ヨガ教室に行く車中、マサチャンが突然言った。
「おばちゃん、佐渡弁、広めてくれーっチャ。」
「息子も娘も、てえそだ(疲れた)、ごてぎ(御大儀)だとか知ってるよ。」
しなしな、しゃんしゃん、もここで使っているしなあ
佐渡の茶は、飲めんチャ と言われているしなあ
「そうだねえっちゃ、おばちゃんの友達に広めてくれーっちゃ。」
とこうくる。
マサチャンは若いに似合わず純粋佐渡弁の人で、マサチャンママがこれまた佐渡弁丸出しの人だから、二人の会話を聞いていると、時に分からないことがある。私だって佐渡人なのに変だね。
「なあ、ぶす色って、まって分からんだろうね。」
「うんうん、それは絶対わからんかもね。」
「あんたの唇、ぶす色だって言うたら、どんな顔するかな?」
と二人して笑う。
ぶす色ねえ。
青紫色といえばいかしら、海からあがると唇が何とも言えない紫色になる時があるでしょ。そういう時
「あんた、唇がぶす色だが・・・」と使うのよ。
雪の中、母のところに行って来た。
今すこぶる元気な母の左腕には、きっとベッドの柵に無意識に打ちつけているだろう、ぶす色のあざがたくさん付いていた。
窓の外を見ながら、
父と顔を見合せながら、
「よう降るなあ。」とため息をつく。
「よう飽きずに降るねえ。」と相槌を打つ。
もういらんなあ・・・と言いつつあきらめる。
せっかく水仙の芽が出たのに・・・