、G8に先立ち訪問したポーランドでのネトウ夜遊び、FBに興じた時間のほうが、はるかに大切だったといえよう。

 

(あとがき)安倍はG8閉幕後の記者会見で、アベノミクスについて聞かれ、「強い期待と高い評価が得られた」と力説している。これが安倍流「フリートーキング」の成果だ。

 


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