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安倍の人事後遺症、まったくやる気をそぎ落とされる 御用メディアも“過去の人”扱いに

2017-08-20 | Weblog

やる気感じられぬ安倍首相 

広島、長崎挨拶でも力入らず

(写真・時事通信フォト)

内閣支持率低迷や、読売新聞1面に〈首相「3選望まず」6割今の総裁任期まで *1〉という見出しが躍るなど、安倍晋三・首相の求心力が低下している。

そうした中、「『ポスト安倍」レースでも一歩抜け出した』などと岸田文雄・自民党政調会長をこれまで“親安倍メディア”といった見られ方をされていた読売新聞や産経新聞が持ち上げだしている。

政治ジャーナリスト・野上忠興氏が語る。

「読売や産経は主張の近い安倍政権中枢に食い込んで情報を得てきたが、当分続くと思われていた安倍政権に突然、終わりが見えてきた。次に反・安倍の石破(茂)政権ができると、これまでのように情報が入ってこなくなる可能性があるから、“岸田政権誕生”にも保険をかけておこうという計算でしょう。

もっとも、肝心の岸田氏は約5年間の外相時代も重要な外交懸案に成果らしい成果を上げていない。日朝関係は拉致問題の解決どころか逆にミサイル危機が高まり、ロシアとの領土交渉も進展がない。評価する材料が乏しいから〈安定感は抜群〉(産経)など、抽象的な持ち上げ方しかできないのがわかる」

そんな“後継者”がフレームアップされればされるほど、安倍首相が応援団メディアから“過去の人”扱いされつつある様子が鮮明になってくる。

その安倍首相は内閣改造後、これまでとは人が変わったように自信と「やる気」が感じられなくなった。

自ら「結果本位の仕事人内閣」と名づけた組閣人事が終わると、首相は広島(6日)と長崎(9日)*2で原爆犠牲者慰霊平和祈念式典に臨んだ。

広島でのあいさつの冒頭、「原爆死没者」を「原発」と読み違えたのを訂正したあと、こんなくだりが続いた。

〈真に「核兵器のない世界」を実現するためには、核兵器国と非核兵器国双方の参画が必要です。(中略)そのため、あの悲惨な体験の「記憶」を、世代や国境を越えて、人類が共有する「記憶」として継承していかなければなりません。昨年、オバマ大統領が現職の米国大統領として初めて……〉

この挨拶文は長崎でもほぼ同じ内容。一字一句違わぬ部分ばかりの、いわゆる“コピペ”だったしかも、祈念式典の挨拶文は毎年新たに書き換えられるはずが、今年は半分近くのワードが昨年の流用だったのである。

官邸のスピーチライターも投げやりなら、そんな原稿を通した官邸幹部たちも、気にせずに読みあげた安倍首相も仕事に身が入っているとは思えない。原因は人事失敗の後遺症にあるという *3。

自民党元役員が語る。

「改造人事では伊吹文明・元衆院議長らが入閣を固辞したと伝えられているが、そんなもんじゃない。総理が白羽の矢を立てた大臣候補に次々に断わられ、組閣本部ではA4判の紙に書かれた名前がどんどんバツで消され、1枚じゃ足りなかったという」

内閣改造で心機一転どころか、泥船の安倍政権に「乗り込みたくない」という党内の本音を思い知らされて、いわば“思考停止”に陥っているとの見方である。

※週刊ポスト2017/9月号

*1

首相の「総裁3選望まず」6割…読売・早大調査

読売新聞社と早稲田大学現代政治経済研究所は、政治意識に関する全国世論調査(郵送方式)を共同実施した。

安倍首相にいつまで首相を続けてほしいと思うかを尋ねると、「自民党総裁の今の任期が切れる2018年9月まで」41%と「すぐに退陣してほしい」23%と合わせ、総裁3選を望まず、今の任期内での退陣を求める人が6割を超えた。「党総裁の次の任期が切れる21年9月まで」は16%、「なるべく長く続けてほしい」は14%だった。8/10 Yomiuri

*2

「あなたはどこの国の総理ですか」

安倍晋三首相は九日、長崎市内で被爆者五団体の代表らと面会した。代表らが、七月に国連で採択された核兵器禁止条約への署名を求めたが、首相は広島原爆忌に続き「ゼロ回答」。参加者からは「直接訴えれば何か発言してくれると思ったが、肩透かしを食らった」と落胆の声が上がった。 

長崎県平和運動センター被爆者連絡協議会の川野浩一議長(77)は、五団体を代表して首相への要望書を手渡す際に「あなたはどこの国の総理ですか。今こそあなたが世界の核兵器廃絶の先頭に立つべきです」と同条約への署名を迫った。

要望書は、禁止条約への不参加に「長崎の被爆者は満腔の怒りを込め、強く抗議する」と明記。同時に安全保障関連法や「共謀罪」法制定、首相(自民党総裁)の九条改憲発言への危機感も盛り込んだ。

これに対し、首相は、核兵器のない世界の実現には核兵器保有国と非保有国の「双方の参画が必要だ」と従来の主張を繰り返した。改憲発言などへの懸念には全く触れなかった。8/10Tokyo

*3

福田元首相、安倍政権を批判 「国家の破滅近づく」

福田康夫元首相は2日、東京都内で共同通信のインタビューに応じ、学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画や「森友学園」への国有地払い下げなどを踏まえ、安倍政権下の「政と官」の関係を批判した。「各省庁の中堅以上の幹部は皆、官邸(の顔色)を見て仕事をしている。恥ずかしく、国家の破滅に近づいている」と述べた。2014年に発足した内閣人事局に関し「政治家が人事をやってはいけない。安倍内閣最大の失敗だ」との認識を示した。中央省庁の公務員の姿勢について「官邸の言うことを聞こうと、忖度以上のことをしようとして、すり寄る人もいる」などと指摘した。8/2 Jiji


国民をバカにしてきたトランプ氏と安倍氏 

支持率急落に共通点

日米の政権中枢を長くウォッチしてきたジャーナリストの落合信彦氏はいま、現政権の先行きに関して極めて悲観的なスタンスをとっている。
* 
44%から、36%へ。55%から、35%へ。

何の数字か、分かるだろうか。

前者は、トランプの今年1月から直近までの支持率の変化だ。

後者は……もう分かっていただけたと思う

(トランプ大統領の支持率はワシントン・ポストとABCテレビの共同調査、安倍首相の支持率はNHK調べ)
 
トランプと安倍が仲良く大統領専用機「エアフォースワン」に乗り、27ホールも一緒にラウンドして「互いに信頼関係を築いた」と蜜月を演出していたのはおよそ6か月前のことである。

そこから、これまた仲良く支持率を落としたわけだ。

2人とも本人や家族、側近に次々と疑惑が噴出し、「暴言」「失言」で国民の心が離れていくところまで、悲しいことにそっくりである。

トランプは、就任後半年の支持率としては戦後最低の数字となった。それでもこの男はツイッターで、「この時期に支持率40%程度なのは、悪い数字ではない」「まぁ、大統領選挙の時に、やつらの世論調査が一番間違っていたけどな!」と強弁した。

安倍は、メディアによっては20%台まで下がった支持率を受けて、さすがに「国民の信頼回復に向けて努力を重ねる」と殊勝な物言いをしたが、ここまで信頼を失ったのは、「どうせ加計問題も森友問題も、誤魔化し通すことができる」と、トランプ同様に国民をバカにしてきたからだ。

ここまでそっくりなトランプと安倍、最後は2人仲良く辞任するという結末を迎えるのではないか。

※SAPIO2017/9月号