40年来の親しい友人がいる。
連絡取らなければと思いつつ気が重くて先延ばし。
「少しも音沙汰ないけどどうしてるのさ」と気軽には聞けず。「生きてるの?」と軽口飛ばすには状況が許さない。
月が変わるたびに、どうしているかな、の不安は増す。
ええーい、ぐずぐずせずに電話しよう、と昨日の朝9時を待ってボタンを押す。
鼻が詰まった眠そうな声に思わず「どうしたのよ」
「眠くって眠くって。今日ごみの日だから目覚ましかけてやっと起きたのよ、今出してきたところ」なんて。
「基本、鬱だからさ。特に春はダメなのよ」ってここにもいたわ、春憂鬱になる人が。
人に会いたくなくてさ。
友達が誘ってくれると張り切って約束するんだけれど、当日になると行くのが嫌になるのよ。
ドタキャンばっかり。
私は笑ってしまう。彼女は、ドタキャンする名人だからね、春じゃなくても鬱じゃなくても。
出かければすごく楽しんでいるのに、約束してからその日までがなんとも気重らしい。
その手の愚痴は何度も聞いているから、手に取るように想像できる。
お互いの家族のもろもろをを話す。
佐渡に行ってるの?と聞かれたから、
「まだまだ寒いから炬燵にもぐっているわよ。位牌の前で寝転んでるわよ。窓から海眺めているわよ」
「あなたが憂鬱になったら、私のその姿思い浮かべてね。仲間がいるからさ」
電話線の向こうとこちらで含み笑い高笑い。まあまあ。
いちばん聞きたかったご主人の容態を聞いてほっとし、また今度と電話を切ったけれど・・・